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ルパン三世/霧のエリューシヴ [2007年08月04日(土)]

●ルパン三世/霧のエリューシヴ

監督:
増田敏彦
特別参加(アイキャッチ):
大塚康生(『ルパン三世/カリオストロの城』)
声の出演:
栗田貫一 小林清志 井上真樹夫
増山江威子 納谷悟郎
桑島法子 石田彰 大久保祥太郎
世古陽丸 渡部猛 楠大典
関根真里 中村獅童 西尾由佳里(日テレアナ)


ルパンたちは不二子の依頼で「時を超える白き"たまゆら"」なるお宝を探していた。そこへ銭形が現れ、カーチェイスが繰り広げられるが、その時、不思議なことに周りを走る車の運転手が次々と消えていった。そして現れた謎の男はルパンたちを500年前の世界にタイムスリップさせる。その男・魔毛狂介は未来のルパン三十三世への恨みからルパン三世に復讐に来たのだ……。


おっ、今年は随分と立て直してるじゃないですか。

オープニングからのモーターボートチェイスシーンが小気味よく、そこから続くカーチェイスシーンなどは『風魔一族の陰謀』を彷佛とさせます。

そう、今回は作画がいい。

例えば、モーターボートが道路を走り去るカットで、すれ違う車の助手席から顔をのぞかせる女性の細かい仕草といった「無駄に描き込んでいる感じ」は近年のルパンでは見られなかったもの。

一目見て動きがテレコムっぽいと感じれば、すれ違うトラックの側面に「テレコム運送」と書かれているお遊びが。うむ、間違いない。今回は制作にテレコムの名前が連なってました。


「ルパン三世生誕40周年記念作品」と掲げる以上、さすがにここ数年のTVスペシャルの体たらくぶりがテレコムを参加させたということでしょうか。

実は手堅く秀作を作るなら「宮崎ルパン路線」が一番作りやすい。『カリオストロの城』というお手本に沿ってテレコム作画さえあれば一定の質は確保できるのです。

個人的には宮崎ルパンではないルパンの秀作を見たいんですけど、それは『カリオストロの城』並の「俺ルパン」を生み出す必要があるわけで(例えば押井守ルパンぐらい異質な組み合わせとか)。

だから今回は確実性を求めて宮崎ルパン路線となったわけですな。


で、中身ですが、基本的には旧ルパン第13話「タイムマシンに気をつけろ!」をベースに作られてます(思わず手元のDVDでその話だけ見返しちゃいましたよ)。

とはいえ、あくまでも「魔毛狂介という敵キャラがルパンの子孫に恨みを抱き、タイムマシンを使って現代のルパンを消そうとする」という骨子だけ流用し、さらに飛躍させて「ルパンたちが500年前にタイムスリップする」というオリジナル話になっています。

(いわば『ドラえもん/のび太の恐竜』で、原作の1エピソードを長編映画化するために物語を大幅に膨らましたのと同じような感じでしょうか)

うん、ルパンって作品はここまで振り幅が広くていいんだよね。クレヨンしんちゃんすら戦国時代に行っちゃう世の中で、ルパンが現実に縛られるいわれはありませんて。


出来はまあまあ。去年までの酷さに比べればちゃんと見れるものに仕上がっています……が、それはテレコム作画の賜物であって、脚本の練りの甘さは本作でも健在です。

細かいところは挙げれば切りがないのですが、全体的には中盤辺りから物語運びが停滞し、キャラ配置が無造作になってしまっています。特にお不三(フミ)とタカヤが物語に上手く絡んでいないのが難ですね。


さて、毎度毎度、レギュラー声優をそろそろどうにかと言っている私ですが、今回も男性陣がきつかったですねぇ。不二子は登場が少なめだったせいか声の衰えはあまり感じませんでした。まあ、お不三をそのまま増山さんが演じていたらきつかったでしょうが。

だからといってその代わりが関根真里では元も子もない。
素人丸出し演技は聞き苦しく全てを台無しに。
中村獅童がとても良かっただけに残念です。

こういう話題=宣伝用キャスティングはホントやめて下さいな(それに今回、話題性なんて無かったからまったくの無意味では?)。

あと、途中になぜかアイキャッチ(新ルパンのアレンジ)が入っていて謎だったんですが、エンディングに「特別参加(アイキャッチ):大塚康生」とあってビックリ。なるほど、御大に参加してもらうとなるとその手ぐらいしかないかも。

関根真里と中村獅童の名前がサプライズ扱いだったみたいなんですけど、こっちの方が断然サプライズだってば。


エンディング曲は「ルパン三世 愛のテーマ」のカバー(歌:今井美樹)ということで、本作は「旧ルパン」のネタを「宮崎ルパン」をベースに「新ルパン」テイストで包むという良いトコ取りで作られた作品でした。

今回は40周年記念なので宮崎ルパン路線でもいいですけど、来年以降は禁じ手ですよ〜。総括の先にある(べき)TVスペシャル20作目に期待したいと思います。

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