パニッシャー [2008年03月05日(水)]
●パニッシャー
- 監督/脚本:
- ジョナサン・ヘンズリー(『ダイ・ハード3』脚本)
- 出演:
-
トム・ジェーン(『ドリームキャッチャー』)
ジョン・トラボルタ(『フェイス/オフ』)
ウィル・パットン(『プロフェシー』)
ローラ・ハリング(『マルホランド・ドライブ』)
レベッカ・ローミン=ステイモス(『X-MEN』)
ジョン・ピネット
ベン・フォスター(『ホステージ』)
FBI捜査官・キャッスルが潜入していた武器取引現場で起こった銃撃戦で裏社会の大物・セイントの息子が死亡した。セイントは息子の死の責任はキャッスルにあるとして家族もろとも虐殺する。だが、キャッスルは死ななかった。私刑執行人"パニッシャー"の復讐が始まる……!
……根本的に作りを間違えた凡作かと。
マーベルコミックのアンチヒーロー「パニッシャー」が昨今のアメコミヒーロー映画ブームに乗っかって再映画化(※'89年にドルフ・ラングレン主演で映画化)。
私は先日の地上波放送で観たので、30分ほどカットされたバージョン(元は120分強)での感想になりますのであしからず。
序盤で瀕死の主人公を助ける男の唐突な登場などは、本編カットに起因してそうなので仕方ないですが、主人公が元同僚らの前に現れるだけという無意味なシーンなどはどうやらそれだけの問題ではなさそうな。
物語全体の流れに対してエピソードが少なく、しかもただ羅列するばかりなのも本編カットの影響というよりも、分かりやすいアメコミヒーロー映画にしようとした大味さに起因してそうな感じがします。
そもそも妻子を殺された男の復讐劇という設定はヒーロー誕生エピソードとしては定番ですが、しかし、本作の主人公は瀕死の重傷を負ったことで超能力を得るわけでも悪魔と契約するわけでも身体を改造されるわけでもなく、ただの人間のままです。
人が人のまま復讐心に取り憑かれる物語をアメコミ的ヒロイックさで描こうとすることに無理があります。
画面は明るく、主人公のアパート仲間はちょっとコミカルな奴らで、襲ってくる敵との攻防があっけらかんとしているお子様仕様。
それなら序盤の妻子殺害〜パニッシャー誕生までをもっと通過儀礼的にシンプルなものにしてしまえばいいのに、逆に原作よりも複雑な怨恨エピソードにし、あまつさえ長々と妻子殺害を見せるアンバランスさ。
セイントがキャッスル(の家族)のみに復讐するというのも強引な話で、セイントの息子の死はどちらかといえば捜査本部の「ウソ射殺作戦」が引き金でしょうに。
キャッスルにしても、セイントへの恨みは当然としても、事件の元凶でありながらもその後の捜査をしようとしないFBIというものにほとんど固執しないのもおかしな話ですし。
まあ、そこは警察機構を見限るきっかけとして──「生還した足で古巣FBIに向かうが、そこで法の無力さを痛感させられ、私刑執行人パニッシャーとしての武装化を始める」──という流れで見せてくれていれば納得なんですけどね。
主人公の復讐の方法も、金庫の金をばらまいたり燃やしたり、妻と部下が浮気していると思わせるための仕込みなど実に地味なもの。
これが陰鬱とした作風で作られているなら良かったかもしれませんが、実際に作られたのは明るいヒーロー映像。もはや観る者を脱力させようとしているとしか思えませんて。
主人公のドクロTシャツ姿も、現実と虚構をごっちゃにして暴走したFPSゲームオタクか何かにしか見えないのが痛い。さすがに最後までその姿ではヤバイと思ったのか、ラスト直前、息子の復讐名義で葬っちゃってますが(苦笑)。
最後の爆炎で浮かび上がるマークも、主人公はわざわざ計算して爆弾を仕掛け回ったのかヨ!と舞台裏を想像すると笑けてきちゃいます。
監督は脚本業が主なようなので、どうにも今回監督したはいいけれどスタジオ側の要望通りに作らされて……てな感じっぽいですな。
でも、コレ続編決定してるんですよね。
アメリカ人の感覚は分からん。






