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まぼろしの旦那 [2008年03月10日(月)]

ついつい書きそびれている間に今週最終回を迎えてしまう『幻十郎必殺剣』(テレ東/金曜夜8時)が面白い。『逃亡者おりん』を祖とする金曜時代劇枠で一番のお気に入り。

「同心・神山現十郎は五年間の投獄の末、死罪を言い渡された。だが、残首の刑を迎えたはずのその日、現十郎は蘇った。そして、自らを嵌めた黒い企みを暴き、幻として生きる定めを背負った。彼は自らをこう呼んだ──"死神幻十郎"と」


さすが北大路欣也。芝居&殺陣を安心して見ていられます。

脇を固める俳優も、気の弱い上司(?)役を笹野高史、元盗人で幻十郎の身の回りの世話をする情報屋役を尾美としのりですよ。

笹野高史といえば『八州廻り桑山十兵衛』(テレ朝)でも北大路欣也の上司役でしたが、また違った力関係でいい味出しています。

尾美としのりといえば『鬼平犯科帖』(フジ)の"うさぎ"。私的には北大路欣也版『名奉行!大岡越前』(テレ朝)はかなり鬼平ライクな作品と思っているので、北大路欣也の下に付く尾美としのりというのはとても自然です。


幻十郎を蘇らせた黒幕役には出番は少ないながらも中村敦夫を配することで画面を引き締めるなど、金曜時代劇史上、最強の布陣かと。

同枠の前作『お江戸吉原事件帖』がちょっとイマイチで私は途中脱落してしまっただけに、高い水準で戻ってきたことが嬉しいです。今や本当に火曜時代劇の後を担ってくれていますよ。

ちなみに作品概要を最初に目にした時は「地獄から蘇った」などというフレーズがあり、始まるまで「まさかオカルト時代劇!?」などと思っちゃってました(笑)。

(もちろん本当は「世間的には死んだことにし、表で裁けぬ悪を裏で裁く存在となる」という、ある意味ヒーローの王道設定です)


物語は妻が暴行され自害した事件には裏があり……と始まりますが、この手の設定はその犯人を探すことを最終目的にして話数を重ねることが多い(『逃亡者』然り)ところを、本作では初回2時間SPで解決。

しかし、亡き妻を巡る因縁はドラマの底で流れ続け、それにより人間関係に深みが出ているのがいい。

現十郎の妻を死に追いやった男の妻・志乃にとっては、夫を斬った幻十郎は仇であるはずなのに、しかし、彼への想いは募り……。かたや幻十郎にとっても、志乃を憎からず思いながらも自分は彼女の夫を斬ったのだと自分に言い聞かせる。う〜ん、大人。

さて、最終回は当然楽しみにするとして、金曜時代劇枠の次回作にも期待したいですね。



で、もう1本、時代劇といえば『水戸黄門(第38部)』にも少々触れておきますか。

鬼若&アキ退場後の新シリーズですが、新レギュラーに医者を目指す武家の娘・志保役で小沢真珠が加入。由美かおる1人に負わせていた女っ気の補強といったところでしょうか。

初回の黄門様が旅に出るきっかけの事件でゲスト的に登場し、そのまま人探しを目的に黄門様一行に加わるという流れ。

キャラの立ち位置が安定していないので、これからに期待……と思ったら、医者絡みの理由で度々旅から離脱。どうにも取って付けたような理由なので、小沢真珠の撮影スケジュールの都合とかなんとかだったりするんでしょうか?


構成的には前シリーズから再登場した風車の弥七効果で、無理のない展開ができるように。

内容的には当初はこれまでの上っ面感を拭いきれていませんでしたが、黄門様一行が狂言回しに徹するなど、各回のドラマに時間を割くようになるといい感じに。

(第7話はゲストの中条きよしの演技も相まって良い感じでしたし、今週の第10話でも長屋の住人たちを中心に、黄門様一行は周辺の露払い役となることで人情話が丁寧に描写できていましたから)

現代を投影した大味な政治ドラマなんぞより、こういう庶民のドラマが見たかったんですよ。ようやく水戸黄門に期待が持てるようになれてなによりです。どうかこのまま進んで下さいな。

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