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ボウリング・フォー・コロンバイン [2005年05月25日(水)]

●ボウリング・フォー・コロンバイン

監督/製作/脚本:
マイケル・ムーア


1999年4月20日、コロンバイン高校を舞台に起こった銃乱射事件。生徒2人の手により12人の生徒と1人の教師が殺害され、その後、犯人の2人は自殺した。メディアは暴力的な映画・ゲーム・音楽が悪いのだと書き立てた……が、しかし本当にそうなのだろうか?


……とにかく今作を観て欲しいです。
各々、内容に対しての是非はもちろんあるとは思いますが、是だろうが非だろうが、観て自分が何を感じるかを見つめて欲しい。今の時代を考える取っ掛かりとしてこれ以上の物はありません。全てはそこからです。

ドキュメンタリーとはもちろん実際にあったこと。
だからといって真実の姿でもありません。
そこには作り手の視点=フィルターが存在するからです。

今作もあくまでもムーアの視点で切り取られたもの。
そんなの当たり前と思うかもしれません。
しかし、こうしたドキュメンタリー映画に限らず、普段流れているニュースにも何者かの視点があるのだと自覚して見ている人はどれだけいるでしょうか?
キャスターやコメンテイターの意見とか、そういう次元の話ではなく、映像素材の選別や編集はもちろん、事件の拾い方からして情報の取捨選択は常に行なわれているのです。

今作でも米版『警察密着24時』が特定の印象を視聴者(特に白人)に与えている状況を浮き彫りにしていますが、私たちはそうした情報にどのようなフィルターが掛かっているかを見極める目を持たなければなりません。

今作が引っ張り出そうとする真実への最大の障壁《全米ライフル協会》。最後はその会長であるチャールトン・ヘストンへのインタビューを敢行しますが、遂に現れたラスボスと思っていたその男の姿にきっと愕然とすることでしょう。

一体、アメリカは他の国と何が違うというのか?


ムーアは確信犯的に「笑い」で情報を包んでいます。
それは観る者の心に深く入り込み、消えずに残ります。
私はラスト、ボウリングをするムーアの姿を見て思いがけない涙が頬を伝いました。
ムーアが放るボウリングの玉……胸に響きました。

ヘルボーイ [2005年05月24日(火)]

●ヘルボーイ

監督/脚本/ストーリー:
ギレルモ・デル・トロ(『ブレイド2』
出演:
ロン・パールマン(『ブレイド2』)
セルマ・ブレア(『クルーエル・インテンションズ』)
ルパート・エヴァンス
ジョン・ハート(『エレファントマン』)


ナチスドイツと妖僧ラスプーチンの実験(の失敗)により人間世界に現れた赤ん坊。真っ赤な体。石のように硬い右腕。超常現象学者ブルーム博士が保護し名付けた名前は《ヘルボーイ》。時は現代、博士の元に《超常現象調査防衛局》が設立され、ヘルボーイはトップエージェントとして魔物退治をしていた。そんなある日、妖僧ラスプーチンが復活を果たした……。


最近多いアメコミ原作のヒーロー物の1本。
設定は面白い。キャラ造形は最近のアメコミヒーロー物の中で一番いいです。ナチの亡霊クロエネンの二刀流アクションなんてキャラが立ちまくってるし。

アクションもけれん味たっぷりで『ブレイド2』のデル・トロ監督らしい。ヘルボーイと水棲人間エイブが「レッド」「ブルー」と呼び合う姿も戦隊ヒーローっぽくて楽しい。でもブルー戦闘力なさすぎ(笑)。まあ情報担当だけどさ。

この「腕力至上主義」はアメリカ人のヒーロー感まんまなので根っこはやはりバタ臭い。稲妻を操るイエローとか樹木を操るグリーンなんてのが加わったモンスター戦隊を希望したいところ。

残念なのは物語運びがもっさりしていること。
ヘルボーイが想いを寄せる念動発火能力を持つリズと、新人FBI捜査官ジョン・マイヤーズとの仲をやきもきして後をつけるくだりなんて中だるみの極みだし。
こうした愚痴るキャラクターというのもヘルボーイの持ち味のようですが折り込み方がイマイチ。ま、デル・トロ監督だしぃ。

最後はこんな化け物どうやって倒すんだよ〜……とか思ってたらあっさり倒せちゃうし。どうしても日本人が持つヒーロー感とのギャップはあるので過度な期待は禁物です(劇場版『仮面ライダー剣』のクライマックスと比較してみよ!)。


ヒーロー映画としてハズしてはいない佳作。
とりあえず観て損はないかな?

しかし、なんだかんだ言ってナチスドイツって物語のいいネタなんだなぁ。普段は映画等での扱いに敏感だったりするくせにアメリカ人て謎。単純に本音と建て前?

ペイチェック/消された記憶 [2005年05月23日(月)]

●ペイチェック/消された記憶

監督:
ジョン・ウー(『フェイス/オフ』)
出演:
ベン・アフレック(『デアデビル』
ユマ・サーマン(『キル・ビル』
アーロン・エッカート(『ザ・コア』


主人公マイケルは短期間で目覚ましい成果をあげる凄腕エンジニア。様々な企業の極秘プロジェクトにも関わっている。高報酬だがプロジェクトに関わった間の記憶を消去して機密漏洩を防ぐアフターサービス付き。そんなある日、3年に及ぶ報酬100億円の仕事を受けることに。そして3年後……記憶が消えた後に聞いたのは自分が報酬を辞退したということ。受け取ったのは19個のガラクタのみ。一体、自分の身に何が起こったのだろうか?……


やっぱ、ジョン・ウーにサスペンスは無理か。戦争映画になっていなかった『ウィンドトーカーズ』同様、完全にただのアクション映画になっちゃっててガッカリ。謎を探る快感は皆無(序盤でタ○ムマ○ンだとモロわかりではねぇ)。かといってベン君の棒術もアメリカ的な力技になっちゃっててカッコ良くないし。

他のディック作品と違って、ほぼ現代が舞台なのはジョン・ウーがSFが嫌いだからなんだろうなぁ。この図式は「顔の移植」というSF要素を自然に使っていた『フェイス/オフ』に近いように感じなくもないですけど……。

ただ『フェイス/オフ』の場合は香港映画が持つ「強引な展開のための安易な超科学の使用」の延長線上であって、元々SFたる今作において同様の作りをする必要はそもそも無いでしょうに。《記憶消去》《タ○ムマ○ン》という強烈なSF要素が現代劇に馴染むはずもなく……でも結局SFが嫌いだからなんだろうなぁ。だったら監督なんぞ引受けないでくれ。

ベン君が相変わらず筋肉バカにしか見えないのも難。こうした役に次々と彼が起用される現状は理解に苦しみますな(『チェンジング・レーン』『トータル・フィアーズ』では製作側が意図していないであろう「無能キャラ」としてなら成立してると思ってますが)。アメリカ人って分からん。


過去のディック映像化作品『ブレードランナー』『トータル・リコール』『スクリーマーズ』『クローン』『マイノリティ・リポート』の中で最低な出来。とにかくSFファンは観ちゃダメ。アクション映画として観るにはSF要素の理解が必要だし……一体誰が喜んで観るんだ?

フレディVSジェイソン [2005年05月22日(日)]

●フレディVSジェイソン

製作:
ショーン・S・カニンガム(『13日の金曜日』)
監督:
ロニー・ユー(『チャイルドプレイ/チャッキーの花嫁』)
出演:
ロバート・イングランド(『エルム街の悪夢』)
モニカ・キーナ(『スノーホワイト』)


エルム街の住人たちがフレディの恐怖への対抗策として「彼を忘れ」ていた。恐怖を糧とするフレディは力を失うことを恐れ、現実の殺人鬼ジェイソンを利用してエルム街に恐怖を取り戻そうとした。そしてジェイソンによる殺人が起こると人々はこう呟いた「……フレディの仕業だ」と……。


長年の企画が遂に実現!(って、先日『T3』でも書いたような(笑))。まさに夢の対決。夢の対決といえば往年の東映まんがまつり『マジンガーZ対デビルマン』や『キングコング対ゴジラ』を思い出します(これらのタイトルはパンフにも掲載されてましたが)。

テレビ等の媒体では「2つの恐怖の対決」といった口調が目立っていましたが、恐怖感はゼロ(まあ、そんな前宣伝を信じて観た人もいないでしょうけど)。今作は「恐怖のセメントデスマッチ」という謳い文句のプロレス(特にアメプロ系)を観戦する気分で観ましょう。

ストーリー的には『エルム街の悪夢』にジェイソンが客演している形かと。冒頭から変な展開だなぁと思えば既に夢の中。アメリカのローティーン向けなのかフレディはかなり説明的で親切な作り。もっと何が起きているのか分からないようにしておいて、実は裏にフレディがいましたって展開の方が面白かったと思うんですけどねぇ。

ジェイソン役は『13金』シリーズ後半から『ジェイソンX』でも担当していたケイン・ホッダーからケン・カージンガーにバトンタッチ。理由はケインだと大きすぎてフレディと並ぶと強そうに見えすぎるかららしいですけど、逆にジェイソンが小柄に感じて貧弱くんに見えちゃってます。

そもそも「力のジェイソン」対「技のフレディ」の対決なんだから体のサイズが対照的な方が効果的だと思うのですが……これって日本人の感覚?

ラストは誰もが思った通りの引き分け(引き分け方はさすがにここでは書きませんけど)。しかも、あの終わり方では2つの世界が交わったままだし。今作は言ってみればアメコミでのクロスオーバー作品みたいなものなんだから、最後は各々の世界に戻っていくようなオチにして欲しかったのココロ(それに、きっと今作の続きは作らないでしょ?)。


ま、今作は恐怖抜きで2人の肉弾戦を楽しめる人にならお薦め出来る……かな?

さて、夢の対決第2弾は『エイリアンVSプレデター』が控えていますが、言ってみればこちらは純粋な怪物対決。それならば今作のようなアクションは逆にハマると思うので期待したいものです。

ブレイド2 [2005年05月21日(土)]

●ブレイド2

監督:
ギレルモ・デル・トロ(『ミミック』)
出演:
ウェズリー・スナイプス(『ホワイトハウスの陰謀』)
ノーマン・リーダス(『処刑人』)
レオノラ・ヴァレラ(『テイラー・オブ・パナマ』)
ドニー・イェン(『修羅雪姫』武術指導)


母親が妊娠中に吸血鬼に教われた為にヴァンパイア・ハーフとして生まれた《デイ・ウォーカー》ブレイド。自らの吸血鬼の血を呪いながらも、その力で吸血鬼を狩る男。今回は人のみならず吸血鬼をも喰らう《リーパーズ(死神族)》の存在で吸血鬼と共同戦線を張ることになるが……。


いいなぁ、コレ。続編として真っ当な作り方ですな。スナイプスの自己陶酔演技が今回も全開です。もうヒーローをやりたくてやりたくて仕方がないって感じが画面から溢れてきて観ていて気持ちいいです。

そもそも、スナイプスは『スポーン』映画化の際にスポーン役をやりたがったぐらいですからね。この『ブレイド』の企画を目にしてもうノリノリで自ら主演に名乗りを上げ、プロデューサーまで買って出る程。

スナイプスは「香港スタイル」を望み、1作目でもスピード感あるチャンバラ殺陣を繰り広げましたが、今作では更にドニー・イェンを迎え、もう香港アクションテイスト200%アップです。

最近のハリウッドでは香港スタイルがもてはやされていますが、やはりアメリカ人好みのアクションはどっしりした筋肉による力技ですから。新鮮さのみで扱ってはいるものの、その真髄をまともに理解しているとは思えないレベルがほとんど。

そんな中にあって今作ではCGとの組み合わせで究極の香港アクションハリウッド映画に仕上がっています(CGキャラの大胆な使い方はスパイダーマン以上!)。


まずは1作目からどうぞ(監督はスティーブン・ノリントン(『デスマシーン』))。ちなみにDVDならNGカット=もうひとつのエンディングが収録されており、変更も当然という出来はある意味必見かも?

それにしても今作はパンフレット(プログラム)が作られていなかったのがもう大ショック! 何故!?

ブラックホーク・ダウン [2005年05月20日(金)]

●ブラックホーク・ダウン

監督:
リドリー・スコット(『ハンニバル』)
出演:
ジョシュ・ハートネット(『パール・ハーバー』
ユアン・マクレガー(『SW/エピソード1』)
トム・サイズモア(『レリック』)


1993年、ソマリアの長きに渡る部族間闘争により30万もの人々が飢餓で死亡。赤十字等の支援が入るも物資はアイディード将軍一派に略奪されていた。
この事態に対し国連は平和維持軍(=米海兵隊)を派遣(アメリカの利権がらみの無理やりの介入という側面も)。物資の保護と部族間の停戦を求めた。
しかしアイディードはそれを自分への敵対行動として国連パキスタン兵士24人を殺害。宣戦を布告。それに対しアメリカは報復攻撃を行い事態は悪化していく…。

映画はその後、業を煮やしたアメリカがアイディードの副官2名の捕獲作戦を実行する所から始まるわけです。


この映画で感動したなどという人は何人いるんでしょうか? おすぎさんはこの映画に五千円出してもいいと言っていたそうですがガッカリです。

リドリー・スコットは「この映画はソマリアへの介入が善か悪かの審判は下さず、ただ問いかけただけ」だそうですが、私は首を傾げざるを得ません。単なる娯楽作なら受け取る側次第でも構いませんが、事実を描く場合、そこに監督の目線を入れずにどうするのか。事実だけならドキュメントやニュースで十分です(厳密にはドキュメントも誰かの視点がありますが)。

そう言っておきながら画面からは「アメリカの兵隊って素晴らしい」描写のオンパレード。まあ逆にブラックユーモア的にも見えましたけどね。自ら間違えた状況の中で七転八倒する様を笑え、と。……ん?もしやこっちがリドリー・スコットの目線か?(深読みですか?)

今のアメリカでは声高に戦争否定発言は出来ないと萎縮したのでしょうか? だとしたらそれこそ監督なんてするなと言いたいですね(単にソマリア介入を善と思っているだけかもしれないですけど)。


ソマリア側の描写なんて無いに等しい中、戦争物の定石=米兵同士の友情要素で単純に泣く人間が多いと思うと腹が立つというか情けないというか。

ソマリアの映画館ではブラックホークが墜ちるシーンで若者が拍手するそうです。その気持ちわかりますね。国粋主義者でも何でもない私でさえ『パール・ハーバー』では真珠湾攻撃シーンだけが面白かったですから。

ブラック・ダイヤモンド [2005年05月19日(木)]

●ブラック・ダイヤモンド

監督:
アンジェイ・バートコウィアク
(『ロミオ・マスト・ダイ』)
出演:
ジェット・リー(『ザ・ワン』
DMX(『DENGEKI/電撃』)
ケリー・フー(『X−MEN2』
マーク・ダカスコス(『ジェボーダンの獣』)


めっちゃ面白かったです。最近のジャッキー・チェンの甘口アクションに寂しい思いをしている身にとって、ジェット・リーの切れ味抜群の辛口アクションは本当に今の私の心の拠り所になってますです、ハイ(……ホント、そろそろ危機感持ってよ、ジャッキー(泣))。

そんなめっちゃ面白かった今作にも問題点が。
それはなんだかんだ言ってもDMXが主人公だということ。

一応、今作はジェット・リーとDMXのダブル主役なのである程度は仕方がないとはいえ、空港を去るラストカットがDMX中心で、なんとジェット・リーはフレームの外扱いでやんの、こんちくしょーめ。

物語はDMX演じる強盗グループのリーダーが《ブラックダイヤモンド》を手に入れたことに始まり、その後、彼の娘が誘拐されることで動いていくので、確かにリー演じる台湾の秘密捜査官という立場はドラマの中で「よそ者」になってしまうのも事実です。

でも《ブラックダイヤモンド》争奪戦の裏に暗躍する真実を知る(味方側では)唯一の存在というのは、劇中、ジョークでカンフー版ボンドと呼称される通り007的主人公の資質十分でもある訳で。

おそらく製作の問題として主人公2人の扱いを同等にせざるをえなかったのでしょうが、しかし、どちらかに針を振るべきでした。


別にDMXを主人公にしても構わないのです。
でもその場合、ラスボスとの一騎討ちはDMXが務めているはず。力不足も何のその、格下の者は知恵と勇気で乗り切ればいいんです。リーはケリー・フー演じる側近の女性との一騎討ち担当となるはず。

でも、ラスボスはマーク・ダカスコスですよ?
リーと一騎討ちする為の好敵手以外の何者でもありません。
だから、この時点で主人公はリーなんです(断定!)。

そうなると、クライマックスでのリーとダカスコスの一騎討ちは全然食い足りないです。あぁ、もっともっと見たかったなぁ。合間に別の場所で起こっている「DMXのドタバタ」と「女同士の一騎討ち」がインサートされてますが、そんなもんいらないってば。

そもそも女同士の一騎討ちは、リーを相手に出来るぐらいの手練の女と、単なる強盗グループの紅一点レベルが対等に闘えている不自然極まりない代物。なので、助演のDMX君(笑)を加えた2対1対決にして欲しかったですね。


今作は本気のジェット・リー主演作だったら完璧!だったかも。出来れば、このカンフー版ボンドを主人公にしたシリーズ続編を希望!!

不眠症−インソムニア− [2005年05月18日(水)]

●不眠症−インソムニア−

監督:
エーリク・ショルビャルク
出演:
ステラン・スカルスゲート
(『ダンサー・イン・ザ・ダーク』)
ビヨルン・フローベリ(『デュカネ/U-401の謎』)


ハリウッドでアル・パチーノ主演でリメイクされた『インソムニア』のオリジナル版ノルウェー映画。話の大筋はほとんど同じでしたが、こちらはミニシアター系の秀作といった雰囲気で、受ける印象はまるで違いました。

与えられる情報も少なめで、初見だと少し戸惑うかもしれませんね(私もリメイク版前提で把握したところも大きいと思いますし)。

例えば、主人公が証拠の捏造をした過去については周囲の噂話で語られるだけで、不眠症に陥る重要な要素としては余り感じませんでしたし、また、主人公にとって射殺した同僚がどういう立場なのかが曖昧で、射殺が故意だったのか?過失だったのか?による心理的な追い込まれ具合もいまひとつでした(まあ、こちらの主人公は感情を表に出さないクールな性格設定になっているので、そのせいもあるでしょうが)。

今作も悪くはないのですが、私はリメイク版の方が好きですね。オリジナル版が主人公を客観的に見ているのに対して、リメイク版のとことん内面に入り込む描写は観る者を引き込みます。

また、同僚の射殺事件を担当する女性刑事の扱いも、オリジナル版は単なる脇役に毛が生えた程度で、主人公への迫り方が弱く感じます。リメイク版での主人公と犯人と女性刑事の3人が作り出すトライアングルがクライマックスで収束する感覚の方が凄いです……って、リメイク版の方が良くて当たり前ですね(本来は)。

まあ、先に観たインパクトも大きいかもしれませんけどね。


ラストは、まるで最近流行の《別バージョン》の様でもあり、観比べるのも一興ですが、普通に観るならどちらか1本でいいと思います。一般的にはリメイク版、ミニシアター系好きな人ならオリジナル版がお勧めですね。

フォーン・ブース [2005年05月17日(火)]

●フォーン・ブース

監督:
ジョエル・シューマカー(『評決のとき』)
出演:
コリン・ファレル(『マイノリティ・リポート』
フォレスト・ウィティカー(『パニック・ルーム』
ケイティ・ホームズ(『ギフト』
ラダ・ミッチェル(『ピッチブラック』)
キーファー・サザーランド(『24』)


主人公・スチュは携帯電話片手に口だけで渡り歩く情報屋。彼はいつも決まった公衆電話で女優の卵・パメラを口説くのが日課だった。今日もいつもの様にブースに入りパメラを口説くスチュ。電話を終えブースを出ると不意にその公衆電話のベルが鳴った。何気なく受話器を取るスチュだったが、それが恐怖の始まりだった……。


今作は劇中のほとんどがひとつの電話ボックス(=フォーンブース)周辺での出来事というサスペンス。別の画面といえば序盤でスチュという男を説明するくだり程度。劇中時間が上映時間とほぼ同じく進行する点も含め、こういった作りはめっちゃ好みなもので期待に胸膨らませましたよ。

序盤、電話の男に「女房に自分の過ちを告白しろ」と脅されてブースから出られないスチュにからんでくる売春婦たちのくだりが少々冗長に感じましたが、1人の人間が電話の男の手で射殺され、スチュが射殺犯と誤解されてからの転がり具合はかなりいい感じでした。

終盤、犯人の正体は?となる段で、序盤でスチュがないがしろにしていた面々が1人、また1人とやじ馬の中に顔を出す演出は「……もしや、彼等の中の誰かが犯人なのでは?」と考えて観ていた場合、まるでミステリー物の犯人が消去法で絞られていくが如しで手堅い見せ方。さすが職人監督と呼ばれるところでしょうか。

残念なのがオチ。ちょっと……いや、かなりありきたり。多分、よっぽど勘の悪い方でない限りバレバレでしょう? トリッキーな作品だけにオチも特別な何かでないとバランスが悪いです。こうなると序盤のピザのくだりの「いかにも伏線」という見せ方も分かりやす過ぎですね。この辺は職人監督の悪い面でしょうかね?


結論。こういった1シチュエーションへの意欲的な取り組みは評価できますし、実際、中盤での二転三転する駆け引きの妙はとても楽しめました。が、オチが普通なので全体の印象も普通に。惜しいなぁ。ま、事件の経過自体を楽しむなら十分お薦め出来る作品ということで。

フィアー・ドット・コム [2005年05月16日(月)]

●フィアー・ドット・コム

監督:
ウィリアム・マローン(『TATARI』)
出演:
スティーブン・ドーフ(『ブレイド』)
ナターシャ・マケルホーン
『キリング・ミー・ソフトリー』
スティーブン・レイ(『クライング・ゲーム』)
ウド・キアー(『ブレイド』)


うん、確かに和製ホラーっぽい雰囲気の作品。
「あるサイトを訪れた者は48時間後に必ず死ぬ」という要素ひとつとっても『リング』の影響を受けているのは疑いようがないでしょう。

とはいえ「っぽい」止まりなのが『ザ・リング』と違うトコ。完全ハリウッド製のためか、心理的恐怖描写を狙ったであろう場面が思ったほどは機能していなかったりして、真似ている感が強いです。和製ホラー風味という先入観を外して「心霊要素のあるサスペンスホラー映画」として観た方がいいかもしれません。

物語は「目から血を流して謎の死を遂げる者が続発する事件」を中心に、「自ら行なう殺人の様子をサイトで公開している男」の存在を挟みながら進んでいきます。

主人公が事件を追う内に、これら2つの視点がクライマックスで収束する感覚は『羊たちの沈黙』を彷佛とさせますし、やはりハリウッド流の仕上がりが目につきますね。

今作は心霊描写がちょっと俗っぽい所もありますが「連続猟奇殺人犯を追う刑事」という類いが好きな人なら十分楽しめると思いますよ。


監督の作風は前作『TATARI』と全く変わっていますが、あっちはあっちで《ダークキャッスル》ブランドを優先していた部分も大きかったでしょうし、どちらが本当の作風か把握しかねますな。ただ、以前に原案を手掛けた『スーパーノヴァ』を踏まえれば、やはり今作が異色なのかも。彼は意外に手堅い職人タイプかもしれませんね。

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