2005年06月
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ワンス・アンド・フォーエバー [2005年06月23日(木)]

●ワンス・アンド・フォーエバー

監督:
ランダル・ウォレス(『仮面の男』)
出演:
メル・ギブソン(『ブレイブハート』)
マデリーン・ストウ(『クローン』)
バリー・ペッパー(『プライベート・ライアン』)
クリス・クライン(『ローラーボール』)


大凡作。大駄作。なんですか、これ。
オノ・ヨーコなんかが「これは立派な反戦映画」と言ったとか(CMに使われたり)。でも私は印象としてそうは思えなかったため、あえて映画館に足を運びました。


実際、映画では「兵士は戦争の犠牲者だ」と言いかけたかもしれませんが言い切ったとはとてもいえません。
所々にアメリカ本土で待つ妻(&家族)たちの描写や、軍上層部(&政府)のメンツ最優先の言動などを入れてはいますが、そのどれもが添え物程度で掘り下げは皆無。

それにベトナム側の描写は『パール・ハーバー』の日本描写に比べればかなりマシながらも「人」として描いているとはとても言えないレベル止まり(反論ある方もいるでしょうが、唯一恋人の写真を持つベトナム兵がマシな部分であり、その兵士の扱いの低さが全てを表していると思います)。

ベトナム兵をゾンビやエイリアンの大群に見立てるがごとくの戦闘画面をただ映し出すだけに終始するばかりで、その上、原作者の1人である記者の視点も小さいときては作品の「軸」がまったく見えてきません(同様の『ブラックホーク・ダウン』では監督の言葉こそ無かったもののソマリア介入という過ちの中で七転八倒するアメリカを笑う視点があったのに対して)。


監督曰く「これは愛と犠牲とリーダーシップの物語」であり、だから「ベトナムの話だとは考えていない」「戦争の話だとも思わない」そうです。だったらベトナムなんて扱うなよ!と言いたいです。

結局、画面を埋めつくすのはボーイスカウト気分ばかり。……いえ、間違った認識をしていたのは私の方なのかもしれません。アメリカ人にとっての軍隊とはボーイスカウトと同義の価値で成立しているのでしょうね。私も別にそれを否定する気はありませんよ。しかし、戦争という存在をそんな安っぽい友情論で括ってもらっちゃ困ります。


9・11NYテロは憎むべき犯罪ですが、その一番の罪はアメリカを被害者にしてしまったこと。ベトナム戦争をも肯定しようとするに至ってはまさに戦争の狂気そのものではないでしょうか。

WASABI [2005年06月22日(水)]

●WASABI

製作/脚本:
リュック・ベッソン(『ニキータ』)
監督:
ジェラール・クラヴジック(『TAXi2』)
出演:
ジャン・レノ(『レオン』)
広末涼子(『秘密』)


リュック・ベッソン製作よりも『TAXi2』の監督ということに安心&納得。日本観も他の外国映画に比べてかなりマシです(『TAXi2』の時はおバカ映画だったからわざと忍者を出したのでしょう……多分)。新宿に向かって秋葉原に着くのはご愛敬。

ストーリーはあって無い様なレベルのもので、父と娘のドラマなんて期待しちゃいけません。この映画への大方の興味は広末涼子の出来に尽きるのでしょうが私は正直余りいいとは思えませんでした(あのコギャルっぷりこそが広末の地だと思うんですけど…どうでしょう?)。

いや、今までの広末となんら変わりない姿なので今まで広末をいいと思っている人なら問題は無いでしょう。私は今まで一度も広末の演技をいいと思ったことが無いので……ファンの方、スイマセン。

今作は今までのリュック・ベッソン作品の縮小再生産映画といった趣なので手堅い出来。ちゃんと楽しめますよ。

ワイルド・スピード [2005年06月21日(火)]

●ワイルド・スピード

監督:
ロブ・コーエン(『ステルス』
出演:
ポール・ウォーカー
ヴィン・ディーゼル(『ピッチブラック』)
ジョーダナ・ブリュースター
ミシェル・ロドリゲス


公道レースに君臨する男・ドミニク。新参者のブライアンが彼に挑戦する。レースに負けはしたが、警察や対立グループとのやりとりの末、ブライアンはドミニクの仲間になった。だが実はブライアンは頻発するトラック強盗を調べるための潜入捜査官だったのだ。トラックは高速移動中に襲われている。想定される犯人像は改造車を駆る公道レーサー。果たして誰が犯人なのか……。


テレビでやってたから観た。それだけ。
金を払ってまで観たいと思わなかったので。
まあスピード感は良かったと思いますよ。
でもね……

『頭文字D』もそうだけど、こういう暴走族連中には感情移入できません。どれだけ主人公クラスが正当性を訴えたところで人の迷惑を顧みない人間であることには変わりない。馬鹿なのは周りに集まる人間だけだと言ったところで、そういう環境を許している時点でアウト。

中盤の砂漠でのレースみたいに、ちゃんと場所を借りて草レースするなら理解できるのだがねぇ。一応、劇中でドミニクらがこうした場所に身をやつした理由が語られるがそれがどうした。それでも真っ当に生きている人間はたくさんいるっての。

以下、オチ書いてます。

しかも実際にドミニクらがトラック強盗団ときては弁解の余地もありません(トラック運送会社が品物を横流ししてるうんぬんで強盗団を義賊に仕立てるならまだしも)。結局、他人の生活を壊してる上でのうのうと生きている人間じゃん。

クライマックスのトラックとのチェイスシーンでは、ショットガンで自己防衛しているトラック運転手がまるで悪役扱い。さらにラストでは人種の違う対立グループの人間(=中国人)がドミニクの仲間を殺す役割を担うことで、主人公らがまるで悪くないかのような印象を(頭の悪い観客に)与えることに成功してます。


ま、元々、ああいう世界を好きな若者向け映画なので、説教臭い要素は完全に排除したってことでしょうな。そういう若者はどうぞ。

ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還 [2005年06月19日(日)]

●ロード・オブ・ザ・リング/王の帰還

監督:
ピーター・ジャクソン(『さまよう魂たち』)
出演:
イライジャ・ウッド(『パラサイト』)
ヴィゴ・モーテンセン(『ダイヤルM』)
オーランド・ブルーム(『ブラックホーク・ダウン』
イアン・マッケラン(『ゴールデン・ボーイ』)
クリストファー・リー(『吸血鬼ドラキュラ』)


壮大な物語の完結編。
今年のアカデミー賞作品賞ほか11部門受賞作。

多分、多くの観客がそうであったと思いますが、もう、サムに感情移入して観ちゃいましたよ。フロド、しっかりせいや、と(指輪の魔力ってのがどうにも実感しにくいため、指輪の囁きにフラフラするフラドがあまりにもじれったく感じてしまうのが本作最大の難点かも)。

最後の最後で指輪の囁きに負けるフロドは主役としてはあまりにも脆い。冒険の果てに勇者足り得るよう成長するのが映画的であるのに対し、その姿は物語の主役としては本来致命的ですらあります。

しかし、誘惑、疑心、欲望……そんな弱い存在こそが人間の姿そのものなんですよね。だからこそ、その中でもがき苦しみながらも、1人では不可能なことでも仲間同士で支えあうことで乗り越えられるのだと本作は語っているわけですな。


ボリューム的にも前作以上で完結編としてしっかり満足出来ました。とはいえ重箱の隅も少々。

目立ったところでは、人間の男には倒せない《魔王》は、きっと女性(=ローハンの姫)に倒されるだろうとバレバレなのに特に捻りがなかったのは残念。長らく引っ張った敵キャラの割に映像としてもあっさり倒されてる風にしか見えずもったいない。

か弱き者が倒すというコンセプトは良いので「人間の男の剣では切られないと油断している魔王は、簡単にその者の剣を身に受ける。しかし、剣は魔王の体にめり込む。驚愕する魔王。その者の兜が脱げると中身はローハンの姫。慌てた魔王は必死に抵抗。もちろん力は魔王の方が圧倒的に上なため姫の体はボロボロに」といった感じで、魔王それ自体は圧倒的な存在であって欲しかったですね。その上で「姫が死にそうになるギリギリのところで突き上げた剣が魔王の胸を貫く」ってな決まり方をすればOKだったかと。

巨大象なんかも弓矢数本で倒れるなんてイマイチ戦闘が軽く感じがちに。今でいう重戦車並の存在なんですから、もっと「如何にして倒すか?」で趣向を凝らしていただきたかったかな?

ま、だからといってこうした点を微にいり細にいり描写されて、アレ以上長くなったらなったで困るんですが(笑)。


ラスト、冒険が終わって、新たなる王の戴冠式の場で盛り上がり、そのままエンドクレジット……かと思いきや、その後、ホビットの村に帰った4人のその後が20分以上もかけて描かれるエピローグの演出に関して「長すぎ」「想像させてほしかった」といった意見もあるようですが本当にそうですか? 確かに少々冗長にも感じましたが、ただ、冒険を終えた自分が以前の自分に戻れないもどかしさ、寂しさもこの作品のテーマのひとつとすれば必要な描写であったと言えるでしょう。

そして、それと同時にそうしたフロドを見送り自分の日常へと戻っていったサムによって、彼の目線で本作を観ていた私などは、彼と共に日常に帰ることで、今までの旅路をまさに当事者の気分で顧みることが出来るという効果もありました。

これほどの完成度でファンタジー世界が構築された奇跡。ただの映像バブルに終わらない中身はピーター・ジャクソンの手腕か。これを観ずしてファンタジーを語るなかれ、ですね。

ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔 [2005年06月18日(土)]

●ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔

監督:
ピーター・ジャクソン(『さまよう魂たち』)
出演:
イライジャ・ウッド(『パラサイト』)
ヴィゴ・モーテンセン(『ダイヤルM』)
オーランド・ブルーム(『ブラックホーク・ダウン』
イアン・マッケラン(『ゴールデン・ボーイ』)
クリストファー・リー(『吸血鬼ドラキュラ』)


おおおっ、燃えるぅ〜。
いや〜、今回は本当に面白かったです。

尺は相変わらず長かったですけど、見せ場の連続で飽きることなく観れました。『ハリーポッター』もそうでしたが「続編」は世界観の説明を必要としない分、純粋に物語を見せられる利点がありますしね。実際、冒頭いきなりガンダルフの「あの後」を描いて始めてくれちゃって、ワクワクさせられっぱです。

今回は前作からは想像も出来ない程に、全てのキャラが活き活きと動いてます(まさかホビットの残り2人があんなに活躍するとは思いませんでした)。

中でも今回の中心は何と言ってもアラゴルンたち。アラゴルンの男気溢れる騎士っぷり。そんなアラゴルンへの信頼と友情を抱くレゴラス。ギムリの豪快さとユーモラスさ……もう、出来過ぎですよ、これ。


今作を観ると、まさに前作は冒険前夜を描く序章にすぎないと感じることでしょう(だとすると、やはり前作の3時間は長すぎです。DVDでは更に未公開シーンを加えたロングバージョンが出た様ですけど……オイオイって感じです)。

とにかくもう合戦シーンの出来映えに感動。
掲示板にも先日ちょっと書きましたが、アニメ『ベルセルク』を観たばかりだったもので、まさか実写でこれだけの規模の物が作られてしまうことに驚愕。

それにしても今作は映画2本を連続で観せられたって感じ。普通なら中盤の《ヘルム峡谷》直前の一戦でひと区切りつけて終わってもおかしくありませんよ(事実、私はあそこで終わるものと思いましたもん)。そしたら、そこからもう1本映画を観る程に続くんですからビックリです。


次回で完結するわけですが、どうも残りの原作の量がかなりあると聞きます。……ま、まさか次回は4時間ぐらいあるとか!?(笑)

前作時にも書きましたが、第2部は原作からして面白くなるのは必然だったとはいえ、それを本当に面白いまま映像化してくれたことに大拍手です。こうなると第3部にはめっちゃ期待してまっせぇ!

ロード・オブ・ザ・リング [2005年06月17日(金)]

●ロード・オブ・ザ・リング

監督:
ピーター・ジャクソン(『さまよう魂たち』)
出演:
イライジャ・ウッド(『パラサイト』)
イアン・マッケラン(『ゴールデン・ボーイ』)
リヴ・タイラー(『アルマゲドン』)
クリストファー・リー(『吸血鬼ドラキュラ』)


今ある全てのファンタジーの原点『指輪物語』の映画化作品……ってそんなことはこんなネットをやっている程の人間なら誰でも知っていますよね(巷では「ドラクエにそっくり!」なんて発言する物知らずもいますけど)。

で、感想はというと……尺長すぎ!

私は原作ファンではありませんし原作を読んだことすら無いのですが、今作はどうやら原作を完全に映像化した代物だとか。様々なエピソードを余すことなく映像にしたのでしょう。「原作のあのシーンは無いの?」という声を無くした結果の3時間、という所ですか。

ビジュアルの完成度はよくある比較対象として『ハリー・ポッター』と比べて圧倒的な質と量です。あれだけ完全に作り上げた別世界は『スターウォーズ』に肩を並べていると思います。特撮好きの血は十分熱くなりました。撮影、視覚効果などビジュアル面でのアカデミー賞授賞も納得の出来でしょう。


でも言ってみればそれだけの作品。映画として観た場合、要素の詰め込み過ぎと展開の遅さに私は途中で飽きました。「完全映画化」というキーワードをどうしても使いたかったのでしょうか?

例えば『劇場版ガンダム三部作』。あれはテレビシリーズ(全43話…ということは正味14時間)という原作をそのまま全て繋げたわけではありません。必要なエッセンスを抽出、構成したものだったはず。

すべからくメディアの違いによる表現の違いはあって当然だと思います。映画は映画の文法で語るべきでしょう(同様の事は『ハリー・ポッター』の時も感じましたが)。

とはいえ「第一部は原作もモッタリしていてそれをよくあれだけ面白くした」という話もあるようなので、どうやら第二部、第三部に期待のようですね。

蝋人形の館 [2005年06月16日(木)]

●蝋人形の館

監督:
ジャウム・コレット=セラ
出演:
エリシャ・カスバート(『24』)
ジャレッド・バダレッキ(『フライト・オブ・フェニックス』)
ロバート・リチャード(『コーチ・カーター』)
パリス・ヒルトン(※ヒルトン一族の令嬢)
ジョン・エイブラハムズ(『パラサイト』)
チャド・マイケル・マーレイ(『フォーチュン・クッキー』)
ブライアン・バン・ホルト(『S.W.A.T.』)


いや〜、満足満足大満足!
極上のアメリカンホラーを堪能しました。

製作はホラー専門にジョエル・シルバーとロバート・ゼメキスが立ち上げたスタジオ《ダーク・キャッスル・エンターテインメント》。いやもう、ハズしませんね、ここは。

最初にダークキャッスルのロゴが映し出された時に「よっ、待ってました!」と声をかけたい衝動に駆られた私(笑)。もちろん押さえたけど(だって劇場で何度か見かけた「上映後におちゃらけてスタンディングオベーションをするような馬鹿」と同じに思われたくないですもん)。


本作は33年版、53年版『肉の蝋人形』のリメイク(ちなみに97年にもルチオ・フルチ&ダリオ・アルジェント原作で同題名作のリメイクが作られてますが)。

前作『ゴシカ』はジャパニーズホラー旋風に対抗するかのような内容で、以降、ダークキャッスルは新規ホラー制作会社に転向してしまうのか?とドキドキもんでしたが、本作でスタジオ設立時の志に戻ってひと安心。

オリジナル『肉の蝋人形』からはモチーフ程度を持ってきただけで全く違う物語を構築。先の読めない展開にドッキドキ。だって、まさか○○○○があんなことになるなんて。これぞダーークキャッソーーッ!

切るわ削ぐわブッ刺すわ、もはや米産ホラーのレーティング調整では見られないと思っていたものがここに! 『テキサス・チェーンソー』ですらマイルドになって物足りなかっただけにこれは嬉しい。さすがダーークキャッソーーッ!


内容は題名から想像するそのものなので説明不要。都会のコンサート会場に向かう若者たちが、偶然、立ち寄ってしまった町にたたずむ一軒の蝋人形館……これですよ、これ。

キャスティングではゴシップクイーンのパリス・ヒルトンが"まとも"な役で初出演しているのが、ある意味、売りだそうだけど、鑑賞後パンフを読むまでまったく知らなかった私。実際、まさに等身大な演技で問題はなかったです。

監督はこれまではミュージックビデオやCM等を手掛けていて本作が映画初監督とのこと。このプロフィールを鑑賞後に知り、ちょっとビックリ。だって大抵のミュージックビデオ出身監督って映像だけだったりノリだけだったりするのに本作ではそれらの欠片も無かったから。しっかりした演出の積み重ねで恐怖を紡ぐ手腕は素晴らしいの一言。

久々のスラッシャームービーの傑作。是非!

P.S. 今、不安なのはDVD化の際にゴージャス繋がりでパリスの声を叶姉妹(おそらく美香)が吹き替えたら嫌だなぁってことだけど、こんなマイナー映画でそんなプロモーションを仕掛けることはないか。杞憂に終われ。

レプリカント [2005年06月15日(水)]

●レプリカント

監督:
リンゴ・ラム(『ツイン・ドラゴン』)
出演:
ジャン=クロード・ヴァン・ダム
マイケル・ルーカー
(『ヘンリー/ある連続殺人鬼の記録』)
キャサリン・デント(『マジェスティック』)


久々のヴァン・ダム主演作ですが、やはりというか余りパッとしません。

監督はヴァン・ダム主演作『マキシマム・リスク』でハリウッド進出を果たしたリンゴ・ラムが再びメガホンを取っています(香港系監督はヴァン・ダム主演でハリウッドデビューした人が多いですが相互利益って奴ですか?)。

内容は連続殺人犯とそれを追うために生み出されたクローンの対決をヴァン・ダムが1人2役で演じていますが、生まれたばかりの無垢な人格を演じるには演技力が足りなさ過ぎです。逆に、珍しい悪役キャラの方がハマッていていい感じでした。

ヴァン・ダムは過去『ダブル・インパクト』でも双子を演じ、リンゴ・ラムは香港時代にジャッキー・チェンが双子を演じた『ツイン・ドラゴン』を撮っており、2人が組めば双子物にしかならないんでしょうね(ちなみに『マキシマム・リスク』も設定は双子です)。

ラストのヴァンダムの足が向かった先は……やっぱ欲情に負けたのかい(笑)。

レッド・ドラゴン [2005年06月14日(火)]

●レッド・ドラゴン

監督:
ブレット・ラトナー(『ラッシュアワー』)
出演:
エドワード・ノートン(『真実の行方』)
アンソニー・ホプキンス
(『ジョー・ブラックをよろしく』)
レイフ・ファインズ
(『イングリッシュ・ペイシェント』)


へぇ〜って感じ。『羊たちの沈黙』『ハンニバル』に続くレクター博士シリーズ(って言うのか?)の1篇として非常に上手く仕上がっていて感心しちゃいました。単品としても面白い刑事物ですけど、シリーズを補完する役目も十二分に担っています。

『ハンニバル』は元から《続編》として作られていますが、『羊たちの沈黙』は『ハンニバル』が作られた事で《シリーズ作品》という括りで語られる側面を持つ様になり、そのために足りない部分も生まれてしまいました。つまり……

「ハンニバル・レクターとは何者なのか?」

もちろん、必要最低限の描写は折り込まれていましたが、あくまでも同作品内で成立する程度(もちろん以前に映像化された『レッド・ドラゴン/レクター博士の沈黙』とも全く関連性を持たせることはありませんでしたし)。後日談の『ハンニバル』から顧みて推測する事も出来ますが、やはり推測は推測。

今回、レクターがクラリスと出会う以前の「如何にしてレクターはあの独房に入ったのか?」が描かれた事によって『羊たちの沈黙』を補完し、同時に『ハンニバル』で見せた「社会の中のレクター」をも想起させ、見事に前2作共に繋げることに成功しています。


ブレット・ラトナーが監督すると聞いてどんな出来になるのか想像も出来ませんでしたが、でも、考えてみれば『ラッシュアワー』の監督とは言っても、その出来を見れば分かるようにアクションを得意とするわけじゃないんですよね。今作を観て、手堅いながらもスピーディな演出が彼の持ち味なんだと分かりました。

それにしても服装等の時代考証とは別に、映像が醸し出す雰囲気がまるで80年代のクライムアクションっぽい(あの新聞記者なんてまさに)。もしかして『羊たちの沈黙』が作られた91年以前=80年代を感じさせる手法として意図的にやっているのかな?


こうして、レクター3部作が成立した今となっては、今作のグレアム捜査官と、前2作のクラリス(個人的にはジョディの方がイメージですけど『ハンニバル』後なので、やはりジュリアン・ムーアか?)が、力ならぬ頭脳を合わせてレクターを捕縛する「完結編」とも言うべき代物を夢想してしまいます。

野に放たれてしまったハンニバル・レクターは、もう1度あの檻の中の世界に収束してこそ、その終幕に相応しいと思いますので。期待!(実際、ラウレンティスならやりそうだし(笑))

レジョネア/戦場の狼たち [2005年06月13日(月)]

●レジョネア/戦場の狼たち

監督:
ピーター・マクドナルド
出演:
ジャン=クロード・ヴァン・ダム
アナ・ソフレノビック
スティーブン・バーコフ
ジム・カーター


1925年のフランス。ボクサーのアランは街を牛耳るマフィアのボスから八百長試合を強要されながらも、それを無視して相手を倒してしまった。アランは追っ手から逃れるために外人部隊に入隊。しかし北アフリカの最前線は地獄だった……。


ほ〜、ヴァン・ダム主演作品としては肉体アクション路線ではないまともな話ですね。作品規模も舞台を1つの砦に絞ったことでB級感を余り感じさせなかったですし。

今作は一応、戦争モノという体裁ですが、実は完全に西部劇。往年の西部劇における騎兵隊とインディアンを外人部隊とアラブ兵に置き換えているにすぎません。まあ、アラブ兵を単なる蛮族のようには描いていないのでOKですが。

近年はネイティブアメリカンへの配慮から西部劇というジャンルが完全に壊滅したわけですが、こうした設定変換で物語の骨格だけは使えるということでしょうか。まあ、国内の人権問題には敏感だけど、国外に舞台を運ぶと鈍感になるというアメリカ人には諸刃の剣ではありますけど(『007』の北朝鮮とか)。


B級映画としては及第点なれど、もっと直せる部分も。一番は外人部隊がメインの話なのにヴァン・ダムが外人部隊に入るまでの冒頭エピソードが目立ち過ぎるところでしょうか。

外人部隊をメインにするなら、入隊して仲間たちと出会う場面を冒頭に持ってくるべき。過去はその後、ヴァン・ダムの胸のクロスに話題が振られた時に回想で描写すれば良し。逆に構成をそのままにするなら、恋人への執着をメインにしないとダメ。もっと恋人の今をカットインしたり、ラストでなんとしても恋人の元へ向かおうとするヴァン・ダムを描かないと。

他にも、仲間たちとの交流はもっと描写が欲しいところですが(特に過去のライバルなんておいしいネタなのに勿体ない……)、まあ、とりあえずヴァン・ダム主演の単純な西部劇風戦争映画としてはギリギリ観れる出来かと。観た後に何も残りませんけどね。


ただ、私のこの評価はもしかすると吹替の芝居の御陰かもしれません。肉声&字幕で観ていたら役者&芝居にB級感を感じるかもしれないのでご注意を(※ちなみに私が観たのはテレビ放送の山寺宏一吹替版)

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