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LOVERS [2005年08月21日(日)]

●LOVERS

監督/製作/原案/脚本:
チャン・イーモウ(『HERO/英雄』
出演:
金城武(『リターナー』)
チャン・ツィイー(『ラッシュアワー2』
アンディ・ラウ(『インファナル・アフェア』
ソン・タンタン


中国、唐の時代。国政が腐敗し反政府勢力が台頭していた時代。最大勢力《飛刀門》の頭目の娘が遊郭にいるという情報を得た役人の劉(リウ)は一計を案じ、同僚の金(ジン)に潜入捜査を頼んだ。捕まった小妹(シャオメイ)を牢から逃がすジン。そのまま飛刀門のアジトへ案内させる計画だったが、逃げる2人への追っ手の手は止まらない……。


予想してたよりも断然面白かった。
『HERO』好きなら絶対に好きになるでしょう。
アクションよりどんでん返しの妙を楽しむ作品です。
(ちなみにちょっと勘のいい方なら物語の展開は大旨予想出来るはず。逆に深読みし過ぎないくらいでちょうどかも。ヒント:あくまでも主人公は金城武)

しかし本質はその先にある愛憎。
ジン、リウ、シャオメイの関係性が明らかになった時が終着点ではない。なぜなら、そこから始まる感情こそがこの映画の中心だから……。

『LOVERS』──この題名はどうだろう?表層的ではないのか?などと観る前は思ってましたが、帰結する場所があそこであるならこれほど的を射たものはないですね。

画面に溢れる"色"。前作『HERO』でも色が重要な役割を担ってましたが、本作の色彩感もまた美しい。遊郭の美術とその中にある衣装たちの溢れんばかりの色模様にまず圧倒された。以降も全ての色が考え尽くされ配置してある。

唯一、クライマックスの雪だけはアクシデントからの変更だったそうですが、それさえも「この場面はこれしかない」と感じさせる"色"と思えた。本作もまた色が物語を語っていました。


武侠映画でもあり、恋愛映画でもあり。
しかし、私は人間ドラマとしてお薦めしたい。是非。

余談。『HERO』もそうだったけど「武侠アクション映画」という宣伝の仕方が強いのがもったいない。武侠映画とは日本で言う時代劇と思ってもらえれば分かりやすいか。時代劇も様々あるのに、言わば『たそがれ清兵衛』を「剣劇アクション映画」と宣伝してるようなものですって。

無問題2 [2005年08月20日(土)]

●無問題2

監督:
チン・ガーロウ
出演:
岡村隆史(『岸和田少年愚連隊』)
酒井若菜(『トワイライトシンドローム〜卒業〜』)
キャンディ・ロー(『ドリフト』)
サム・リー(『ピンポン』)
ユン・ピョウ(『チャンピオン鷹』)


面白い!私の香港アクション映画好きを差し引いてもお勧めの作品です。

正直、前作は恋愛映画ということもあってスタントマンという役柄でありながら折角の岡村隆史の動きが消化不良でした(骨折もありましたし)。今回は本人も熱望したアクションコメディということで、香港アクション映画ファンにも納得の完成度です(骨折もないですし)。

前作ではちょろっとサモ・ハン・キンポーが1シーンだけ出演してくれましたが、今回はユン・ピョウが全面的に協力、出演してくれています。

最近はカナダに住みジャッキーから依頼があればハリウッドで武術指導をする生活をしており映画は久々とのこと。監督のガーロウが後輩だったためOKしてくれ、参加してからは裏方も手伝う程(エンドロールのNG集でワイヤーを引く姿も)。

まあ、ラストバトル直前に世界一周に出てしまう無責任キャラは「最後まで出てしまうとユン・ピョウの映画になってしまう(笑)」という理由からだそうで、実際、途中岡村の存在感が薄いかも?

前作とは独立した作品なので前作を観ていなくても大丈夫ですし、前作を観て敬遠している人にも是非観ることをお勧めします!

マッハ!!!!!! [2005年08月19日(金)]

●マッハ!!!!!!

原案/製作/監督:
プラッチャヤー・ピンゲーオ
出演:
トニー・ジャー
(『モータルコンバット2』スタント)
ペットターイ・ウォンカムラオ
プマワーリー・ヨートガモン


一、CGを使いません!
二、ワイヤーを使いません!
三、スタントマンを使いません!
四、早回しを使いません!
五、最強の格闘技ムエタイを使います!!

タイのとある村の仏像の首が盗まれた。村人の期待を一身に背負い、一人の若者が仏像を取り戻すため都会へと旅立つ。若者の名はティン。最強の武術ムエタイの使い手。果たして彼は無事、仏像を取り戻すことが出来るのだろうか……。


うんうん、期待通りのアクションが見れて大大満足。
体ひとつで見せる切れ味鋭いアクションは、まさに往年のジャッキー映画を見ているよう。主演のトニー・ジャーはジャッキーをリスペクトしているそうですが、十分、ひけをとってないですよ。

ただ、ジャッキー映画と異なる点は物語の背景が今時の若者文化(ドラッグ等)を描いていること。アクションシーン以外は、退廃的な若者の生き様を描いている近年の暗いアジアンムービーって感じ。そうしたノリは個人的にはあまり好みではないので全体的な印象にはバラつきを感じました。

でも、アクションってこういうもんだよなぁと再認識出来て嬉しかったです。今や、本家香港映画でもほとんど見かけない完全な素のアクションはマジで一見の価値アリです。ハリウッド産CGアクションしか観たことない人にも是非観て欲しいですね。

よし、トニー・ジャー頑張れ!
次回作もアクション映画だったら絶対観に行くぞ。

ボイス [2005年08月18日(木)]

●ボイス

監督/製作/脚本:
アン・ビョンギ(『ナイトメア』)
出演:
ハ・ジウォン(『リメンバー・ミー』)
キム・ユミ
ウン・ソウ
チェ・ジヨン
チェ・ウジェ


終盤が面白かった。正直、中盤までは「ああ、この程度か」と落胆していたんですけど、ラストのドンデン返しで印象が180度とは言いませんが、ちょっと良くなりました。

ただ、その終盤も含めて私はただの1度も怖がれなかったのも事実(携帯電話をモチーフにしているなら、その呼び出し音がなった瞬間にビクッとしてしまうような怖さがあって然るべき)。今作はホラー映画というよりサスペンスタッチの偏愛映画とでも言う代物ですね。

携帯電話版『リング』と言うのは簡単ですが、中盤までの『リング』っぽい部分(女性記者が事件の謎を追う部分)の見せ方はイマイチ。


冒頭、エレベーターで恐怖する女性がいますが、これが後に一連の不審死の1人だと分かります。これがリストを追って2人目ぐらいで当たってしまうのがもったいない。リストを追った末、最後の女子高生の手前にいれば、我々観客が冒頭で見た女性を「記憶」として認識し、ハッとさせられたでしょう。

そもそも主人公は女性記者よりも少女の母親であるべき。
この映画のキモは、携帯電話を受けてからおかしくなってしまった少女なのですから。何故か父親を偏愛し母親を嫌う様(さま)、その描写を中心に据えるべきもの。ならば、自然と母親が主人公に相応しくなります。

序盤は女性記者が友人の家を借りるまでの段取りにすぎないので、思いきって女性記者が引っ越してくる場面から始めた方がテンポが良くなったでしょう。そこに行き着くまでの事は家で荷物を整理している間に回想として挿入します。

それにともなって、女性記者を脅迫していた援助交際男の中盤エピソードはカットしていいでしょう。女性記者の「携帯電話の番号変更」「引っ越し」の原因として存在するぐらいで十分です。そうすれば逆に彼のキーワード《援助交際》が、暗に物語全体の伏線として活きたでしょうに。

こうした点を修正するだけで終盤の大ドンデンが更に効果的になるハズ。惜しい。


今回の注目株、リンダ・ブレアの再来とも言われる少女役のウン・ソウの演技は確かに圧巻ですが、そんなわけで物語上、活かし切れていないのが残念なトコロ。しかし、電話を受けておかしくなる以前から憎たらしく感じる顔立ちというのはどうなんでしょ?(笑)

とりあえず、変に期待しなければ十分観れる映画です。

ブラザーフッド [2005年08月17日(水)]

●ブラザーフッド

監督:
カン・ジェギュ(『シュリ』)
出演:
チャン・ドンゴン(『友へ/チング』)
ウォンビン(『ガン&トークス』)
イ・ウンジュ(『永遠の片思い』)
コン・ヒョンジン(『ラストプレゼント』)
チェ・ミンシク(『酔画仙』)
キム・スロ(『火山高』


1950年。朝鮮半島は米ソによって北と南に分けられていた。靴磨きで母弟を養うジンテは、弟・ジンソクを大学に行かせるのが夢だった。しかし、突然の北の侵攻。ジンテとジンソクは母親の目の前で軍に徴兵されていく。そして地獄の戦場。弟を除隊させるため、兄は決意した。自分が勲章をもらい、それと引き換えに弟を除隊させるのだと……。


泣けます?これ。
まあ一応、私もうるうるしましたが、それは口がきけない母親が見せる息子たちへの愛情に対してのみ(つまり、最初と最後だけ)。それ以外は描写が出来てなかったと思いますよ。

韓国の方たちは実際に自分たちの歴史という意味合いがあるので無条件に泣けてしまうのも分かりますが、我々日本人が観る段において、あれだけの粗末な語り口で泣けるとは到底思えないのですが。

兄が弟のために命をかけて武勲をあげようとする。それには戦時中の軍という存在の中では鬼畜と成り下がる行為も必要。兄はその中で感覚が麻痺していく……のだが、そんな兄の内面描写は皆無。そのため、弟の感情描写だけが浮いてしまい「食い違っていく兄弟の溝」という図式で物語を運んで行けてない。

兄の超人的戦闘能力もリアルさとはほど遠い。あれじゃ『ランボー』とか『コマンドー』といったアクション映画。あくまでも兄は無茶をしているに過ぎず、生き残っているのは奇跡でしかない、という見せ方をしないと。私は『プライベートライアン』のノルマンディ上陸作戦の映像を見て、戦場の恐さを「実感」させられましたが、今回はただの1度も恐いと感じることはなかったです。


それでも全体的な印象がどうしても『プライベートライアン』っぽいのも難ですな。

まず目に付く「シャッタースピードを上げた映像」は『プライベートライアン』の二番煎じにしか感じず。とはいえ、これは演出方法のチョイスの問題なので、ある程度似るのは仕方がないこと。でも、その足元にも及ばないのでは駄目駄目。普通に撮れば良かったのに。戦場のリアリティをそこに求めた時点で演出の負けです。

(ちなみに『バトルロワイヤルII』の上陸シーンも二番煎じではありますが、あれは元々の作戦規模が小さいので半パロディとして許される代物)

こうなると「歳をとった現在の人物の回想として物語の舞台が過去へ移り、最後にまた現在へと舞台が戻って幕」という構成も『プライベートライアン』とかぶってると感じてしまいます。しかし、これは現在の人々(主に韓国人)に過去との接点を感じてもらうための演出であり、必要な要素と言えるでしょう。

戦争映画という同じ土俵では「偶然似てしまう」ことを敢えて避けることも必要なのでは? 内容から顧みれば上記の2点で今回避けるべきだったのはシャッタースピードを上げた映像の方でしょうね。元々、臨場感も出てなかったし。


『シュリ』は良かったのになぁ。アクション物には強かったけど戦記物には弱かったってことですかね。でもまあ最低限、朝鮮戦争がどういったものだったかを理解する材料にはなっているので観る価値はあると思いますよ。とりあえず韓国イケメン俳優とかいうレベルでは観ないように。しかも兄弟愛に感動!なんて絶対にしないでちょ。

HERO〜英雄〜 [2005年08月16日(火)]

●HERO〜英雄〜

監督:
チャン・イーモウ(『あの子を探して』)
出演:
ジェット・リー(『ザ・ワン』
トニー・レオン(『インファナル・アフェア』
マギー・チャン(『ポリス・ストーリー』)
チャン・ツィイー(『ラッシュアワー2』
ドニー・イェン(『ブレイド2』)
チェン・ダオミン(『西太后』)


後の始皇帝・秦王の元を1人の男が訪れる。
その男の名は《無名》。
手には1本の槍と2振りの剣。
彼は3人の暗殺者を討ち取ったと語る。
秦王は暗殺者から身を守るため100歩以内に誰も近付けようとはしないが、その功績から10歩までの謁見を許す。
それが《無名》の狙い。
彼は10歩以内にいる相手を確実に一撃で倒す技を持つ。
彼の真の狙いは「秦王の暗殺」だった……。


うん、面白かったです。
構成は、100歩の距離から10歩にたどり着くまでに《無名》が3人の暗殺者との死闘ぶりを秦王に語る回想形式になっていますが、これが実に上手い。

《無名》が語る話の中の虚実の「色」。

2人の暗殺者《残剣》と《飛雪》とのやりとりを当初語った時には登場人物の皆が「赤」を基調とした衣装を身に付け、画も全体的に赤系。秦王が《無名》の語るその話に不信感を抱き、真実とはこうだったのではないのか?と語りはじめ、回想に入ると「青」を基調にした画となっている……といった具合。

真実の「色」は何色なのか?……今作の見せ方はどちらかというとミステリー物的ですね。

なので、ヒーロー的な英雄活劇を期待した人たちには少々肩すかしだったかもしれません(劇場には子供連れの姿もチラホラ見かけましたが、上映終了後、楽しんだ感が無さそうでしたから)。でもアクションが弱いかというとそんなことはなく、派手な殺陣もきちんと堪能出来る作品ですのでお間違えないように。


今作の芯は「力」ではなく「心」。
復讐活劇とはまた違う精神的駆け引きを楽しめました。
この手の武侠物を嫌いでなければ是非。

二重スパイ [2005年08月15日(月)]

●二重スパイ

監督:
キム・ヒョンジョン
出演:
ハン・ソッキュ(『シュリ』『カル』)
コ・ソヨン(『エンジェル・スノー』)


日本では本作を『シュリ』『JSA』に続く韓国3部作みたいな宣伝で括っていますが、確かに南北問題をテーマにした作品としてはここに極まった感がありますね。

南の視点で北を敵国として描き、それでも人間同士は北も南も無く理解し合えるはずだ、という『シュリ』。
軍事境界線を舞台にして北と南の軍人の友情を同じ目線で捉えた『JSA』。
そして本作では、北のスパイの視点で南を敵国として描くことで南北分断の空虚さを反面教師的に感じさせています。


映画の出来としてはまあまあ。
決して楽しめなかったわけではないのですが、やはりアクションの『シュリ』、友情・サスペンスの『JSA』とは違い、本作はスパイ活動を通して南北分断の歴史そのものを主題にしているので、文化的・歴史的実感を持てない日本人としては正当に評価しにくい部分があるのかもしれません。

ほんの20年前なのに極度の緊張状態だった朝鮮半島。1980年当時は韓国も北朝鮮へスパイを送っていたという事実。北からの亡命者への拷問。監視。朝鮮半島の歴史とは南が善玉で北が悪玉などという単純な構図ではないということをしっかりと理解出来る作品なのは確かです。

登場人物らの心の機微を観る者に感じさせる演出は、もの悲しくも尚のこと心に染みてきます。夕方に国旗を降ろす「国旗下降式」の間は敬礼をしなければならない韓国にあって、主人公はそれを避けようとしながらも、隣りに立つ友人との交流の心地良さに身を置きつつ何を感じていたのか……。

ラストは王道……というよりもありきたりの域で、もうちょっと裏切って欲しかったところです。まあ、時代的にはアレしかないのも分かりますけどね。


観て損は無いと思います。
別に3部作ではないですが『シュリ』『JSA』と合わせて観るのもいいかもしれませんね。

2046 [2005年08月14日(日)]

●2046

製作/監督/脚本:
ウォン・カーウァイ(『恋する惑星』)
出演:
トニー・レオン(『インファナルアフェア』
木村拓哉(『シュート!』)
コン・リー(『始皇帝暗殺』)
フェイ・ウォン(『恋する惑星』)
チャン・ツィイー(『ラッシュアワー2』
チャン・チェン(『ブエノスアイレス』)
カリーナ・ラウ(『欲望の翼』)


時は2046年。「2046」に行けば失った愛を見つけられるという。それが真実かは誰も知らない。なぜなら帰ってきた人間は1人もいないから。ただ1人の男を除いて。その男は再び「2046」へと向かう列車の中にいた。それは女性アンドロイドが客室乗務員を務める列車……。
時は1960年代後半。愛を忘れた男は身近な人間をモデルに小説を書きはじめた。題名は「2046」……。


つまらない。

えっと、主人公は宿泊しているホテルの支配人の娘と日本人男性との叶わぬ恋に、かつて愛を成就できなかった自分を重ねあわせ心が揺さぶられたことで2人をモデルに小説「2046」を書いたらしいです。「らしい」というのは、パンフでストーリーを見るまでさっぱり感じられなかったから。

パンフを見たら他にも「こんな奴出てたっけ?」というのがあったりして。しかもインタビューを読むとそれなりの描写が折り込まれているはずで……って、ドコだよ、それ。影も形も無かったよ。

ちなみに、日本人をモデルにしたキャラクターに自分自身を投影しているのだと主人公が気付く部分はモノローグで分かるから大丈夫……ていうか、分かりやす過ぎ。そもそもモノローグで語るスタイルは安易だと思う。映像作家のくせに。いや映像作家だからか。映像で物語を語れないから独白に頼るんだよね。

監督の作品っていつもこんなんなんですか? 実はウォン・カーウァイ初体験の私。撮影のクリストファー・ドイルの映像の独特さといったものは知識として知ってはいましたけど、ホンマに映像だけで中身がないとは。あの〜、ファンの方、これは成功作なの?失敗作なの?


このプロップだったら、現在(現実)と未来(小説)の比率を半々にして交互に対比させなければ駄目でしょ。なのに現実の反映である小説の映像がさっぱり出てこない(隣室の女性とのエピソードが妙に長い)。小説を書き始めるのが映画の中盤を過ぎてからなので、ある意味当然ですが。だったら最初に2046の描写を入れてくれるなよ。

キムタクは完全に小説『2046』内の創造のキャラクターであった方が良かった。その方が純粋に主人公の投影となりえたでしょうに。で、未来の世界のラストカットで『1967』とかいう小説をキムタクが書く描写で終わったりして。あれ?現実と虚構ってどっちがどっちなんだろ?とか思わせる終わり方でね。

ま、こういう芸術気取りの映画を祭り上げるのって嫌いなので。趣味の人はどうぞ。

友引忌/ともびき [2005年08月13日(土)]

●友引忌/ともびき

監督/脚本:
アン・ビョンギ(『ボイス』
出演:
ハ・ジウォン(『ボイス』)
キム・ギュリ(『リベラ・メ』)
チェ・ジョンユン(『ボイス』)
ユ・ジテ(『リメンバー・ミー』)
ユ・ジュンサン(『カル』)
チョン・ジュン(『リベラ・メ』)


大学院に通うヘジンの元を大学時代の友人・ソネが2年ぶりに訪ねてきた。ソネは怯えながら言う「……ギョンアが私に付きまとうの」と。しかし、ギョンアは大学時代、ヘジンが見ている前でビルから飛び下り自殺をしたのだ。次々と起こる友人たちの死。これはギョンアの仕業なのか……?


うん、こんなもんでしょ。
本作は『ボイス』以前に作られたアン・ビョンギの監督デビュー作と知り、期待せずに臨みましたが、まあ予想通りかと。

『ボイス』に比べて安い。製作費が、ではなく演出が。まあ本作が先なんで当然か。基本的に構成力が足りないのも然り。まあ『ボイス』に至っても良くはなかったですけどね。監督は自他共に認めるホラー映画ファンのようで、良くも悪くも情熱とオタク気質で作った作品。


終盤で事件の裏が分かる辺りから盛り上がるのは『ボイス』同様か。ただし、主人公・ヘジンがあるビデオを見て知る真実にインパクトが無いのが残念。そもそもあれをオチにするならヘジンはギョンアの死を引きずっていなければ駄目でしょう(※後述)。

ヘジンが見たビデオとは、友人の1人が現場で回していたカメラの映像ですが、どう考えてもビデオ映像ではない画面が挟まっている演出は分かりやすさを優先したんでしょうな。でも、やはりここはビデオ映像のみで通した方が緊張感も増したでしょうに残念。

ちなみにこの部分、パンフの寄稿文で「ビデオカメラを持っている人間が写っていることに驚いた。これはビデオ自体が呪われているということか?」などと的外れなことを書いてる人間がいましたが、だったらビデオを見ているヘジンが、到底ビデオではありえない映像であることに驚く様がなければおかしいでしょうに(だからあれは単に過去の回想映像を挿入したか、ビデオ内容からヘジンが推察した映像と見るべき)。

それにしても、主人公・ヘジンが、自分がギョンアを自殺に追いやったのだと思っていながら悩む様子が皆無なのはいただけない。

ギョンアは少女時代から悪魔の子供と忌み嫌われていた存在なれど、その真偽は不明。作品の流れから見れば完全に世間の偏見によるイジメでしかない。その偏見をもってギョンアを責めながら反省をしないような人間に、少なくとも私は感情移入出来ませんワ。


とりあえず『ラストサマー』系スラッシャー映画を心霊要素でやってみましたって感じの作品。なので気軽に観る分にはそれなりに楽しめる……かも?

余談。予告編がまるでひと昔前のオカルト映画の宣伝ぽくて面白かった。オドロオドロしい声で「12歳未満の方は決して1人では観ないで下さい……」って、それは単にPG−12指定なだけじゃん!ってツッコめるノリが(笑)。

箪笥《たんす》 [2005年08月12日(金)]

●箪笥《たんす》

監督/脚本:
キム・ジウン(『反則王』)
出演:
イム・スジョン(『ピアノを弾く大統領』)
ムン・グニョン(『永遠の片思い』)
ヨム・ジョンア(『カル』)
キム・ガプス(『KT』)


ソウル郊外に佇む一軒の屋敷。到着した父親の車から降り立つ姉妹、スミとスヨン。2人を迎える継母・ウンジュ。しかし、姉・スミは継母を毛嫌いし、妹・スヨンは怯えていた。スミはスヨンを常に守ろうと継母と衝突し、ウンジュはなつかぬ子供たちに苛立ち神経をおかしくさせていく。そんな家族を前に父親は傍観するばかりだった。そして、ある事件をきっかけにこの屋敷の"真実"が明らかになる……。


うわ〜、面白いよ、これ。
予告映像から受けた印象は『リング』系の心霊ホラーだったけど、これって実に良くできたサイコホラーじゃん。確かに心霊要素はあるんだけど、それはあくまでも隠れ蓑でしかない。

むむむ、これ以上内容に踏み込むとネタバレしちまう。劇中の描写全てが伏線だからアレがああだコレがこうだとも書けんぞ。

いや、ホント、この衝撃はヒッチコックの『サイコ』のラストを初めてきちんと観た時以来だワ。有名なシャワーシーンや、気が触れて母親が生きているように振る舞っているというネタを既に見知っていた上で、単なるショッキングホラーとタカをくくって観ていたら、ラストのアンソニー・パーキンスの表情にゾクッとさせられたアノ感じ。

パンフを見ると「謎(真実)が分かりにくい」との声もあるようですが、でもそんなことは全然無かったですよ。実際、パンフには《秘密の扉》と称してネタを明かすページがありますが、読み返したらちゃんと自分把握出来てたし。

観て! とにかく観て! 『○○○○』のような……って書いたらそれ自体ネタバレだから書けないけど(※伏せ字数はデタラメです)。久々のマジお薦め。是非!

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