2006年03月
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SPIRIT [2006年03月31日(金)]

●SPIRIT

監督:
ロニー・ユー(『フレディVSジェイソン』
アクション監督:
ユエン・ウーピン(『マトリックス』)
出演:
ジェット・リー(『HERO』
中村獅童(『男たちの大和』)
ユエツー
ドン・ヨン
コリン・チョウ(『ターゲットブルー』)
ネイサン・ジョーンズ(『ファイナルプロジェクト』)
原田眞人(『ラストサムライ』


時は1910年9月14日、霍元甲(フォ・ユァンジャ)VS外国勢4人という変則試合が組まれた。中国の外国商会は中国人の反欧感情を鎮めるため「霍元甲の敗北姿」が必要だったのだ。そんな思惑をよそに霍元甲は次々と対戦相手を制していく。彼はなぜそこまでして闘うのか? そこには幼き日の父の敗北姿に始まる悲しい物語があった……。


う、これ書いてたらまたうるうるきちゃった。

「最後のマーシャルアーツ」とリーが本当に言ったか言わないかは分かりませんが、本作がひとつの到達点であることは間違いないです。しかし、それは殺陣がもの凄く激しかったり洗練されていたりアクロバティックだったりということではありません。

心の闘い。
敵に勝つのではない。
己に克つために。
これこそが武道の到達点。
リーの闘う姿に心を見ました。

闘うために闘う拳はただの暴力でしかないのだと、若き日の霍元甲を演じるリーの姿を見れば痛いほどに苦しいほどに胸に突き刺さります。

憂いのある表情が似合うリー。私が『ダニー・ザ・ドッグ』を彼の代表作としたその点についても、本作で遂にリー本人が持つ武道家としてのパーソナリティとの融合まで果たしては、もはや言うことなしの最高傑作です。


霍元甲は1911年《辛亥革命》直前に活躍した実在の人物。ブルース・リー主演の『ドラゴン怒りの鉄拳』でのリーの師匠といえば通りがいいでしょうか。殺された師匠・霍元甲の仇討ちをする陳真の物語。

実はジェット・リーも同作品のリメイク『フィスト・オブ・レジェンド/怒りの鉄拳』に主演。以来、霍元甲の映画を作りたいと思っていたそうな(ちなみにジャッキー・チェンは正統続編『レッドドラゴン(新精武門)』に、ドニー・イェンはTV映画『精武門ドラゴン怒りの鉄拳』に主演しており、ある意味、香港アクションスターの登竜門的タイトルになっているのが面白い)。

霍元甲が実際に日本人に毒殺されたかどうかハッキリしてはいないながらも毒殺説は根強いそうな。これは日本における忠臣蔵と同じで「師匠の仇討ち」というお約束の物語になっているため。

でも本作では向いている方向は180度違う。
復讐の空しさ、争うことの愚かさを説いている。

ちなみに霍元甲の子孫は「本作は事実と違うところが多い」と文句を言っているそうですが、本作はあくまでもフィクションなんだからお門違い。それよりも史実に縛られることより中身(武道の精神)を映画として完成させたことの方が重要だと思いますがね。


格闘トーナメント映画のような宣伝に、ちょい眉に唾しながら劇場に足を運びましたが、良い方向に裏切られてひと安心。世間的にはああいう宣伝でないと客が入らないんだろうから仕方ないけどさ。

ジェット・リー最高傑作。
絶っっっ対にお勧め!

あ、やば、またうるうるしてきた。

亡国のイージス [2006年03月29日(水)]

●亡国のイージス

監督:
坂本順治(『KT』)
原作:
福井晴敏(『戦国自衛隊1549』
出演:
真田広之(『ラストサムライ』
寺尾聰(『半落ち』)
佐藤浩市(『KT』)
中井貴一(『壬生義士伝』
勝地涼(『バトルロワイアルII』
チェ・ミンソ(『チャンピオン』)


「イージス」
それはギリシャ神話に登場する無敵の盾。その名を冠するイージス艦は最新鋭の防空システムを搭載し、海上自衛隊が掲げる"専守防衛"の象徴である。

護衛艦「いそかぜ」の海上訓練中、新米乗員が魚雷の下敷きになり死亡する事故が起きた。訓練の中止を申し出る先任伍長・仙石だったが、海上訓練指導隊はそれでも訓練を続行するという。そして彼等の口から驚くべき情報を聞かされる。乗員の中に某国の工作員が潜り込んでおり、艦の占拠を狙っているのだと。それは本当なのか?それとも……。


メリハリのない映画。
ドラマなのかアクションなのかどっちつかずの平凡作。
まあ邦画ではよくあるタイプですね。

本作は、音楽にトレヴァー・ジョーンズ(『ラスト・オブ・モヒカン』)、編集にウィリアム・アンダーソン(『トゥルーマン・ショー』)、ミキサーにクリス・ディヴィッド(『レジェンド・オブ・フォール』)とテリー・ロッドマン(『L.A.コンフィデンシャル』)、サウンドデザイナーにクリストファー・エイキンス(『8Mile』)といったハリウッドスタッフを起用して大作感をアピールしてましたが、結局は宣伝用でしたね。

その仕上がりは実に邦画らしい邦画。元々の映像の作りが安いのに音楽や編集でどうにかなるはずもないということ。まあ当然なんですが。だったら変にハリウッドスタイルなんぞ取り入れずにベタにベタに日本映画を作った方がいいのに。

全て日本人キャストというのもマイナス。東洋人だから大丈夫だろうと思いきや、やはり中井貴一は日本人にしか見えませんて。作品から受ける印象は『沈黙の艦隊』とかあんな感じになっちゃってます。言葉の問題はあるけど、やはり韓国人俳優を起用すべきだったのでは?

パンフを読み返したら「某国」という曖昧な表現で「北朝鮮」のキの字もないんだけど劇中ではどうだったっけ(これ書くまでに時間が開いて記憶が曖昧なもので)。匂わすだけ匂わせておきながら腰が引けるってんならこうしたテーマを扱わないで欲しい。


チェ・ミンソ演じる少女工作員のキャラ造形は『ローレライ』のヒロイン(及び全体的な設定)のアニメっぽさと同じ匂いがします。これは原作者・福井晴敏の傾向なんでしょうか? 彼の小説は読んだことがないので判別しかねますが、『戦国自衛隊1549』のロールプレイングっぷりからもそういう印象を受けますね。

このアニメっぽさは作品基盤との乖離を感じてマイナス。特に本作においては不要な要素。勝地涼演じる人物との因縁のような描写もありましたが、まったく機能していません。だったらオヤジドラマに特化してしまえば良かったのに。


別にスティーブン・セガール映画にしろとは言いません(あれは純粋なアクション映画だから)。でもハリソン・フォードのジャック・ライアンシリーズぐらいにはアクション寄りに作るべきの布陣。こういう話ってアクション映画の様相で観客に危機感を感じさせることが最も潔いと思うんですがね。

SPL/狼よ静かに死ね [2006年03月20日(月)]

●SPL/狼よ静かに死ね

監督:
ウィルソン・イップ(『トランサー/霊幻警察』)
出演:
ドニー・イェン(『シャンハイ・ナイト』
サモ・ハン(『80デイズ』
サイモン・ヤム(『トゥームレイダー2』)
ウー・ジン(『超酔拳』)


SPL=殺破狼(シャ・ポー・ラン)とは、中国占星術で反乱を司る「七殺」「破軍」「貧狼」の3つの星を意味する──。

1994年香港。チャン捜査官率いる特別捜査班は黒社会を牛耳るポーを捕まえることができた。しかしポーの犯罪を証言する証人は家族もろともポーの手の者に殺されてしまう。チャン捜査官は唯一生き残った娘を養子にしたが不安もあった。それは証人殺害の衝突事故時に悪性の脳腫瘍が見つかったからだ。
3年後、病状の悪化からチャン捜査官は引退することに。後任として着任したのは殺人犯を拳一発で脳障害にさせたマー捜査官だったが……。


骨太香港アクションここにあり!
SFでもないコメディでもないファンタジーでもない歴史物でもない、まさに香港映画黄金期の刑事アクション映画が帰ってきた。

ドニー・イェンの殺陣は実に痛い。
ジャッキー・チェンやジェット・リーのように「ビシッ、バシッ!」と決まるのではなく「ゴスッ、メキッ!」と聞こえてくるよう。

クライマックスのドニー・イェンとサモ・ハンとの一騎討ちでは往年の香港アクションが見れるかと思っていたら、まるで昨今の総合格闘技のような殴り合いで度肝を抜かされる。まさに本作のコンセプト「ドラマの中にある感情の延長線上にあるアクション」を体現している。

ドニー・イェンは『マッハ!!!!!!』への対抗意識から本作を作り上げたという。トニー・ジャーのアクションは評価しながらも、映画の中のアクションの在り方に納得できなかったからである。香港アクション本家としての意地であろう。

クライマックス直前のドニー・イェンと敵の刺客(ナイフ使い)との死闘を見て、互いに細かいフェイントが入ったりして凄い殺陣だなぁと思っていたら、どうも現場で「2人は武術の達人なんでしょ? じゃあ闘って」と監督に言われた上でのほとんどリハーサルなしの対決だったそうな。それ知って納得、いや感動だよ。


「親と子」
黒社会のボス・ポーは妻が何度も流産した末にやっと得た子供がいる。チャン捜査官には養女。特別捜査班のメンバーも離れて暮らす娘、音信不通の親、チームの末っ子はチームを家族と感じていた節がある。

それは劇中の人物が単なる善玉悪玉ではないことを、現実の人の生き死ににはそれぞれの人生があるのだと改めて知らしめ、重要なバックボーンとして物語を支える。

でもドニー演じるマー捜査官が父親の話を語る部分は余分で、どうにも取ってつけた印象になっている。彼は元々部外者扱いなのだから親子関係は無い方が自然。それにマー捜査官は脳障害を負った男との関わりだけで刑事としての立脚点は十分でしょ。

序盤の展開で映画のラストカットが容易に想像できてしまうのもどうなんだろ。あの幕引きではマー捜査官の存在が中途半端だし。最終的なアレの対象をチャン捜査官にすればラストカットも変わって一石二鳥だと思うのですがどうでしょう?


まあ色々と細かいところをつついてはみたけど、でも全体的には面白かったのでチャラ! ドニーのアクションに酔え!

セガスーパースターズ [2006年03月19日(日)]

●セガスーパースターズ

ジャンル:バラエティ
プレイ人数:1人用
メモリ容量:585KB以上
発売元:セガ


EyeToyカメラ専用ゲーム。
収録タイトルは12種類(+チャオガーデン)。
そのほとんどはミニゲームなので過度な期待は禁物。

ソニック・ザ・ヘッジホッグ

MD版ソニック2のボーナス面みたい。

バーチャファイター

画面上で対峙しているキャラと格闘が出来る……と思いきや、画面に表示される「アタックマーク」「ガードマーク」を触るだけというゲーム性にガッカリ。テレビを横目に見ながらプレイしなければならないのも×。

ザ・ハウス・オブ・ザ・デッド

ゾンビを銃ではなく手で叩き落とす違和感。画面が暗めで自分の姿も重なってはキャラクターの判別は厳しい。攻撃してはいけない人間(=美女)も手を動かす範囲というものを無視してチョロチョロ現れるので避けられた試しがないです。

ジャイアントエッグ

あ、これ遊んでないや。タマゴを転がして敵を倒してゴールに向かうゲーム。

ぷよぷよフィーバー

ぷよが出るだけでぷよぷよではない。上から降ってくるぷよを腕を伝わらせて左右にある同色の受け皿に誘導するゲーム。

バーチャストライカー

落ちてくるボールをヘディングして得点の書いてある風船にぶつけて割るゲーム。

スーパーモンキーボール

まさにEyeToy操作のスーパーモンキーボール。操作は戦車系。腕を下げたら進む、上げたら止まるの組み合わせ。

スペースチャンネル5

私の目当てはコレ! だって自分でアップ・ライト・レフト・ダウン・チューチューチューって出来るんですよぉ。惜しむらくはダウンが左右下、チューが左右上に割り振られてしまっていること。実際の動作と微妙にそぐわない。やっぱ下は下に、チューは前に出したかった。でも、スペースチャンネル5世界のモニターに自分の姿が映っている様は興奮します。

サンバDEアミーゴ

オリジナルと基本は同じ。でもマラカスを持たないと違和感が。それにビートボタンをきちんと触らないといけないので動きに精度を求められるのが辛い。ポーズなんて全然とれません。EyeToy用にアレンジして読み取り範囲を広くして欲しかった。

チューチューロケット

あ、これも遊んでないや。見た目からしてオリジナルとは別ゲーム。道を歩くチューチューが途切れた所から落ちないように橋を架けてやり、お邪魔キャラ・カプカプは橋の上を通っている時に橋を外して落とす……というゲーム。

クレイジータクシー

あ、これも遊んでないや。というのも大声必須だからウチの生活環境では遊べません。自分に向かって走ってくるタクシーに大きく手を振ったり大声を出したりして止めるというオリジナルの影も形もないゲームになってます。

ナイツ

ナイツとなって空を飛びリングをくぐりゴールを目指す。操作は左手上&右手下で右旋回、左手下&右手上で左旋回をするという、まるで両手を広げて飛ぶ仕草なのは○(※上昇は両腕を上げる、下降は両腕を下げる)。


カメラのセッティングに手間取るのが難。メニューボタン等が画面に表示されるので、カメラ位置やピントを直しに画面を横切ると反応してしまう。コントローラの併用も出来るけどその時は画面が反応しないようにするなどのオプション設定が出来れば良かったのに。

あと、ウチでは蛍光灯のフリッカーが目立って自分以外の背景物でも動いていると見なされて反応することがあった。部屋の中での使用を考えればフリッカー対策は必須なのに。残念。

今となってはセッティングの手間をかけて再び起動する気はなかなか起きませんね。

THE ゾンビVS救急車 [2006年03月18日(土)]

SIMPLE2000 Vol.95
●THE ゾンビVS救急車

ジャンル:カーアクション
プレイ人数:1人用
メモリ容量:80KB以上
発売元:D3パブリッシャー


ゾンビが徘徊する街を救急車で駆け回り、取り残されている人たちを救助輸送。邪魔なゾンビは轢き殺す(元々死体だけど)……ゾンビ好きとしては見事に心惹かれてしまい即購入。

見た目はゾンビ版『クレイジータクシー』といった感じ。
う〜ん、良くも悪くもSIMPLEシリーズらしい出来でした。
まあ良い方だとは思うけど、ついつい『お姉チャンプルゥ』並を期待しちゃってたもので。


プレイヤーの基地病院には「士気ゲージ」と呼ばれるものがあり、これは経過時間で徐々に減少する(病院にゾンビが攻めてくるため)。このゲージを回復させるのは「救助者」と「ゾンビ轢殺コンボ数」。

救助者の種類は
「一般人」……士気を少し回復(男女共に)
「警官」 ……士気を大幅に回復
「軍人」 ……士気ゲージの最大値を上げる
「整備士」……車両およびパワーアップパーツの開発
「政治家」……次の区画への鍵(3人必要)

整備士は多ければ多いほど開発力アップ。

この中で問題は一般人女性。救助者は車両に乗せた時点から「ゾンビ化」が始まる。しかし一般人女性は体力が少なすぎて、救助したら即帰途につかないと間に合わないことがままあって複数救助する際の最大のネックに。そもそも士気ゲージ回復のためだけだったらゾンビ轢殺コンボを狙った方が楽だし。

ゾンビ化システムは全体的にバランスが悪い。道に落ちているワクチンで少しゾンビ化を押さえられるようになってはいるけれど、当然都合のいい場所に落ちているとは限らない。ワクチンを所有アイテム化してくれていれば戦略バリエーションも増えたのに。

救急車に乗せられる人数も少ない(小型救急車で2人、中型で3人、大型で4人)。病院の出入りの際のロード時間が少々じれったいのに頻繁な行き来を強いられるのは辛い。まあ今のバランスではたくさん乗せられてもゾンビになるだけだけどさ。


ステージは全部で5つ。
病院のあるセントラルシティ。
East/ビル街 ※南東方向(SE)
West/森林 ※北西方向(NW)
South/砂漠 ※南西方向(SW)
North/氷上 ※北東方向(NE)

次ステージに進む前にはボス戦。これが単調でつまらない代物。最初のステージだけは見極めるまでに時間がかかったけど、結局、敵の攻撃が当たらない道の角で攻撃の有無を判断するだけ。他もそんな感じ。


お勧めプレイは3ステージ目までは3人目の政治家を後回しにして残る街の人を助けまくること。整備士を増やして新車両&パワーアップパーツを開発してもらいましょう。高機動のパトカーが出現してやっと整うゲームバランス。これって引き算でゲームを作ったってことか。

SIMPLEシリーズ全体に言えることだけど無理にプレイ時間を増やそうとするのって逆効果じゃない? もう2度と遊ぶ気が起きません。1ステージ1時間ぐらいでサクッと遊べる方が2度3度と遊ぶ気になると思うんですがねぇ。

クリア後のミニゲームはそれなりに遊べるけど、ゲーム中で必死にパワーアップした車両が使えないためモチベーションは下がる。なんだかなぁ。


主人公らが最後に教訓めいたことを語るのは駄目なB級映画っぽくて笑えた(「行き過ぎた都市開発が生物に影響を与えた」「人間の自業自得だ」etc……)。でもその後がアホすぎて笑えない。

女「この街を出たら医者をやめるわ。だって向いてないもの」
男「じゃあ俺も」
女「……馬鹿ね」

ここまでプレイした人間の気持ちと乖離した台詞に唖然。
この場合「街を脱出したら2度とこんな悲劇が繰り返されないようにしたいわ(=医者を続ける)」だろうに。辞める方向で考えるなら「今度の街では葬儀屋でも始めようかしら」とでも言わそうよ。文才ゼロ。

着信アリ [2006年03月15日(水)]

●着信アリ

監督:
三池崇史(『ゼブラーマン』)
企画/原作:
秋元康
出演:
柴咲コウ(『黄泉がえり』
堤真一(『ポストマンブルース』)
吹石一恵(『ウルトラマンコスモスVSジャスティス』
松重豊(『リング』)
石橋連司(『トリック劇場版』)


女子大生・中村由美の友人の携帯に変な着信があった。留守録メッセージを確認するとそれは友人本人の悲鳴だった。しかも日付は3日後。何かの悪戯と思っていたが、その3日後、友人は電車に引かれて死亡した。さらに数日後、友人のケンジも死んだ。そして次の着信が鳴ったのは由美の親友・なつみだった……。


面白くない。

これはホラーではない。ホラー的シチュエーションを普通の視点で見せるばかり。ホラー素人(秋元康&脚本家)が考えたホラーっぽい話をホラー演出なんて門外漢の三池監督が自分の作り方に引き寄せて撮ったって感じ。

始まってすぐに主人公の友人が犠牲になるが、その現場にいるのは夜遊びする女子高生2人。しかも葬式には制服姿の後輩女子高生ら5〜6人が登場して「自分の携帯から届く着信」にまつわる都市伝説を主人公らに語る。この段階で本作が「これチョー怖くな〜い?」という女子高生ターゲット作品だと思い知らされる(犠牲になる男子は1人だけ)。

登場人物らの頭の悪さにイライラする。序盤でオドオドし過ぎだし、ちょっと人が死んだからといってすぐに心霊的恐怖を感じるか? それなのに「自分の番号を着信拒否しといた方がいい」という情報を無視して怖がり続ける。じゃあ、さっさと着信拒否しようよ。それでもあらゆる手で電話がかかってきてから怖がろうよ。

死んだ人間の携帯メモリーの中から次の犠牲者が決まることから、ターゲットとなった吹石一恵の携帯メモリーから自分のアドレスを消去しろと迫る知人たち。本来、この場面ではエキセントリックな行動に出る周囲への憤りを感じさせるはずがオドオドする吹石一恵にイライラさせられる。駄目じゃん。


話を聞き付けて死亡予告時間にテレビの生中継番組を放送しようとするテレビクルーたち。どうやらここでは社会の無関心性を描こうとしていた模様。本筋と無関係で無意味。

ダブルヒロインは視点の置き方が悪く焦点がぼやける。吹石一恵はテレビ局で死ぬまで映画の中心に立ち、本来中心にいるべき柴咲コウを霞ませる。つまりはテレビ局絡みのエピソードは吹石一恵用ということか。

かように本作では異様に女子比率が高い。前述したように女子高生感覚で企画されたのであろうことは秋元康が関わっていることからも明らか(現在では第三のおニャン子=AKB48なんぞを性懲りもなくプロデュースしてるし。あ、第二はチェキっ娘ね(笑))。

でもそれが「女子高生らの噂話レベルの話を聞かされている」ようにしか感じさせなくなっている(テレビでやる「本当にあった怖い話」みたいな感じ)。駄目じゃん。


テレビで観たので残酷描写はそれなりに削られている可能性はあるだろうけどそういう次元の話じゃないよね。ゲーム人生がセガと共にあった身としては秋元康の名前だけで拒否反応が出るんですが、観てみたらその酷い出来に逆に溜飲を下げた次第です(笑)。

電気用品安全法 [2006年03月13日(月)]

2006年3月末で中古ゲーム機が買えなくなる。
「電気用品安全法」という大バカ法のせいである。

PSEマークの付いてない電化製品は一切の売買が禁止される。

実はこの法律は2001年に成立していて5年間の猶予期間を設けていたそうだ……無駄に。その間の周知徹底など一切されていない。経済産業省のHPにひっそりと掲載されていただけである。普通なら新聞の全面広告なり、今現在、松下電器が必死に事故対象商品を捜索しているCMばりの公共広告の投入が必要であろうに。

そもそもこの法律が制定された時点では中古品は含まれていなかった。しかし、2005年11月に突然「中古品も含まれる」と言い出したのだ。消費者どころかリサイクル業者も寝耳に水である。電気用品安全法の存在自体を知らなかった業者も多かったが、知っていた業者はまさに目を疑っただろう。

法律の趣旨は理解できる。
古い基準の商品の安全確保の保証はできないということだ。
しかし安全のためというのなら、そもそも売買だけを禁止してどうするのか? 本当に安全を確保するというのなら今現在使用されている製品の回収こそ必要ではないのか?

そんなことは当然無茶である。
つまりこの法律の趣旨は無茶なのだ。

そもそもPSEマークを付けた電化製品が安全というわけでもないというのに(実際、出火事故が起こったものもあるらしい)。


買えなくても修理すればという考えも甘い。
修理行為=製造行為として新たなPSEマーク取得が必要になる。
これには申請費用がウン万円単位でかかるらしい。

自動車も数年毎に車両検査が義務づけられているが、家庭に1台の自動車と十数台の電化製品を同等に考える方が馬鹿である。しかもこの電気用品安全法の基準で言うならば、自動車を修理する際、オリジナルパーツが生産終了したため後発パーツを使用した場合、新たにウン万円を払い再検査を受ける必要があると言っているのだ。それも修理の度にだ。

自動車以上の縛りを数千円のビデオデッキが受けるのである。
アホか。

リサイクルされていた商品が全てゴミとなる。
世間ではリサイクル業者だけが大変(倒産、首吊りetc……)なように考えている人間も多いが、全員影響を受けるのだ。

PSEマークが付いている商品もいずれは中古となる。
その時に修理しようとしても下手すれば拒否されるのだ。
これからは修理した人間が新たにPSEマークを取得し、全責任を追わなければならない。
何かあった時の苦情・補償を引き受ける度胸をどれだけの中小事業者が負おうとしてくれるか。

全てゴミである。
不法投棄の増加である。


最近、メガCDが動かなくなった。
ベータデッキも調子が悪い。
手元にはそれぞれのソフトがそれなりの数残っている。
確かに現在使用しているのはPS2だしHDDレコーダーである。
しかしどちらも過去の重要な映像資産なのだ。

上記以上に我が家にはLDソフトがウン百枚ある。
使用しているLDプレーヤーが壊れたらどうしろというのだろう?
経済産業省で全てを買い取ってくれるとでもいうのか?
いや、それも困る。
未だにDVD化されていないソフトも多いのだから。

文化資産の軽視。
リサイクル思想からの逆行。
この法律を知らない人がいたら回りへの周知徹底を行いましょう。

どうやらこの法律は天下り役人のために運用される。この低迷する日本経済の中にあって新たな搾取先にしようとしているのである。それでも受け入れるのか?と。


時事ネタを本気で扱うと体力を削るので取り扱うか悩んでいたんですが(myroom終盤はマンション偽造問題で疲れましたから)、この話は急を要するのでざっと書いておきました。なので細かい所では間違いがあるかもしれませんけど、大筋では外してないと思いますのでご容赦のほどを。

詳しくはまとめサイトがあるのでそちらを参照してみては。
電気用品安全法@2chまとめ
http://www8.atwiki.jp/denkianzen/pages/28.html

また坂本龍一氏らが電子楽器などへの影響から署名活動をしていました(現在は終了)。参考までに。
電気安全法(PSE法)に対する署名
https://www.jspa.gr.jp/pse/index.cgi

リクルート [2006年03月08日(水)]

●リクルート

監督:
ロジャー・ドナルドソン(『13デイズ』)
出演:
コリン・ファレル(『フォーン・ブース』
アル・パチーノ(『インソムニア』
ブリジット・モイナハン(『トータル・フィアーズ』
ガブリエル・マクト(『エネミー・ライン』)


MIT首席で卒業したプログラマー、ジェイムズ・クレイトン。ある日、彼のバイト先に1人の男が訪ねてきた。男はCIAのリクルーターだという。信用しないジェイムズに男は彼の父親のことをほのめかす。飛行機事故で行方不明になった父親はCIAのスパイだったのか? 男は言う「これからは誰も信じるな」と。そしてジェイムズはCIAの試験を受けた……。


よくある話だけどまあまあ楽しめました。本作のように「どれが真実なのか」を見極めるように観る作品の場合は、よほどのアイデアでもない限り観客を驚かせるのは至難の技。まあ及第点でしょう。

観る前は「実はCIA試験自体が嘘」とまでのドンデン返しをも想定していたため、意外に普通の話だったなぁという印象に。もしこれから観るという方、そこまで疑うと本作の内容を素直に楽しめなくなるのでご注意を(……って、普通そこまで疑わないか)。

劇中ではアル・パチーノ以外のCIA職員のパーソナリティもちゃんと見せているし、そこまで疑う方が悪いと言われればそれまでなんですけど、私はついついこの手の作品への期待値を高めちゃうもので……ちょっとマジ反省。

本作は、主人公と同期の女スパイにかけられた二重スパイ疑惑探究の裏に隠されたものは一体?という部分を中心に観るべき作品。つまり中盤までは長い長い伏線ですな。


主人公の最後の機転が唯一、本作で上手いと感じた部分。
序盤の伏線をさらに伏線に使うとは見事。
なので「終わり良ければ全て良し」じゃないけど全体の印象もちょっとアップ。ちょっとだけね。

サイレン [2006年03月07日(火)]

●サイレン

監督:
堤幸彦(『トリック』)
出演:
市川由衣(『呪怨』
田中直樹(『逆境ナイン』
森本レオ
阿部寛(『トリック』)


1976年、夜美島(やみじま)。嵐の中、全島民が消失する事件が起きた。たった1人発見された男は正気を失っていた。「サイレンが鳴ったら外に出てはならない」男はそう繰り返すばかりだった。

事件から29年後、天本由貴は病気がちな弟の療養のためにフリーライターの父と共に夜美島に引っ越してきた。島に常駐する青年医師が島内を案内するが、島はどこか異様な雰囲気を漂わせていた。家にたどり着くと隣家の女性が島での暮らし方のアドバイスをしてきた。サイレンが鳴ったら外に出てはならない、と……。


う〜〜〜ん、まあまあ。
期待値が高かっただけに残念。

これ書いちゃうとネタバレになりかねないんだけど、某韓国映画とかなりかぶってます(※ヒント…私感想書いてます)。しかも向こうの方が断然上だから始末に悪い。

島に到着した場面で青年医師が口にする「思ったよりお子さん元気ですね」という台詞の真の意味とかすぐ読み取れちゃったよ(さすがに弟が○○だとは思わなかったけど)。

ホラーとしての緊張感がない。島の異様さは十分伝わってくるけど、いざ主人公の身の回りに様々なことが起こってからも空気が張りつめない。堤監督って巧い種類の監督だと思いますがホラーの演出には向かないのでは?(過去作もあるにはあるけど)

本作をホラーではなくサイコサスペンスドラマとして観れば多分許容範囲(どうやら本作はホラーではなくスリラーらしいけど)。オチのどんでん返し具合もM・ナイト・シャマラン監督作のようなもんだし。

ただ、意味があるというイメージカラー「赤」はあまり目に止まらなかったなぁ。それに「赤い服の少女」の存在は正直分かりません。映画として機能しない裏設定とか私は好きじゃないし(それを紐解くのが好きだって人もいるんでしょうけどね)。


「サイレンが鳴ったら外に出てはならない」を逆説的に考えるという部分は面白かったです。でも強烈さはなかった。それを知らしめた時に「うおお、なるほどねぇ」と唸らせなかったら負けでしょ。

前述した通り、M・ナイト・シャマラン監督作を好む人にはちょうどいい作品。まあ、一見の価値はありますよ。

第78回アカデミー賞 [2006年03月06日(月)]

●第78回アカデミー賞

作品賞:
『クラッシュ』
監督賞:
アン・リー(『ブロークバック・マウンテン』)
主演男優賞:
フィリップ・シーモア・ホフマン(『カポーティ』)
主演女優賞:
リース・ウィザースプーン
(『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』)
助演男優賞:
ジョージ・クルーニー(『シリアナ』)
助演女優賞:
レイチェル・ワイズ(『ナイロビの蜂』)


脚本賞:
『クラッシュ』
編集賞:
『クラッシュ』
脚色賞:
『ブロークバック・マウンテン』
作曲賞:
『ブロークバック・マウンテン』
撮影賞:
『SAYURI』
美術賞:
『SAYURI』
衣装デザイン賞:
『SAYURI』
歌曲賞:
「It's Hard Out Here for a Pimp」(『Hustle & Flow』)
録音賞:
『キング・コング』
音響編集賞:
『キング・コング』
視覚効果賞:
『キング・コング』
メイクアップ賞:
『ナルニア国物語 第1章:ライオンと魔女』
長編アニメ賞:
『ウォレスとグルミット/野菜畑で大ピンチ!』
短編アニメ賞:
 『The Moon and the Son : An Imagined Conversation』
外国映画賞:
『Tsotsi』(南アフリカ)
長編ドキュメンタリー賞:
『皇帝ペンギン』
短編ドキュメンタリー賞:
『A Note of Triumph』
短編実写賞:
『Six Shooter』


すげー、『クラッシュ』『ブロークバック・マウンテン』『SAYURI』『キング・コング』が見事に3冠ずつ分け合ってるよ(後ろ2作は主要部門にはノミネートされてもないけど)。今年は目玉がなくて歴代視聴率的にも下から2番目だったそうですが、結果もそれに伴ったということでしょうか。

ゴールデングローブ賞最優秀作品賞獲得など前評判の高かった『ブロークバック・マウンテン』が作品賞を獲れなかったのは、カウボーイの同性愛をテーマにしていることから保守派の支持が得られなかったらしい。「監督賞はあげるけど作品賞は駄目」ということか。対する『クラッシュ』関係者の驚き&喜びようったらなかったもの。

そんな裏事情があろうが、それでも監督賞だけでもきちんと与える辺りはアメリカがアメリカたる国民性(作品を評価しているのではない。監督を評価しているのだ……という理屈)。某日本アカデミー賞の偏り方の惨澹たる有り様を見るにつけ、それでも羨ましいと感じてしまいます。

長編アニメは他に『ハウルの動く城』『コープスブライド』がノミネート。『ウォレスとグルミット』はまだ日本公開前ですが過去の作品を見れば順当な結果ではなかろうかと。つーか、『ハウル』は駄目駄目っしょ。ノミネートされたことに驚きましたよ(あ、そういや感想書いてないままだ)。

助演男優賞に輝いたジョージ・クルーニーは自身が監督した『グッドナイト&グッドラック』が監督賞、作品賞、主演男優賞、脚本賞、撮影賞、美術賞でノミネートされていながら、いずれも逃したので喜びも半減といったところでしょうか。


それにしても新宿では小っちゃな劇場1館でしか公開されてない『クラッシュ』がアカデミー賞なんて獲っちゃったら、春休みシーズンとなった今、観に行くのはかなりしんどい。うむむむ……ビデオを待つか。

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