『あるある大辞典』でのデータ捏造事件。そもそも納豆食べるだけでダイエット効果があるはずもないでしょうに。
騙される視聴者も視聴者ですが、放送内容をチェックすべき関西テレビだけでなく、キー局のフジテレビもまるで気付かなかったとは思えないんですがね([追記]プロデューサーは「7回チェックしたけど分からなかった」なんて言ってますけど、そもそもそんな節穴がメディアに携わっているのはどうなん?)。
今回のことで思い出したのが4年前の出来事。
まだまだ電車内での携帯電話マナーが確立していなかった頃です。
以下、当時、myroomに書いた記事の再掲載(一部)です。
──先日、私はあるオジサンに電車内の携帯電話の使用をもの凄い剣幕で怒鳴られました。
その時の車両は立っている人がいない30〜40人程度のスカスカ状態。私は一番端に座り、隣りにも人はいません。
人身事故か何かの影響で駅の間で電車が止まってしまったので家に連絡を入れようとメールを打っていたら(5分と触らぬ内に)そのオジサンは車両の反対側からわざわざ歩いてきて、まずは車掌さんに文句を言っています。
その内容が聞こえてきますが言ってる事はメチャクチャです。
「飛行機とかではちゃんと注意してるだろう」
「病院だって使用禁止だろう」
車掌さんもその理由が電子機器に影響があるからだと知らないのか困り気味に「乗り物が違いますから」としどろもどろです。
するとその後、そのオジサンは私の前に立ち「おい、車内で携帯を使うな!」と怒鳴ってきました。
もちろん私だってペースメーカーへの影響も知っているので混雑する車内では携帯の電源を落とします。しかし、混んでる時は使わないと言ってもオジサンは「車内は使用禁止なんだ!」の一点張りです。
なのでペースメーカーの話では?と切り返してみても、
「これだから物知らずは!」
「体に悪いんだ!」
「俺は血圧が高いんだ!」
と意味不明の理屈を言い出したため、相手にしたくないので適当に頭を下げてお引き取り願いました。
そのあまりの剣幕が気になったのでネットで調べてみると『あるある大辞典』で携帯電話がテーマの回があり、どうやらそれがオジサンの情報源だった模様です。
読んでみると頭の固い年配者が凝り固まってもおかしくない内容でした。「最近よく耳にする『電磁波』の正体」と称して書かれている内容はこう始まってます(↓以下、青文字部分)。
携帯電話の裏側にはこんな表示がある。『警告!航空機内では電源を切ってください』1996年、ブラジル、サンパウロ郊外でブラジル機が離陸中に墜落事故を起こした。その原因として疑われたのが携帯電話の電磁波。
これは電子機器への影響話であり、人体とは何の関係もないエピソードですが、どうも「命に関わる」というキーワードのみが刷り込まれます。
電気を通した時、その電気の粒子の粒が周辺まで飛んでいく。その粒子の粒を電磁波という。電磁波は電気を使うと必ず発生するもの。テレビ・電子レンジ・パソコン・冷蔵庫など、家庭内には電磁波を放出しているものがたくさんある。中でも電子レンジ使用中は電磁波が高めだが、多くのものは人から離れて使われ、殆どの電磁波は人体に届かない。携帯電話の電磁波を調べてみると、受信待機中では反応がないが回線が繋がったとたん電子レンジよりさらに強い反応。
お年寄りなどがなんとなく怖がる電子レンジを引き合いに出し、携帯はそれ以上の殺人電波を出しているかの様な印象を与えています。
一体携帯電話からどれだけの電磁波が出ているのか、簡易計測計では計りきれないので、研究所で正確に計ってみた。受信待機中(電源ON)→微量だが出ている。電話がかかる(着信)→測定値は待機中の300倍、電子レンジの10倍
電子レンジの10倍という数字は意味がありますが、待機中の300倍というのは読解力の無い人間には驚異的に映るでしょう。つまりは待機中は電子レンジの30分の1ということなのですが。
そして「人体への影響」と称する項目になると更に混同に拍車をかける羅列が見受けられます。
「我々の心は人間の頭の中の小さな電流がいつも作られたり消えたりして起こっている。外部から入って来た電磁波はその脳の電流に何らかの影響を与える」(大槻義彦教授/早稲田大学(理学博士))
人間の頭を計測してみると確か微量の電流が流れている。人間の脳は微量の電流で情報が伝えられている。頭のすぐ横で使う携帯電話が脳の電磁波を乱すのでは?と心配されている。
当たり前の内容もこのように疑問符で書かれると不安ばかりを煽ります。大槻教授の言葉もいいように引用されている感があるのは以下の文章で強くなります。
「この電波は皆さんが想像するほど強くはない。実際、アメリカのプロジェクトチームの結果としては携帯電話の使用による人体への影響はないと報告されている」(大槻義彦 教授/早稲田大学(理学博士))
WHO(世界保健機構)の電磁波安全基準は、超低周波電磁界(主に家電製品)で50ガウス以下であるが、現在見直されている最中。携帯電話は0.2ガウス以下(数メガHz〜数ギガHzの周波数において)なので安全とされているが、本当に人体に影響はないのだろうか。
「見直されている」という言葉を強調し、携帯電話の「0.2ガウス」という数字は「影響はないのだろうか」という疑問符で見事に打ち消します。そして遂に出たのが「ホットスポット効果」。
最近、電磁波に関する衝撃的な実験結果が報告された。『ホットスポット効果』 ある一定の大きさのボール状の物体に電磁波を浴びせるとその中心に電磁波が集まり、熱を発生させるというもの。この報告が衝撃的だったのは、そのある一定の大きさが直径20cm、人間の頭の大きさとほぼ一致していたことにある。
昔の教え「頭寒足熱(ずかんそくねつ)」「頭を暖めると自律神経反射の機能低下や異常循環障害などを引き起こし体には良くない」
この実験に使用されたボール=人間の頭とは直接言えないのに文章から受ける印象は断定的です。どの程度の電磁波を浴びた場合なのかの記述も曖昧なままです。しかも昔の教えなどと言って年配者に念を押しています。この辺りにオジサンの「血圧が高いんだ!」発言の原因があるようです。
そして、駄目押しとばかりに話題は携帯電話から離れ「電磁波問題」を羅列します。
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世界で起きた電磁波に関する事件
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アメリカ・コネチカット州では高圧電線鉄塔附近の住民の脳腫瘍患者率が激増。その原因と疑われているのが電磁波。
日本では送電線の下の住民にがん発病率が増加。その原因と疑われているのも電磁波(記事/「週刊現代」)。
パソコンのデスクワーク勤務者に女児出産率が増加。これも電磁波の影響と疑われている(女児出産率の日本平均=48.51%、某総合家電メーカー=70%)。
その後、一応、携帯電話の安全距離も扱いますがフォローのためというよりも不安にさせる切り口です。
携帯電話の安全距離(あるある実験)
機械の場合、電磁波が影響を及ぼさない安全な距離が明確にあるようである。自動点滴システムを使ってその距離を計ってみた。電磁波がそのセンサー部分に影響を与えるとブザーと共に赤いランプが点滅する。通話状態にした携帯電話を1mから徐々に近付けていく。すると10cmまで近付けたところでアラームが反応。誤作動した。携帯電話から発生する電磁波を防ぐにはここにヒントがありそう。
ここで重要なデータは「10cmまでは大丈夫」なのに、この文章では「誤作動」という言葉が印象に残る始末。そしてやっとペースメーカーの話題に触れます。
「ペースメーカーに関してはすべての機種に実験をしてまして、その実験結果からは最大距離が15cmということがわかっている」 携帯電話の注意書きには、携帯電話を使う場合22cm以上離すようにと書かれてあった。
きちんとした注意書きの記載事項なのに「書かれてあった」というぶっきらぼうさで台無しにしています。
アメリカの携帯電話の最大手、モトローラ社の客員教授、ロス・エイディ博士は「携帯電話の使用は1日30分以内が適切」という説を発表。電磁波の影響は未解明だが念頭において付き合えばその不安から回避できる。
携帯電話の安全通話時間としてモトローラ社の客員教授のコメントを出していますが、年配者は「携帯電話の最大手」というキーワードにひれ伏すばかりでしょうね。
それ以外にも「バリ3シンドローム」や「携帯電話不安症」等の若者の心の病も同列に並べており、それすらも電磁波のせいと思っちゃわないか心配です。詳しくは個々に『あるある』のHPを探して見て下さい。リンクを張るのもウンザリなので──
……以上、2003年1月のmyroom記事でした。
(そういえば「ホットスポット効果」を「閉じられた空間では電磁波は入るばかりで外に出ない」「そのため電車内では電磁波が増幅される」みたいにしたトンデモ話をどこかで見た記憶があります。その話も4年前のこのオジサンの耳に入っていたのかもしれませんね)
納豆以外にも「レタスの睡眠効果」だかの実験データも捏造だったことが報じられてますが、データの都合のいいつまみ方、誘導の仕方など、制作意識の低さは昔から変わらず、といった感じでしょうか。きっとまだまだあるでしょうね。
先日たまたま見た某伊東家でも「マヨネーズに酢を混ぜるとジャガイモに浸透しやすくなる」というポテトサラダの裏技紹介で都合のいい実験の仕方(=ただのマヨネーズと比較)をしてました。
本来、同量の水か何かを混ぜて水分比率を合わせたものと比較せなアカンでしょうに。まあ、これは結果に歴然とした差を付けようという「演出」の範疇でしょうが、下手すれば実験結果が怪しくなるので気をつけてほしいですね。
とにかく情報は鵜呑みにせず、自分たちで吟味することを心掛けましょうということで。