たまたま見たニュース一覧に「デジタル放送が高画質のまま10回までコピー可能に」との文字。
なんだなんだと内容確認してみると、現在のDVD−RW等への1回のみコピーを10回まで出来るように検討しているそうな。
(「コピーワンス」「コピー」「ムーブ」など上記の説明だと厳密には違うけど、結局はこの理解で十分ていうか意味は同じ)
「現在、1回だけに限られているデジタル放送番組の録画について、コピーを10枚まで作れるよう緩和する方針が、総務省の検討委員会で大筋で合意されました」
「現在、ハードディスクレコーダーに録画したデジタル放送の番組は、DVDに1回コピーすると元のハードディスクから消される仕組みになっています」
「新しい方式では、ハードディスクから9枚のDVDなどにコピーができ、10回目にコピーしたときに元のハードディスクから消されるようになります」
……何か意味あるのかな、コレ。
DVD−R(ビデオモード)には録画できないだろうし、コピーしたDVD−RW(VRモード)からのコピーもできないだろうし、大した変化はないよね。
唯一、コピー中のトラブルでDVDにムーブされてないのにHDDのデータが消去されることへのフォローにはなるかな。
友人に頼まれて複数コピーする時に需要がなくはないけど、やはりHDDは仮置き場であり、DVDに移したHDDデータは消しちゃうわけで、その後にコピーを頼まれてもあとの祭りなことには変わりなく。
本来必要なのはHDD→DVD→DVD→DVD……という10回コピーなんですけどねぇ。まさか念のために10枚コピーしとけってか?
とはいえ一般家庭での使用にはちょっぴりマシな改正案ではあるかと、少しは評価しようと思っていたら──
「来年にはこの方式に対応する録画機器が発売される見通しです」
orz
これ、マジで言ってるのかなぁ。
文章通りだと現在の機器は対応しないことになるんですが。
もういいや、別にアテにしてないから。
後日。
よくよく調べたら「大筋で合意」すらしておらず、各業界の権利ゴロたちがゴネて、まだまだ混乱している模様(しかも、これが導入されたらされたで新たな混乱が生まれそう)。
ちなみに検討委員会とは放送局・著作権者・家電メーカー・消費者団体などで構成。
この中で「緩和を求める家電メーカー」と「違法コピー防止のために制限維持を求める著作権団体」とが対立しているとのこと。結局、今回決まったのは「暫定的な妥協案」だそうです。
コピー10回という数字は「3人家族で1人3回録画」から算出。今回は「個人でも複数のポータルデバイスなどで同一コンテンツを利用する場面がある」という理屈で著作権団体側をギリギリ説き伏せたといった形でしょうか。
以下、各業界の思惑。
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日本芸能実演家団体協議会
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「n+1回という枠組みを決めて以来、3+1回を訴えてきた。今回の譲歩の背景には《私的録音録画補償金制度》の存在があり、制度そのものが存続しなくなくなるようであれば、いついかなる時点においてもn回について再度検討する場を求める。また、今回の緩和が海賊版の温床となるような場合も同様で、関係各社や行政によって注意をしてほしい」
私的録音録画補償金はDVD−RW等の録画メディアの価格に上乗せしてるんだから、コピー回数多い方が補償金収入は増えるだろうに。
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日本音楽事業者協会
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《知的財産立国》といっているのに緩和で進んでいくのは残念。海賊版は海賊版業者が作るものというのは過去の話。デジタル機器に詳しい若年層も増え、一部の不届き者の愚行でなく誰しもができうるものだ。9+1回は到底納得できない。従来の3+1回の方針を訴えていく」
知的財産権保護国アメリカのTVはコピーフリーですけどね。3+1回に妙にこだわってますが、3回も9回も不便さに変わりはありませんて。
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映画業界
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「10回という回数に驚いている。映画はコピーネバーが原則。携帯電話、iPod、PSPなどの機器での利用という理由もあるとはいえ、権利者の意思を離れた利用には不満を持っている。我々の主張は1+1回。9+1回は受け入れがたい」
映画館の映画と放送される番組は別。だったらTVで映画を放送しなければいいでしょうに。
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放送局
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「回数はハード不良のバッファを含めても、私的利用の範疇として多すぎるのではないか。便利になったはいいが海賊版が氾濫したら何のための緩和かわからない。どうやってそれらの問題を解決していくのか議論はまだ必要」
今までハード不良のバッファを見て見ぬフリしてきたくせに。私的利用の範疇はコピーフリーであるべきじゃないの?
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民間放送の代表者
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「議論で出てきた数値を大きく超え戸惑っているが、権利者、消費者の皆さんの理解が得られるのであれば積極的に取り組んでいく。権利者の皆さんが相当苦渋にみちた表現をされたことを放送事業者としては受け止めなければならない。放送事業者としては番組の調達経費が上がるのでないかと懸念しており、結果的に消費者の不利益につながるのではないか」
番組の調達経費が上がり視聴者の不利益になるという脅し。海賊版→DVD収入減→制作費減→番組がつまらなくなる→有料放送は料金値上げ──という理不尽な連想ゲーム。
しかし、どの意見も視聴者=海賊版業者と言ってますな。
……あれ?
今回決めようとしているのは「VRモードのコピー回数」なんだから、そもそも海賊版制作には繋がらないのでは? おかしいなぁ。
皆、海賊版問題に論旨をすり替えてますけど、それは海賊版DVD自体を取り締まることで解決すべきであって、視聴環境を縛る理由にはならないでしょうに。
視聴率が取れないのは海賊版のせい?
DVDが売れないのは海賊版のせい?
それは単につまらないから。
デジタル録画機器が売れないのはそんなコピーワンス信号のせい(あとBDとHD−DVDの規格争いのせい)。
どうも三方一両損の理屈でまとめようとしてるけど、損するのは視聴者ばかりで業界側は誰も損しません(家電メーカーは無駄にコストを背負うことになるけど、それも結局は消費者に降り掛かるだけだし)。
デジタルは制御ができてしまうだけに始末が悪い。今やっているのは誰がどれだけの既得権を確保するかの泥仕合でしかなく、そんなことで疲弊している時じゃなかろうに。
こんな意味のない仕様決定会議なんてさっさと切り上げて、コピーフリーにした上で海賊版の取り締まりをこそしっかりしましょう。
余談。
上記以外に電子情報技術産業協会(JEITA)はEPNという規格を推進しているそうな。
EPNとは──出力・録画する際に暗号化しつつ、コピーはフリーで、EPN対応機器でなら録画・再生ができるというもの。ネットへの映像流出に効果的。ただし制限のないコピーに業界からの反発がある──というものらしい。
でも、これもまた家電メーカーの「AV機器買わせよう路線」なので、諸手をあげて歓迎できませんな。規格的にもDVD−R(ビデオモード)は対象外っぽいしね。