『四王一后』 [2002年08月17日(土)]
『四王一后』'74年製作、監督:BITTO ALBERTINI、主演:ROBERT MALCOLM、羅烈ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーこの映画はショウブラでも珍作中の珍作として知られている。また、ジャッキー・チェンが端役時代に出演した作品として記憶されている方も多いのではないだろうか。(ジャッキーの出演場面は乱闘場面のカラミその1程度。役と呼べるものではなく、セリフも無い。) ブルース・リーの死後ちょいと国際性に色気ついたショウブラは、この時期『七屍金/ドラゴンVS7人の吸血鬼』『奪命刺客/暗殺指令シャター』『龍虎走天涯/鐵漢嬌娃/真西部ドラゴン伝』など盛んに合作映画を製作していた。主演は『真西部ドラゴン伝』と同じく羅烈(ロー・リエ)なのだが、狄龍、姜大衛がイギリス映画、岳華がドイツ映画に出演していることを思えば、羅烈の主演作が2本ともイタリア映画なのは偶然か?あの濃い顔はイタリア担当だとでも思われていたのか?(笑) それにしても他のショウブラ・スターを差し置き海外作品で2本も主役を取るとはさすがである。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーいったい何が"さすが"であるのか?実は羅烈は熱心な海外のショウブラ・ファンからは"Mr.ショウブラザース"とまでいわれている人なのである。インドネシア華僑という見るからに暑苦しそうな出自を持つ羅烈は、ショウブラの俳優養成所で同期の岳華と共に学び俳優になった。ご存じのように圧倒的に悪役が多いが、主人公を助ける謎の剣士といったバイプレイヤーとしての活躍でも評価が高い。これだけではどこが"Mr.ショウブラザース"なのかは解らないが、その理由はやはり出演作品の多さであろう。古くはジミー王羽、岳華、鄭佩佩らの武侠片から相手役を務め、狄龍、姜大衛、陳觀泰、傅聲らと闘い、劉家班たちをまんべんなく苦しめた。その後も五毒、錢小豪ら張徹最後の世代たちに貫禄を見せつけたかと思えば、楚原作品では若い徐小強や莫少聰を引っ張ったし、劉永のような移籍組にもきっちりと仕事をしたのである。後年、台湾産B級作品にも山ほど出演していて、しかも日本ではこちらの方がより有名であるため評価の低い向きもがあるが、羅烈こそショウブラの顔であったのだ。功夫映画を初めて欧米に認知させた作品『天下第一拳/キングボクサー大逆転』が羅烈の主演作であったことは忘れてはならない。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー麻薬組織を追っていたエージェント数人が組織に捕まり、その奪還のために腕利きのエージェントが選ばれる。その男ウォレスは謎の女スパイ・施思に振り回されながら、組織壊滅の鍵を握るマスター・タン(これが羅烈)に接触を試みる。紆余曲折の末に羅烈を捜し当てたウォレスは、新兵器開発部が作った無敵のスーツを使って組織を壊滅させた。ま、要約するとこんだけの映画なのだ。製作はほとんどイタリア側らしく、ウォレスを巡るドタバタが延々と続き、ただ羅烈に接触しろ!という指令を実行するのに話の三分の二を費やしている。英語吹き替えでアメリカ人にされてしまったイタリア人俳優たちは、毎日イタリア料理を食っている理由を英語で言い訳しているバカバカしさ。羅烈たちが住んでいる町はショウブラのセットをそのまま使っているため、現代人でありながら清朝時代にも見える始末。『007』にも『燃えよドラゴン』にも成り切れない典型的なダメ映画の見本のようだ。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーそれでもなおこの作品がショウブラ愛好家から珍作とされ重宝がられているのは、新兵器として登場するその無敵のスーツにある。これがまったく『スーパーマン』に出てくるスーツそっくりの代物で、ちゃんとマントもついているし、胸にではないがチャンピョン・ベルトのような大きなバックル部分にでっかく「S」と書いているのだ!このスーパー・スーツを得意気に着込んだ羅烈と施思が「ムハハハハ!」と笑いながら悪の組織を得意の功夫でやっつけるのだ。もはやこの場面を見てしまったら後は何もいらないだろう、それだけのインパクトは十分にある。パツキンねーちゃんに囲まれてウハウハだった同期の岳華、海外の映画でもかっこいいところを見せた狄龍らに比べ羅烈本人がこの作品をどう思っているのかは知る由もないが、気持ちよさそうにスーパーマンに成り切っている羅烈の姿からは"Mr.ショウブラザース"としての誇りが漂っていた・・・・訳ねぇだろっ!








