旧myroom(香港電影的日常 '01/2/17〜'06/1/29)より移転。

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『WILD HOGS/団塊ボーイズ』 [2008年02月10日(日)]

『WILD HOGS/団塊ボーイズ』'07年製作、監督:WALT BECKER、主演:TIM ALLEN、JOHN TRAVOLTA、MARTIN LAWRENCE、WILLIAM H. MACY

 この映画がアメリカで公開されたのは丁度一年くらい前、私はその時に観たのですが、いつまでたっても日本で公開されないので、こりゃひょっとするとビデオ・スルーか?なんて思ったものです。

 ティム・アレン、ジョン・トラボルタ、マーティン・ローレンス、ウィリアム・H・メイシーの四人に、レイ・リオッタ、マリッサ・トメイが出演する豪華版で、映画も面白いのに公開されない訳は、もしかしたら最後のオチにあったのではないかと。

 オチの話は後回しにして、まずは本編から。

 トラボルタたち四人は、団塊オヤヂにありがちなハーレー乗り。若い時にブイブイやれなかった夢を、小金が出来てから実現するアレですな。とりあえず“ワイルド・ホッグス”なんてチーム名を名乗り、揃いのジャケットにチーム・エンブレムで、街中を軽く流すのが関の山。馴染みの酒場でチームの仲間と一杯というのだけが楽しみのちょい悪親父たち。

 離婚して破産したトラボルタは、そのことを仲間に言えず、ムシャクシャする気持ちを解消するため、仲間にロード・ツーリングを提案。決して本格的なライダーではない彼らは尻込みするが、“伝家の宝刀・男のロマン”という言葉に説得され旅に出る。ティム・アレンはミドル・エイジ・クライシスな自分が認められず、マーティン・ローレンスは夢を諦め切れない、ウィリアム・H・メイシーに至っては超オクテでまともに女もくどけない。それぞの悩みを抱えたバイク珍道中は、こうして始められた・・・・。

 シティ・バイカーな彼らを待ち受けるロードの苦難が笑いを誘い、旅の中で彼らの抱える悩みも浮き彫りに。本物のバイカーがたむろする伝説の酒場で、レイ・リオッタ扮するバイカー・ギャングと悶着を起こしたが、トラボルタが酒場を吹っ飛ばした隙に逃げ出した。マリッサ・トメイの住む桃源郷のような田舎町に逃げ込んだが、復讐を企むレイ・リオッタの追及の手が迫る。

 悩みを抱えた中年が、刺激を求めて旅に出るというのはビリー・クリスタルの『シティ・スリッカーズ』そのままだし、マリッサ・トメイの村で、最初はギャングを倒した英雄として間違われ、その後化けの皮が剥がれて、一念発起で立ち向かう後半部分はスティーブ・マーティンの『サボテン・ブラザース』そのまま。この映画も最近のハリウッド映画にありがちな、ヒット作を繋ぎ合せただけのパッチワーク映画で、面白かったのは確かだが釈然としないものも残る。

 さて、公開が懸念されていたオチの部分だが、本編のオチ(そっちは書かないので劇場で確認してね!)ではないのでご心配なく。エンド・クレジット部分で流れるエピローグのオチについてなのだ。でも、アメリカ人にはここが一番ウケてましてね、知っているのと知らないのとでは映画の印象が全く変わってしまうんですよ。

 「Extreme Makeover:Home Edition」というTV番組があります。日本では放送されていないと思いますが、ABCで'04年から始まったリアリティ・ショウのひとつで、現在も続いている人気番組です。元は「Extreme Makeover」という整形の番組だったのですが、それの「Home Edition」という訳です。
 やはり別の番組でリフォーム物に出ていたTY PENNINGTONという大工さんを番組の顔として起用、てっとりばやく言えば「ビフォーアフター」という日本の番組そっくり。

 だが、この番組ほどアメリカを感じさせてくれるものはありませんよ!

 「ビフォーアフター」そっくりといいましたが、日本の番組が基本的にリフォームであるのに対し、「Extreme Makeover:Home Edition」のスケールは何もかもリフォームの域を超えている!

 こんな回がありました。

 番組に応募してきた家族は、祖母から受け継いだ大きな屋敷に住んでいた娘ふたりの母子家庭。その屋敷は火事で焼けてしまい、骨組みすら残さず丸焼けに。屋敷が市街から遠くて消火が間に合わず、保険もかけていなかった家族は、建て直しもままならず焼け跡にプレハブを建てて暮らしている。
 家族の悩みはプレハブに水道が無いことで、なんと近所の川から水を汲んで間に合わせていた。育ち盛りのティーン娘と母親は、水汲みがあるため学校も仕事も満足に通えない悪循環。
 番組に泣きついてきた家族を救うため、かくしてMCのタイ・ペニントンと彼のプロジェクト・チームが立ちあがった。

 完全に焼け跡しか残っていないのですから、こうなるとリフォームでもなんでもなく、ただの建築作業になってしまうのですが、そこはそれアメリカですから、そんな小さなことは言いっこなし!の方向で。

 番組には建築家や設計士、インテリア・デザイナーなんかがいます。シーズン・エピソードによっては入れ替わりがありますが、Paul DiMeo、Michael Moloney、Preston Sharp、Tracy Hustonなんかがレギュラー。

 番組の基本フォーマットは、こうして依頼のあった家族の事情を聞き、プロジェクトチームが立ちあがると現地へ急行。家族は一週間の休みを与えられ(大抵はディズニー・ランドとかマイアミ・ビーチ)、その間に一週間以内で作業を終える。
 たった一週間で家一軒建ててしまったりするのですから、必要なのは圧倒的なマンパワー。番組スタッフは現地へ飛ぶやまずするのが人集め。家族の事情を話し、近隣の住民を集めるのですが、手伝いにくる人数も半端ではない数。近くに大学や軍事基地などがある場合、フットボール・チームから軍隊までやってくる。

 この家族の場合、焼け跡の撤去から新築、内装までを一週間で終わらせるという難作業。幸いにも軍事基地があったことから海軍の水兵が大挙して手伝いに。家族の願いで、焼け跡から使えそうなものがあったら使って欲しいと聞いていたMCのタイ・ペニントンは、焼け残ったテーブルの板部分を探し出し、新しくテーブルを作り上げる。雨が続き難作業の中、続々とボランティアで訪れる町の住人たち。

 この番組が素晴らしいのは、資材が現地調達である点。特殊なものを除き、資材やインテリアのほとんどが、地元のホーム・センターのような所で調達されるのだ。番組がやってきて町の知名度を上げ、町の住民が協力してひとつの作業をこなし、番組は現地で金を落とす。そうしてひとつの家族が救われるのだが、リフォーム番組でありながら、ダメだったら取り壊してでも建て直そうという発想、人海戦術にしても、町ぐるみはおろか軍隊までもが動員されるというスケール感。

 一週間の休暇が終わり、想像していたのよりも巨大な屋敷が建っている姿を 見て、うれしさのあまり泣き崩れる家族たち。タイと彼のチームも、町のボランティアたちも全員が貰い泣き。もちろんTVの視聴者も。

 派手派手しく、騒々しく、何事にも大げさな番組だ。だが、事故で半身不随の車椅子生活になった息子にバリア・フリーの家を、移民の親戚が転げこんできて、二世代どころか三世代で二世帯の共同生活になった家族が、様々な事情を抱え、番組に応募し、番組は地元を巻き込んだ狂乱騒ぎのうちに家を建て替える。
 焼け残りから作られたテーブルに祖母の思い出を見てすがりつく母、車椅子になってからすっかり塞ぎ込んでいた息子がみせる少しはにかんだ笑顔、60年前にこの国に来て以来、初めて良いことがあったと飛び跳ねる90歳のお婆さん。

 その派手さと、大げさな騒ぎのうちに、ほんの少しだけの、素晴らしい夢が庶民に降り注ぐ・・・・。

 これこそ、古き良き、そして美しきアメリカン・ドリームではないでしょうか?

 この番組が、映画『WILD HOGS/団塊ボーイズ』最後のオチです。さて、どんな使われ方をするのかは、皆さんが観てのお楽しみ!ということで!

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