男子壊滅 [2008年08月15日(金)]

 鈴木桂治も負けた。

 全ての選手が谷本選手のように勝つことが柔道の理想ではある。だが、現実はどんどん総合柔道の方向に流れており、内柴選手のようにグレイシー柔術へ出稽古に出向く選手だけが世界で生き残っていくようになるだろう。

 金メダルを獲得したモンゴルのナイタン・ツブシンヤバル選手の試合は、まるでレスリングであったが、柔道がオリンピック種目として、「武道」ではなく「競技」の道を選択した時から、競技の中で最善の勝ちを目指す方向性が生まれるのは仕方がないことなのだ。相手が柔道をやらないから・・・は言い訳でしかない。

 武道としての道を選択して、オリンピック競技としての参加申請を行わない剣道のような選択肢もあるにはあったが、もはや競技化された柔道において、それは望むべくも無いではないか。

 ナイタンは最初からタックル(諸手刈りや朽木倒しとは呼びたくない)だけを狙っていた。鈴木もそれは判っていたろうが、最後の一本を決めたタックルだけは、フェイントだった。いや、フェイントのタックルを決めるための布石を打ってタックルを仕掛けていたというべきか。
 VTRで確認して欲しい。最後のタックルに行く瞬間、ナイタンは一瞬背筋を伸ばし鈴木の目を見る、これに釣られて鈴木も背筋を伸ばして組む反応をしてしまう。
 これは打撃系の格闘技でいう目のフェイントってやつ。実際に蹴る方向と違う方を一瞬見ることで、意識を散らしてしまう高度なフェイント技。

 今回の惨敗は、日本男子柔道の、総合柔道への軽視がこの結果を生んだのは間違いない。

 中間距離の間合いから、組まないで戦う選手がいるなら、当然、打撃系格闘技のような、目のフェイントも含む仕掛けもあるのが総合柔道ということだ。
 
 今日、石井慧選手が金メダルを取ってもチャラには出来ないが、せめて将来に期待の出来る柔道を見せて欲しい。

 明るい話題で締めくくろう。
 
 上野雅恵選手も、谷本選手同様怪我を乗り越えて復活、見事に金メダルを獲得。彼女が怪我で出場出来なかったシーズンは、柔道一家の家族が対戦相手のデータを収集してサポート。父の経営する町道場出身からオリンピック二大会連覇は、素晴らしい偉業である。おめでとう!

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