旧myroom(香港電影的日常 '01/2/17〜'06/1/29)より移転。

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『社女』 [2004年02月22日(日)]

『社女』'75年製作、監督:張森、主演:林建明ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー女優としての林建明の名前を一躍印象つけた彼女の代表作だ。同年の『盲女奇縁』でデビュー、当初は只の美人女優であった。二作目に主演したこの『社女』で、早くも難しい役柄に挑戦。意欲的な女優であることをアピールした。協利電影製作のこの作品は、当時の若者問題を盛り込んだ社会派ドラマで、この映画での挑戦が認められた林建明は、以後の女優としての地位を確立した。監督の張森にも気に入られ、協利製作のドラマ作品に多く出演。その中には初期の周潤發作品『池女』などもある。この映画での彼女の挑戦とは何であったのか?それは、大胆なヌード・シーンだ。今でもそうだが、中国人女性に肌を晒すという感覚は非常に恥ずべきものであり、日本、韓国に比べて香港の女優にヌードが少ないのはそのためだ。バストトップこそ巧みに隠しているものの、明らかに全裸と判る場面の他、レイプ場面や、転落後の売春婦暮らしでの濡れ場の数々など、驚くばかりだ。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーもうひとつの挑戦は、当時のマスメディアでも大々的に報じられた坊主頭だ。売春宿からの足抜け防止のため頭を剃られてしまうのだが、これをカツラではなく本当に剃った頭で演じているのだ。あまり切れ味の良くない剃刀で剃られる場面では、実際に頭皮から出血、彼女の見せている涙は演技を超えたものだろう。我々日本のファンには、デブゴン映画でのヴァンプ役でのみ印象深い林建明だが、このような経緯を経て一流女優になっていったのである。82年には監督作『熱狼』を発表、香港では数少ない女優兼任の監督となった。現在は「香港芸能人協会」の理事を務めるほどで、多くの芸能人からの信望も厚い。素顔の彼女はTV「星空下的傾情」で垣間見れる。彼女がホストを務めるこのトーク番組は、ゲストが一気飲みをしてから酔いに任せて本音を語る番組として人気があった。香港のトークショーはこういうたぐいのものが多いのですよ。黄霑、倪匡、蔡潤がホストを務める「今夜不設防」など終始飲みっぱなしで、新人女優はおやぢ三人のセクハラ攻撃で泣かされたりします。番組での林建明は、映画で見るきついメイクとは違ってナチュラルで大変美しい。歯に衣着せぬ切れの良い発言も人気の秘密だろうか。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーープレイボーイの羅石青に騙されたOLの林建明。レイプ同然に処女を奪われ、売春組織に売られてしまう。中々言うことを聞かない林建明に痺れを切らした遣り手婆は、彼女の頭を剃り上げらてしまう。頭を剃る時呼ばれた階下の床屋・伊雷は彼女を助けようと画策するが、寸前で見つかり組織の用心棒・高岡にボコられる。瀕死の恩人を見るに見かねて、娼婦として働くことを承知する林建明。坊主頭の娼婦は客に気味悪がられたが、やがては坊主頭フェチの客でいっぱいになる。この客に扮してゲスト出演の役者たちが寸劇を演じるのだ。孫嵐や馬劍棠らに混じって登場するのは我等が石天。林建明の坊主頭に御札を貼り付け"お寺プレイ"を満喫。『神龍小虎闖江湖/帰って来たドラゴン』以来の色悪キャラだ。石天さんは後半もう一度登場し、足抜けしてカタギの仕事をしている林建明の幸せをぶち壊すのだ。仕事の途中で伊雷と再会、隙を見て逃げ出しカツラをかぶってウエイトレスを始めた。(クラブのオーナーに客演の陳鴻烈) 前述の石天に見つかりハゲ頭を晒された林建明、同時に組織の人間にも見つかり連れ戻された。焼きを入れられる伊雷、もう一度女の頭を剃れと命令されたが、逆切れして剃刀を振り回す。憎い羅石青を含む組織の人間を虐殺、伊雷は警察に連行されてしまう。愛する伊雷を自分のために失い全てを無くした林建明は、ひとり仏の門をくぐるのであった。

『初恋のきた道』 [2001年02月20日(火)]

『初恋のきた道』2000年 張芸謀監督作品 章子怡主演ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 中国第五世代(文化大革命終了後、映画学校に入った世代。張芸謀自身も"文革"で下放され労働させられた過去あり)の監督で陳凱歌とならぶ現代中国映画の巨匠である張芸謀の新作で、都会から来たインテリゲンチャの青年と農村の無学だが純情な娘とが恋に落ちるも、時代は容赦なく若い二人の恋を呑み込んでいく・・・・・・・・・・・・・・ってな映画かと思ったら、これは「アイドル映画」ではないですかっ!? 『グリーンディステニー』で鮮烈な日本デビューを飾った章子怡の本国デビューがこの『初恋のきた道』だ。 思えば『グリーン』で一番印象に残っているのは袁和平の武術指導の超絶アクションよりも、空を飛ぶ楊紫瓊よりも、久しぶりに(っていわれてるけど実は徐克制作のTV版『黄飛鴻』シリーズで功夫復帰済み)復帰の鄭佩佩大師姐でもなく、当時は無名の新人だった彼女のその跳ねるような演技ではなかったか?ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー私的には「グリーン」は面白いとは思えず、個人的な女性の好みとしても好きなタイプではないが、彼女のその演技には感嘆した。さしもの張芸謀もそうだったのだろうか?自身の好きなもう少し広げられそうなテーマが目の前に転がっているにも関わらず、執拗なまでにカメラは恋する少女の表情を追い続けているではないか! これではまるで「アイドル映画」といわれてもしかたあるまい。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーしかし、やはり、である。章子怡のどのカットのどの角度から見てもひとつとして同じ表情を見せずに変わり続ける彼女の演技は驚異ですらある。末恐ろしい女優だ。その彼女の新作はジャッキー・チェンの『ラッシュアワー2』で悪役を演じるそうだ。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー最後に張芸謀らしくて好きだったセリフを。父の遺体を昔の風習にしたがって担いで村まで運びたいという母の願いを聞いた息子と村の古老の会話から。「どうしても担ぐのは無理なのかな?」「無理だろうな。年寄りと子供だけじゃ、どうしようもない。文化大革命の頃は担いだものだがな。」なるほど。"文革"の頃の方が、か。そうですか・・。
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