旧myroom(香港電影的日常 '01/2/17〜'06/1/29)より移転。

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『恋戦。沖縄(恋戦。OKINAWA Rendez-vous)』 [2001年09月20日(木)]

『恋戦。沖縄(恋戦。OKINAWA Rendez-vous)』'00年製作、監督:陳嘉上、主演:王菲、張國榮、梁家輝ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーヤクザ(加藤雅也)の金200万ドルを別れの駄賃に持ち逃げした女(王菲)、その女に惚れた男(張國榮)は泥棒で、加藤雅也と取引するために沖縄に来ていた。休暇で恋人(黎姿)と沖縄に来た香港の警官(梁家輝)は張國榮を捕まえるため王菲に接近するが逆に王菲の虜に。ほったらかしにされて面白くない黎姿は友人(車椀椀)と遊んでいると、王菲に逃げられて落ち込んでいる加藤雅也に出会う。梁家輝は張國榮を罠にハメるため偽の仕事を持ち込むが・・・・。ーさあ夏の沖縄を舞台に、消えた200万ドルを巡って警官と泥棒と日本のヤクザが恋の鞘当て、謎の女は?事件は? と、このどうにでも転がりそうな話は意外にも何も起こらない。'90年代の現代アクションを支えてきた陳嘉上(『ファイナルオプション/香港最終指令』『フィスト・オブ・レジェンド』『デッドヒート』等)は金の行方や事件の経緯を描くのではなく、タイトルに偽りなく"恋"の"戦"を描いたのだ。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー張國榮は相棒(谷徳昭)はいるものの基本的に一匹狼の泥棒で、女にはすこぶる冷たい。ちょっとワルぶってクールに構えているが、そのくせ案外純情で走りだしたら止まらないという張國榮お得意の役だ。梁家輝は、内勤で庶務課の警官で、恋人とは倦怠期。彼がコメディで良くみせる、思い込みが激しくたいした実績も無いのに大物振り、あげくひとり相撲を取るという役どころ。ふたりともお馴染みの演技であるはずなのだが、どちらも生彩を欠いている。タイトな海外ロケのスケジュールが堪えたのか、通常の香港映画とは現場のテンションが違うからなのか、恐らく後者であろうが、いつもとは"湿度"の違う環境で本来の実力を出し切っていない。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー不振を極める男優陣に対して女優陣はいっそう魅力的である。『恋する惑星』以来6年振りの映画出演となった王菲は、これが彼女の地(一般に露出している範囲のという意味だが)なんじゃないかと思うくらいに自然体で、主演女優でありながらニコリともせず不機嫌な顔をさらし、肩をイカらせて画面を闊歩する。惜しむらくはこの王菲が演じたキャラクターの内面が、他の人が演じるそれよりも掘り下げられてはいない点だ。ま、故にいっそうミステリアスな魅力が生まれたのではあるが、彼女が何故最後に"彼"を選ぶのかの明確な回答を与えてはくれない。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーこの映画で王菲以上に演技者としての株を上げたのが黎姿だ。モデル上がりで歌手としての方が有名だった彼女の名を一躍有名にしたのが『古或仔』シリーズだった。綺麗なだけの添え物女優の位置から彼女は脱脚し、それなりの評価は既に得ては、いた。しかしこの映画の彼女は、はっきりいって脇役で、さしたる見せ場も与えられてはいない。(梁家輝にフラれるのが唯一の見せ場らしい見せ場。)冒頭、梁家輝とのうまくいっていない関係を示す彼女の微妙な表情の変化や、王菲が現れてからのバスの中での表情など、カメラがハッキリと被写体として彼女を捉えてはいないところまで作り込んでいる。眼だけで演技の出来る女優だ。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー黎姿の蓮っ葉で雑な友達を演じた車椀椀も実力派に恥じない演技を披露するのであるが、この映画であっとーてきな存在感を示すのが張國榮の相棒役の谷徳昭である。この男、本職の役者では無い。周星馳映画の脚本家として鳴らし、ジャッキーの『ゴージャス』を監督した男である。本職では無い、とはいうものの香港映画の他の監督同様ちょこちょこ顔は出している。しかし本作ほどの凄味はかつて見せたことは無い。何が凄いって、ただの"ヤクザ"そのものにしか見えないというのが凄い!もう全身くまなく上から下までヤクザそのものなのだ。風貌がヤクザっぽいというのなら別に驚くことでは無いが、普段の谷徳昭は太った体で愛敬を振りまく男なのだ。その彼が画面の中からはみ出すほどの圧力でもってヤクザになりきっているのが信じられるか?やたらと落ち着きの無い態度といい、無意識に人目を避けてしまうその振る舞いといい、完璧にヤクザと化している。誰か谷徳昭主演で"ヤクザ"映画撮らんかなー?敵対する組織のボスが呉鎮宇とかで、回想シーンにだけ出てくる死んだ昔の女が朱菌。(昔、谷徳昭と呉鎮宇のふたりが惚れていた、とかいう設定で。) 谷徳昭に憧れてついてくる若いのが馮徳倫で、当然やられてしまう・・・うーむ、林超賢とかで撮れそうだ。もちろん監製は陳嘉上だな。
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