「fakeの誰もが知りたがっているくせにちょっと知ることが出来ないジャッキー・チェンのKUNG FUのすべてについて教えましょう」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーというわけでジャッキーです。「ジャッキーチェンは武術家か?」答は「否」です。この話はこの前提に立って進めます。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーージャッキーの経歴を見ると幼少時より京劇学校で学び、スタントマン、武術指導家を経て功夫映画のスターにという流れになることはみなさんもご存じのことと思います。ではジャッキーの武術が何か?ということは以外と語られていません。最初にいったように彼は功夫スターではあっても、武術家ではありません。でも彼にも功夫の素養はある訳で、その核を成す武術は何かという話です。従来だと京劇=北派と見られがちでした、むろん間違いではなくそれは彼のアクロバティックな身のこなしからも分かります。しかしそれだけでしょうか?映画を見ているとあきらかに南派のテクニックが見受けられるのは何故か?(前振り長かったか?)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー実はその答は案外あっさりでるのですが、「白眉拳」という拳法だと本人が「INSIDE KUNG FU」誌に語っていて、一時は功夫マスターになるまで修行をつんだと最近語っているのです。(「白眉拳」は清初に白眉禅師によって創設された、現代中国武術でも実戦派の拳法で詠春拳にも似た手技を使い、木人を使って練習する)しかーし、これだけでは私が書いている意味が無い訳で、長かった前振りのためにもここからが本番。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーもともとジャッキーのお父さんは「洪家拳」を習っていたので最初に習ったのは、そう「黄飛鴻ゆかりの洪家拳」です。('79年頃に台湾の映画雑誌に答えてのもの) ジャッキーブレイク(香港で)のキッカケとなった『蛇拳』の中でジャッキーが見せる自己流拳法"蛇形拳猫爪くずし"なる技は「洪家拳」の中の"猫伏鼠"という型の映画的アレンジであることが分かるし、次作
『酔拳』では黄飛鴻その人を演じていますよね、でもそれは袁和平の企画に沿っただけではなくジャッキーに「洪家拳」が使えたからこその抜擢だったと考える方が『蛇形刀手第二集』であったはずのタイトルまで変えた意味も含めて自然ではないでしょうか? でもやっているのは酔拳じゃねーかと思われるかも知れませんが、酔拳を会得するまでの飛鴻が使っているのはちゃんとした洪家拳です。(2で酔拳を使わない時の飛鴻も洪家拳を使っています)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーージャッキーが初監督として選んだ題材こそズバリ洪家拳の映画で、笑拳という技名は実際にはなくても見せているのは洪家拳の中の「鐵線拳」の型を映画的にアレンジしなおしたものです。ポスターで有名なあのポーズこそ「鐵線拳」の代表的構え「雄鶏模翼」です。洪家拳一家で有名な劉家輝も
『少林寺三十六房』のOPの演舞で「鐵線拳」の型を見せています、見比べられてはいかがかと。(劉家輝にも2本の黄飛鴻映画
『陸阿采興黄飛鴻』『武館』があり、どちらも黄飛鴻直系の家に恥じない大傑作です。前者では本物の無影脚の原型と現在武術会で考えられている型が、後者では「鐵線拳」の型を駆使して闘うシーンがあります。この辺の映画については今後のこのページのお楽しみです。)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーージャッキーの「洪家拳」と「黄飛鴻」に対する思いは並大抵のものではなく、ツイ・ハークが『黄飛鴻』のリメイクを作るという話が出たとき、電影工作室まで出向きツイ・ハーク本人に、「いったいどういう作り方をするつもりか?たのむからワイヤーで空など飛ばさないでくれ!」と頼み込んだと本人がインタビューで語っていました。(『シャンハイヌーン』が元々は『酔拳3:黄飛鴻西部へ行く』だったのをツイ・ハークにアイディアをパクられて『ワンチャイ&アメリカ』にされてしまった) 頼みも空しく裏切られたのが後に
『酔拳2』を作る遠因となっているのは、言うまでもありませんね。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーその『酔拳2』を作るまでの14年間功夫映画を封印してきたのは、『ヤングマスター』にジャッキーの功夫の持てるもの全てを投入しているからです。冒頭の獅子舞(正しくは南方獅芸。ジャッキーが使った金色の獅子頭は劉備玄徳を表す)から始まり、扇子、刀、棒、椅子、キセル、ロープ、果ては女のスカートまで使ってみせます。圧巻は黄仁植扮するキムとの20分にも及ぶ激闘でしょう。ここでもジャッキーはありとあらゆる技を駆使して強敵に挑みます、洪家拳はもちろん、蔡李仏家拳、詠春拳、功力拳、白眉拳、地功拳、莫家拳等々(私が気付かないだけでまだあるかも)状況に応じて攻め込みますが、それでも倒せないからこそ最後のアヘンを飲んで感覚を麻痺させての大暴れにキムは破れるのです。ここらへんが似ていると指摘された『酔拳2』のラストとの違いです。あれはお酒が無くて酔拳を封じられた黄飛鴻が、苦肉の作で鉱業用アルコールに手をつけるので、類似はしていても意味合いは随分と違うはずです。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーさて長々と検証してきましたがジャッキーの武術の一端が伝えられればと思います。最後にもう一度、ジャッキー・チェンは武術家ではありません!・・・・・・・でも、ジャッキーの武術も大したものだ、とは思いませんか?