『龍拳蛇手鬥蜘蛛』`78年製作、監督:李作楠、主演:譚道良、王道ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー物々しいタイトルが期待をさせるが、まぁ名前負けということもありますから・・。タイトル通り"龍拳"と"蛇手"が"蜘蛛"と闘う(鬥)という作品。"龍拳"使いを演じているのは譚道良で彼の役柄は秘密捜査官なのですが、以前(6/20)に紹介した
『天地雙腿』でも秘密捜査官だったし、今回共演している王道と`76年に共演した『南拳北腿活閻王』でも秘密捜査官役。この男"秘密捜査官"フェチなのか?ご存じのようにテコンドーファイターである譚道良は、蹴り足を一度も地面に付けること無く相手を蹴り続けられることから"フラッシュ・レッグス・コントロール"と呼ばれ、その怒涛の連続蹴りの威力は己の借金さえ踏み倒すほど・・。(米プロ・マーシャルアーツ界創世期の人気選手で実際に譚道良のこの技で闘っていた選手がいる。その男は"スーパーフット"と呼ばれ、米国内においては現在でもその知名度はNO.1である。この男がベニー・ユキーデに続いてジャッキーの対戦相手に選ばれたマーシャルアーツ界の大物で『プロテクター』に出演していたビル・ウォレスである)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー政府高官を交えての大がかりな密貿易が行われようとしている。それを阻止せんとひとりの捜査官(譚道良)が派遣された。手がかりは密貿易を仲介役である苗族の女(林建明、有名な香港のお色気女優。初期のサモハン映画によく出演していました)と、その恋人であるケチな詐欺師の王道だけ。手始めに微罪で王道を逮捕、罪を減じる代わりに協力を取り付けた。この王道が本作のもう一方の主役である"蛇手"使い。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー王道のデビューは破格である。`74年に"第二のブルース・リー"として売り出すべくゴールデンハーベストにスカウトされた王道は、羅維監督によるアメリカロケ作品で共演はチャック・ノリスという凄い布陣でデビュー。(この作品はチャック・ノリスのブレイク後に『チャック・ノリスin地獄の刑事(黄面老虎)』として日本でも発売されている)しかし多くの"第二のブルース・リー"達と同じくその後はB級路線真っしぐらになるのですが、その卓越した功夫テクニックからか他のモドキ達とは違いしっかりと自分の路線を確立、功夫映画史に多くの傑作・佳作を残した。譚道良や劉忠良など蹴り技の達人との共演が多く、「南拳北腿」の故事に倣った作品では"南拳"側を演じることが多いが、この人の蹴り技もなかなかのものである。代表作は文字通りの『南拳北腿』(呉思遠監督のこの作品は、黄正利と劉忠良をブレイクさせたことでも有名)だが、他にも良質の作品は多数ある。そのほとんどが日本では未公開なのが残念なのだが、倉田保昭共演の『レディ・ニンジャ2夜霧の忍び凧(飛簷走壁)』や『少林の鉄爪 鷹拳(鷹拳)』でその雄姿の片鱗が伺える。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー譚道良に捕まった王道は協力を約束させられるが、隙あらば出し抜こうと伺っており、また譚道良の方も重要な情報は決して教えずあくまで手先として使おうとしている。この辺り製作側は往年のフランス産コメディのラインを狙ったと思しいのだが、ふたりの虚々実々の駆け引きが旨く描けていないため成功していない。ここに密貿易の利権を独り占めしたい林建明の思惑と、その密貿易の相手である政府高官と"蜘蛛一門"(蜘蛛拳使いの首領に張翼、その手下に龍方。)が絡み四つ巴の様相を呈してくるのだが、何度もいうが決して成功はしていない。この映画の製作者たちにはこれだけの内容を捌く技量は無かったようだ。しかし長い功夫映画史の中で、復讐物一辺倒になりがちなジャンルにおいてこういうストーリー展開の可能性を示した点は評価されてもいい。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー物語は右余曲折の末に大同団結した譚道良と王道が蜘蛛一門の野望をくじくのだが、蜘蛛拳を操る張翼との闘いはさすがに素晴らしい。両手の袖からロープを飛ばし木の枝や梁に引っかけぶら下がったり、ロープを相手の体に巻き付けて手繰り寄せたりして闘う張翼。(念のため断っておきますがこんな拳法は実在しません)龍拳と蛇拳のコンビネーションを駆使してこれに対抗するふたりの前に張翼の野望もついえた。譚道良ひとに正義を語る前に借りた金は返せよ。