『三少爺的剣』`77年製作、監督:楚原、主演:爾冬陞ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー古龍原作による武侠片でショウブラザース製作、監督が楚原とくれば出来の方は保証されたようなものであるが、なにせ私の持っているビデオはドイツ語版でございまして・・・、お話の細部についてはお手上げなのです。それでも取り上げるだけの価値がある作品だと思います。主演の爾冬陞は姜大衛の実弟で"第二次新派武侠片ブーム"を支えた立て役者のひとり。現在は監督業が主だが本作のように素晴らしいアクションをいつかまた見たいものです、`57年生まれの44才ですからまだまだやれそうですが。徐克はあるインタビューで、この作品を一番のお気に入りだといっており現在リメイクを計画中。当初は爾冬陞の監督・主演を希望していたのだが、爾冬陞は主演を辞退して監督のみの模様。(まぁ徐克のことですからこの話もいつになることやら。)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーストーリーはというと、それでなくとも複雑怪奇な古龍武侠片をドイツ語で理解せよというのが土台無理な話で、ここからはあくまで推測です。(だいたいはあっているとは思うのですが。)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーある人物を探すため著名な殺し屋や剣客達が集められた。高貴な婦人とその剣客達を繋ぐのは徐小強である。中でも一番の使い手は凌雲で、他の剣客達を一瞬で退けた腕前は他からも一目置かれている。いったい誰を探しているのか・・・・?妓楼の下僕で聾唖の樊梅生は妓楼の裏手で奇妙な人物に遭遇した。その若い男(爾冬陞)は優雅な物腰だが、幾日も食べていないのか腹をすせていた。心根の優しい樊梅生は食べ物を恵んでやり、住む所と仕事を世話した。しかしこの爾冬陞、働いた経験が無いのか何も出来ないのだ。芸妓達の嘲笑を浴びていた爾冬陞だったが、あるとき芸妓の一人が酔客(元華)にからまれて難儀をしているのを救ったことから立場は一転した。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー助けて貰った芸妓の家族(谷峯と欧陽莎菲)に親切にされ心安らかな日々が続くが、店に出てこない芸妓を指名した客(楊志卿)が手下(王龍威)を連れて家まで押し掛けてきたことから乱闘になり、その最中欧陽莎菲が死んでしまう。その時爾冬陞のがもの凄い技を繰り出し蹴散らした。だがその姿を徐小強に見られてしまっていたのには気がつかなかった。それからというもの正体不明の敵たちがあの手この手で襲いかかってくる。(爾冬陞には襲われる理由の見当はついているのだろう。だから身を隠していたのだ。)この敵の手段の悪辣さは類を見ないものだ、下女を脅して毒を盛りその隙に乗じて攻撃、失敗しても解毒を頼んだ医者(岳華)もすでに殺し屋に変わっているという用意周到さである。もはや安住の地の無くなった爾冬陞これ以上の難儀を避けるため旅に出るが、いたる所に配置された殺し屋の手からは逃れられない。義侠心のある旅の殺し屋(羅烈)や流れ者の剣客(狄龍)など助けてくれるものもいるのだが・・・。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーここまで書いていて既に気づいておられる方もいると思うのだが、これはオールスター映画なのだ。それもかつて楚原監督の武侠片に出演したことのある人達が、かつての役柄を髣髴とさせる役や格好をして出てくるのだ。(例えば羅烈は
『流星・胡蝶・剣』の時と同じ様な殺し屋だし、杖を持った狄龍など
『天涯・名月・刀』の傅紅雪にしか見えない。)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(注:ここは完全に推測の域です。)徐小強を操る高貴な婦人には頭の狂った息子がおり、この息子に皇位を継がせるため皇位継承権を持つ者を殺していたのだ。爾冬陞は争いを避けるため身を隠していたのか、皇位には興味が無いのかは分からないのだが、とにかく婦人とは闘う気が無いのだけは確かのようだ。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーしかし自分が世話になった人達を全て殺され、あくまで決着を迫る婦人とついに対決する決意を固めた。立ちはだかるのは凄腕の剣客・凌雲だ、だが決着を焦る婦人は自ら手勢を率いて出馬してきた。婦人の秘密兵器は、気は狂ってしまっているが凄腕の息子・姜大衛だ。檻に閉じ込められたまま運ばれて来た姜大衛はその中で焦点の定まらない笑みを浮かべている。しかしひとたび放たれるや人間技とは思えない動きで爾冬陞を追い詰める。(功夫・武侠片史上でも珍しい異様なシチュエーションで展開される、それも実の兄弟による兄弟対決!)ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー己の剣客としてのプライドに横槍を入れられた凌雲も爾冬陞に加勢して闘うが、姜大衛の猛攻にはふたりがかりでもかなわない。しかしここからは実に以外な結末をみるのだ。ふたりを追い詰めた姜大衛に止めを刺すよう婦人が駆け寄るや、何と婦人を刺してしまうのだ!もはや完全にいかれてしまい動くもの全てに刃を向ける姜大衛。ゆがんだ親子の欲望と愛情はそれにふさわしい決着を見た。ふたり残った凌雲と爾冬陞は先ほどの決着をつけるべく対峠していた。もはやふたりの間にはどちらかの死しか残されてはいなかった・・・・。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー普段はギリギリまでアクション描写を抑えストーリーを語る方に専念する楚原ですが、本作ではオールスターキャストによるアクション満載の娯楽作品に仕上げています。(これで言葉が分かればいうことのない傑作でしょうね。)