『金三角龍虎鬥』'74年製作('75年説あり)、監督:羅棋(呂奇)、主演:倉田保昭、張力ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーショージ・カラダサンである。のっけから一部の人以外には意味不明のことを書いてしまって申し訳ないが、ショージ・カラダとは倉田保昭のフィリピンでの芸名なのだ。本人がそう名乗ったのではなく単にナマって表記されただけらしいのだが、カラダサン、いや倉田さんはフィリピンではスーパースターであったのだ。時は
倉田保昭の渡港にまでさかのぼる。 ショウブラとの年間契約は結ばなかったが、その才能に惚れ込んだ張徹より系列の独立プロ作品への出演を求められた。そこで出演したのが孟飛主演の『小拳王』『方世玉/武道大連合 復讐のドラゴン』で、これらの作品は東南アジア各地で爆発的にヒットした。特にフィリピンでは連日長蛇の列が出来るほどで、孟飛と倉田は一躍スーパースターとなったのだ。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーこの『金三角龍虎鬥』は倉田保昭をフィリピンに迎えて製作した珍しい比産功夫だ。ところでフィリピンなんて功夫映画作ってんの?という素朴な疑問があるだろう。実はフィリピンは一大功夫片製作国で(そこまで豪語するほど見てはいませんが、結構作っているのは本当ですよ)、日本でも公開された香=比合作の『黒龍/激突!ドラゴン稲妻の対決』に主演したトニー・フェラーは、自国フィリピンでは'60年代から山ほど功夫片に出演しています。近年でも大島ゆかりや高飛らがフィリピンで多くのアクションものを製作していたのは良く知られていることでしょう。そんな"一億総中学生化"したような熱いフィリピンが倉田さんを放って置く訳がありません。VIP待遇でフィリピンにやって来た倉田さんを一目見ようと、撮影に大勢の人達がつめかけ中断もしばしば。本人曰く「石原裕次郎のような気分だった・・・」とか。そうして完成したこの映画は、まさに倉田ワンマンショー的な素晴らしい傑作となったのも、当然といえば当然なのだ。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー麻薬の密輸現場を敵対する組織が狙っている。一味のベテランらしい倉田は余裕かまして酒を煽っている。たしなめる高強に「酒は俺の友だ。」と嘘ぶく倉田。そのうち銃撃戦になり密輸組織を指揮しているフィリピンの南州太郎を追い詰める、頬に傷を負わせたものの仲間を盾にとられ、発砲した倉田の銃弾は仲間の体を貫いた。呆然とする倉田を尻目に逃げる南州太郎。死んだ仲間のことで上から怒られている倉田・・・ここは警察署って、えーーーーっ!ギャングじゃなかったのかぁ!だいたい張り込みから酒飲んでたぞ、倉田は。フィリピンじゃそれもアリなのか?「お前なんかクビだー!」そ、それで済むとは思えないんですが・・・。荒れる倉田、フィリピン・パブ(フィリピンやっちゅーに!)で安いねーちゃんのストリップを見ても心は晴れない。そんな倉田に南州太郎のボスで"黄金の三角地帯"(通称ゴールデン・トライアングル、タイ・ビルマ・ラオスにまたがる国境地帯にあるといわれる麻薬の温床)を仕切る韓英傑が声をかけた。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「うちで働かんかね?」これには子分の南州太郎も呆れ顔、「ボス、こいつは元サツで・・・」「いや、わしにはわかーる!悪の道に進みたいんだろう?」説得力ゼロの自信でリクルートする悪の元締め韓英傑。「仲間殺して腑抜けだろ」これにはキレた倉田、素人同然のフィリピン俳優に容赦のない回し蹴りをたたき込む。暴れたところにほどよく酔いがまわって潰れた、殴られ蹴られしているうちにいつのまにか仲間に!インターポールでは"黄金の三角地帯"を潰すために凄腕のエージェントを送り込むことを決定した。その男は
張力。子供の案内で潜入した張力、見張りに見つかるや「あのオレ麻薬買いに来たんスよ」、なあんだお客さんかぁ、突然営業スマイルになり本部まで案内してくれる見張りたち。「いいのあるって聞いたんだけど・・」いきなりやってきて交渉に入る張力をあんまり疑いもしない韓英傑。それでも一応「三日待てば出物が入るよ」と用心深いところを見せた。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー張力の滞在期間中に地元のお祭りがあり、皆で親睦を深めた。いい人たちだ。張力はバンジーと呼ばれるフィリピン女性が気になって仕方ない。翌日彼女を訪ねると、たったひとりで、しかも手作業で麻薬の精製をしていた。「なんでこんなことやってんの?」「しょうがないのよ、お父さんの仕事だったんだけど、跡継ぎいなくて・・・・」世襲制かよ!「私本当はこんな仕事イヤなの」「オレもさ」なんていい加減な返事をしていると、バンジーが「私をここから連れて逃げて!」そこへ現れる南州太郎「はーっはっはっは!やっぱりお前たちは裏切り者だったな、そうだと思っていたんだ。」・・・そんなことは無いと思うぞ。仕方なく任務を捨てて逃げる張力、50メートルぐらい行ったところで「もう駄目、あなただけでも逃げて!」と諦めの早いバンジー。追っかけてきた倉田たちと乱闘になるが、倉田はそれとなく張力を逃がしてやった。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー「殺してやる」とバンジーに殴りかかる韓英傑を「まぁまぁ、殺しちゃったら精製作業はどうすんの?」と止めに入る倉田。もっともだ、と振り上げた拳をあっさり下ろす韓英傑。そんなことをやっているうちに誰が仕掛けたのか判らない爆弾で工場は壊滅、韓英傑一味はフィリピン市内に帰ってきた。久しぶりの家庭で家族サービスに熱中する韓英傑、家に張力が忍びこんでいるのにも気がつかない。外国のバイヤーから貰った顧客リストをその辺に置いたまま、奥さんのご機嫌とりに一所懸命。せっかく音もなく忍び込んだ張力はリストを拾ったとたんに見つかって(何故かは不明)大乱闘。倉田はバンジーと何故かラブラブ。「・・・あぁ・・私を・・何処かへ・・お願い・・」と張力に捨てられたのも束の間、連れ出しOKのフィリピン・パブ嬢の様なセリフで倉田を骨抜きに。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーサッカー選手になるのが夢だった倉田は、韓英傑の手下を集めてサッカー大会。ユニフォームは全員『死亡遊戯』のトラックスーツだ!!(倉田だけ色違い) そこへ現れた張力「俺のシュートが止められるか?」もう誰かどうにかして下さい、この映画。一本止めて一本外したところで乱闘になり、逃げる張力を追ってR・クローズ版『死亡遊戯』のようにバイクチェイスだ。ついに韓英傑から張力抹殺指令が出た。"マジラン・トルコ"(看板に日本語で書いてあります)なるソープランドでプレイにいそしむ張力を襲った倉田、受け付けでイイ娘が在籍しているかどうかのチェックは怠らなかった。男の鏡です。翌日の新聞一面に張力の死が報道され、韓英傑はホクホクだがバンジーにはフラれる倉田。「この人殺し!」悪の組織の一員とは思えない罵りの言葉を吐くバンジー。落ち込む倉田だったが、そこへ現れたのは張力、はなっから芝居だったのだ。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー現場に復帰した倉田はテキパキと指令を出し、韓英傑一味を一網打尽にする計画を立てた。取り引き当日、張力や高強らと現場を急襲した倉田だったが、さすがに韓英傑は強く取り逃がした。やみくもに逃げている韓英傑一味が逃げ込んだのはとある洞窟、もとは教会だったらしく聖母マリアの像が置いてある。思わず神に祈る韓英傑。偶然たどり着いたにしか見えない洞窟だったが、実はそこには女だけの穴居人(ケイブ・アマゾネス!)を従えた韓英傑の妻がバンジーを人質にして待ちかまえていた。(ほ、本当ですってば!) 追い付いた倉田たちを待ち受けていたのは洞窟内の恐るべき罠の数々だった。ヘビ地獄、ふりかかる巨大岩石、コウモリの大群、全てを切り抜けた倉田たちと韓英傑一味の死闘が始まる。激闘に気をとられ韓英傑の妻が目を離した隙にロープを切ったバンジーも反撃開始だ。韓英傑の妻の頭掴んで岩にガンガンぶつけるバンジー。鬼・・・・だな。韓英傑もいよいよ最後か?あっ、逃げた。逃げる韓英傑を洞窟の外へと追う倉田。逃げる逃げる、追う追う。逃げ疲れた韓英傑を逮捕して・・・本当だってば!ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー倉田さーん!あっ役名はジョニーだったっけ。バンジー!倉田さーん!駆け寄る恋人たちの姿をスローモーションで映してジ・エンド。フィリピン映画恐るべし!