片腕ドラゴンズ・4thイニングス『獨臂拳王勇戦楚門九子』'76年製作、監督:徐増宏、主演:王羽ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー雄雄しく岸壁に立ち尽くすジミーの姿にタイトルバックが被る。そこへデーンと「香港富都影業公司」、続いて「香港真広影業公司」聯合出品という文字が二段ブチ抜きで出る。さらに「六福影業公司」榮誉發行という文字が・・・。三つも公司の名前が出てくるが、いずれも馴染みの無い会社ばかりで、だいいちコレ台湾映画じゃん!という突っ込みも入れたくなろうというもんだ。(笑)さすがはジミー、初っ端から飛ばしてくれるぜ。当たり役の
"獨臂刀"であったが、ショウブラとの版権問題で揉めたジミーは、当時流行の功夫片へとリメイクすることを思いつく。それが『獨臂拳王/片腕ドラゴン』で、ジミー・ワールドに於いては髷物の武侠片(チャンバラ)は"刀王"、民国初の功夫片は"拳王"という振り分けになるのだ。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー76年、ゴールデンハーベストでジミーは最後の大作
『鰐澤群英會』に出演。これを期に本格的に台湾での活動(都落ちともいう)を開始。劉家良曰く、「台湾に移ってからのジミーに、往年の勢いはなかった・・・」。そんなジミーに懇願され、張徹との契約にひびを入れることになりながらも劉家良が引き受けた武術指導が『獨臂拳王大戦血滴子/片腕カンフー対空とぶギロチン』。この作品はジミーにとっては起死回生の大ヒットとなり、"生涯一片腕"を心に誓うジミー。この同じ年、一本のノンスター映画が大ヒットし、それによって"第二次新派武侠片"ブームが起きる。
(01/7/1〜30日記参照) その映画
『流星・胡蝶・劍』は、武侠小説家・古龍のベストセラーの映画化で、"第二次新派武侠片"ブームとは古龍ブームと同義語であったのだ。台湾のジミーも古龍映画に引っ張り出された。羅維プロが売り出しに掛かっている成龍という俳優と共演することを頼まれ、その彼が武術指導兼任で手にするはずの四倍のギャラで出演を快諾。それが『風・雨・雙流星/キラードラゴン流星拳』であった。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーこの時期ジミーの古巣ショウブラでは『流星・胡蝶・劍』をヒットさせた楚原の手により、狄龍、爾冬陞、岳華らの主演で古龍映画の量産体制が始まっていた。原作者・古龍のお膝元である台湾での人気ももの凄く、孟飛、衛小雲、凌雲らの古龍映画がスクリーンで競い合った。ジミーはこのブームをどうみていたのか?そのジミーからの回答がこの映画なのだ。OPが終わって顔を出すのは宗華。彼の役名は"孟星魂"!これは『流星・胡蝶・劍』で宗華が演じた役だ。古龍映画の主人公らしく、ひとりニヒルなセリフを吐いている宗華"孟星魂"をあっさりとブチ殺すジミー。"孟星魂"殺される!の報は江湖に轟き、"孟星魂"の庇護者・孫玉伯(『流星・胡蝶・劍』で谷峯が演じた役)は片腕の刺客の存在に怯える。どうやらジミーは"楚九指"と呼ばれる謎の暗殺組織のボスを探しているらしい。"楚九指"の子分たちを"楚門九子"といい、ジミーは彼らとひとりづつ対決していくのである。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーージミーは汚名を着せられて殺された父の仇を探していることが追々と解ってくるのだが、その仇が"楚九指"であり、この物語構成が古龍の小説のパターンの踏襲なのだ。ジミーが闘う"楚門九子"の面子が傑作で、陸暁風は
「陸小風傳奇」から、傳白雪は
「辺城浪子」や
『天涯・名月・刀』(原作未訳)の傳紅雪。英雄涙涙は「英雄無涙」(原作未訳)、陽姫と花和尚は共に「楚留香・天一神水」(原作未訳)の水母陰姫と無花和尚から。美女をはべらせて登場するのは楚香留、いうまでもなく
『楚留香』だ。六少爺はちょっと解り難いが、これは
『三少爺的劍』(原作未訳)、木子飛刀は小李飛刀こと李尋歓で、彼が登場するのは
『多情劍客無情劍』である。最後に登場するのは蕭十一郎(同名原作は日本未訳)で、彼と孟星魂、孫玉伯のみ名前を変えられていない。何でだ?ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーご覧の通り、オール古龍キャラ総進撃!状態だ。これを演じているのが、大物のゲストだったりすると凄い映画なんだけど、孟星魂の宗華、六少爺の陳鴻烈、蕭十一郎の羅烈以外には大した役者は出ていない。・・・惜しいな。で、この古龍キャラをたいして意味もなくブチ殺して回る狂乱のジミー。台湾へ落ち延びたばかりのジミーにとって、後輩ショウブラ・スターたちが古龍武侠片で華々しくやっているのが眩しかったに違いない。そうとしか思えない!(笑) この映画、古龍武侠片のパロディであるから髷物のチャンバラなのですが、映画のタイトルは『獨臂"拳王"勇戦楚門九子』 。各人、特殊武器を使う古龍キャラに、あくまで素手で立ち向かうのですよ、ジミーという男は!しかも片腕。嫌味もここまでくれば芸の域だと思います。勿論、最後にはボスの"楚九指"を追い詰めるのですが、その正体と、あっ!と驚く(噴出す?・笑)驚愕のオチについては、ここでは書かないことにしておきます。次回は、ジミー以外の片腕ドラゴン登場!
『獨臂空手刀』です。