甦れ!ドラゴン世代(4)『雙天至尊/ドラゴンの逆襲』'72年製作、監督:巫敏雄、主演:張翼、雷成功ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー今から60年ほどの前の中国・・そんなナレーションで幕を開けるのだが、製作年度から遡ると1912年ということになる。辛亥革命が1911年だから、その翌年を舞台とした映画という訳だが、大仰なナレーションの割りに全く物語り上関係ないというのはどういうことだ!(笑) それはさておき、この時期の興行スケジュールを見てみると、『獨臂拳王/片腕ドラゴン』の公開(74/2/8)から、『精武門/ドラゴン怒りの鉄拳』の公開された74/7/20までの前後、およそ10日に一本くらいの割で何らかの功夫映画が新作として公開されていたのだ。『雙天至尊/ドラゴンの逆襲』の公開は74/5/25で、これは『追命槍/戦国水滸伝 嵐を呼ぶ必殺剣』や『生龍活虎小英雄/必殺ドラゴン鉄の爪』なんかと同日公開だった。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー私とてこれらの映画を封切りばっかりで見ている訳ではない。むしろほとんどが名画座(封切りから3〜6ヶ月遅れで再上映してくれるありがたい映画館です)で、概ね他の功夫映画と抱き合わせで三本立てであったりしたものである。当時の封切館の料金は大人一枚700〜800円くらい。これが名画座になると大人500〜600円くらいで、子供料金なら250〜300円くらいのものだったのだ。これは安いですね。当時でも安いと思いましたもん。ちょっと駄菓子屋をがまんするか、がんばってお手伝いでもしてお駄賃でも貰えば、映画が三本立てで見れるのですよ、いい時代だったよなぁ・・・。当時は映画雑誌でも毎月の公開に合わせて、日野康一先生が盛んにこれから公開される功夫映画の新作を煽りまくっていましたから、封切りで見れない功夫少年は、名画座に落ちてくるのを今か今かと待ち構えていたんですね。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー『雙天至尊/ドラゴンの逆襲』は、初見の時は『合気道/アンジェラ・マオの女活殺拳』や『天下第一拳/キングボクサー大逆転』などの、鳴り物入りだった作品よりも面白かったという印象がありました。後年に見直してみると全然なんですけどね。(笑) ストーリーらしいストーリーもほとんど無いに等しい映画で、キャストの顔触れも酷いもんです。芳賀書店から出版された「香港電影百科」P.190に載っているこの映画の解説には、"特にどうということのない典型的功夫映画の一本"なんて書かれていますが、当時この映画をそれなりに面白いと思った理由は正にその点にあるんじゃないでしょうか?功夫映画に狂っているバカな子供にでも理解出来る単純なストーリーとアクション、ショウブラやハーベストが気合を入れて製作した作品よりも、こちらを支持した当時の自分の気持ちも、今にして理解出来るというものです。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーで、大仰なナレーションの後、張翼と雷成功の子役が義兄弟の契りを交わします。孤児のふたりは助け合って生きていますが、腹を空かせて露店の食べ物を盗み、雷成功を庇って張翼だけが捕まったところでOP。成長したふたりは生き別れのまま全く別々の環境で育てられる。張翼は逮捕した警察官の養子となり、そのまま捜査官に。賭場を経営する苗天に拾われた雷成功は、賭場の若旦那兼用心棒に。街を牛耳る龍飛の組織を捜査する過程で、龍飛と兄弟分の苗天にも捜査の手が。初めはお互い判らずに敵対していた張翼と雷成功、義兄弟の証であるサイコロの刺青を発見してからは、雷成功は養父・苗天との間で板ばさみになる。自分の身が危なくなった苗天は、龍飛の口車に乗り、張翼の養父を殺しその罪を雷成功に擦り付ける。これでふたりは共倒れ、そう思った矢先、利益を独り占めしたい龍飛によって苗天も殺される。ふたりにとって共通の仇である龍飛を追い詰め、最後の激闘が開始された。ストーリーこんだけです。紹介できるキャストも、龍飛の子分として登場する山茅が最大の大物というのだから、本当っ酷いもんです。アクション的にもあんまり見るとこないんですが、冒頭の賭場襲撃場面と、ラストの15分はあろうかという大激闘での張翼のがんばりは、ちょっと評価してあげても良いかな。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー次回は、倉田VS上官姐さん
『女ドラゴン!血闘の館』です。