周星馳(4)『龍的傳人/レジェンド・オブ・ドラゴン』'91年製作、監督:李修賢、李力持、主演:周星馳ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーこの映画こそ日本における周星馳上陸第一弾である。91年の5月3日に「第三回・香港電影博」で上映されたものだが、前年の『賭聖/ゴッドギャンブラー外伝(映画博タイトル:オール・フォー・ザ・ウィナー)』ブレイクの熱をそのまま持ち込んだことになるが、この『龍的傳人』は、地元香港でも3月7日に公開されたばかりのホヤホヤの新作なのであった。今の目で見直すと『功夫/カンフーハッスル』との共通項(元華との絡み、元秀と良く似たキャラの毛舜[竹/均]など)も多く、この映画を叩き台に、ショウブラタッチを盛り込み、功夫片へと変貌させたものが『功夫/カンフーハッスル』であったのではないかと伺わせる。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーランタオ島・大澳、李小龍の弟子・元華(役名は周飛鴻、わかりますよね?)の武館が旧正月の祝いに獅子舞を舞っている。(この場面で趙志凌登場) 取材に訪れた外国のプレスは、物珍しい異国の文化に関心することしきり。彼らの依頼で功夫を披露することになった元華は、息子の周星馳(役名は周小龍、わかるっしょ!)と、弟弟子の娘・毛舜[竹/均](表記し難いので以下テレサ・モウ)を呼びにやった。 スチャラカな息子の周星馳はTV写りばかり気にして功夫の演武に身が入らない。怪力の持ち主で突貫ねーちゃんのテレサ(実は幼馴染の周星馳にラブラブ)に怒られた。 CNNの取材クルーからも「もっとハードに!」と注文をつけられるが、ハードをブッダと聞き違えた周星馳は、"如来神掌・九式"を披露する。(ここでテレサとふたりで曹達華版『如来神掌』第四集のクライマックスを完コピ再現。いつまでも止めない周星馳が最高に笑える) 結局、テレサの怪力が発動し祭壇ごとふっ飛ばして祭りはグチャグチャに。倒れてきた祭壇をバスター・キートンのように立ち尽くしてすり抜ける(ようするに『A計劃續集/プロジェクトA2』のジャッキーのように)元華。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー怒り心頭の元華は、黄飛鴻ばりの鐵傘功で息子を叱るが、ビリヤードのような技でそれを防ぐ周星馳。そこへ何年も音沙汰の無かった弟弟子の梁家仁が久しぶりに帰ってきた。元華と久闊を暖めている間、表で練習をしている周星馳とテレサ。突如、ブルース・リーっぽい動きで笑わせるが、結局はテレサの怪力で星になった。 師弟揃っての食事、都会で洗練されて帰ってきた梁家仁に驚く田舎者のバカ親子。とても90年代の文明人には見えない点がポイント。こぼれた食事も嘗め尽くして食べる姿は無厘頭の真骨頂だ。 風光明媚なランタオ島に土地を有する元華だが、ここにも開発の嵐が押し寄せようとしていた。(91年の映画です、念のため) 開発業者に睨みを利かせている元華だが、都会かぶれの梁家仁は内心その話がしたくてしょうがない。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー田舎の駄菓子屋(兼村唯一の娯楽センター)でビリヤードの腕前を披露する周星馳。ガキ相手に駄菓子を巻き上げ店主と記念写真。その腕前を見た梁家仁、賭け試合で試そうとするがビリヤード台ごとひっくり返すテレサに止められてしまう。「賭けは駄目って師父に言われているでしょ!」周星馳が気になって仕方が無いテレサだが、とても女の子には見えない・・・というか女の子のような暮らしをしたことが無いため、感情を素直に表す事が出来ない。ふたりのやり取りはやがて功夫へと発展、詠春拳の動きを盲目の李海生が音で判断して関心しているほど。偶然手を握ってきた周星馳に、突然顔を赤らめるテレサ。不審がる周星馳に李海生は「惚れてるんじゃよ」死に物狂いで驚く周星馳であった。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー実は借金を抱えているらしい梁家仁、周星馳を香港に連れて行き一儲けしたいのだが、親父の元華は断固として反対。「都会なんてトラブルのもとだ」それでも若者らしく都会へ行きたがる息子は、中山装でおめかし。ここで怒った元華が斬り込んでくるが、ふたりの服装はまるで民初功夫片。ショウブラから独立した呉思遠が、初期の作品をランタオ島ロケで作っていたことから、この場面はその時代の作品を再現する動きに。元華の分銅ヌンチャク(珍しい!)を棒術で防ぐ周星馳、その動きに息子の成長を感じ、可愛い子に旅をさせようと決意するのだった。「息子よ、都会は危険だぞ・・・気を抜くな。奴らは鎖や棒や、包丁でだって襲ってくるぞ」「父ちゃん、でもTVとかだとみんな鉄砲持ってるけど・・・」驚く親父、この場面の元華は完全に武侠片タッチのセリフ回し。時代錯誤な親父に比べ、息子の方は実はマックが食べたいだけだったりするのだ。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー田舎者の周星馳は都会で奇矯な行動を取り続けて梁家仁の手を焼く。実は借金を払って回っているだけの梁家仁だが、そんなこともつゆ知らない。家に帰るとヤクザが取り立てに、寝てしまって起きない周星馳を置き去りにして逃げる梁家仁。ヤクザのボス成奎安は寝ている周星馳を起こそうとド突きまわすが・・・。目覚めた周星馳は功夫で対抗するが、銃を突きつけられてしまう。困った時に開けろと、父から送られたお守りの中には"打!"の文字が!傘を取り出し、将軍令のBGMをバックに黄飛鴻タッチの立回り。(でも決めはブルース・リー) 最後は手榴弾を投げられ、80年代風動作片的スタントでビルからジャンプ。金を取り立てに行ったビリヤード場で見事な腕前を披露し金を稼いだ。賭け試合だと知らない周星馳を騙し、金を稼ぎまくる梁家仁。周星馳は相変わらず駄菓子の景品に喜んでいる。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー勝ち続ける周星馳だったが、物質社会の都会暮らしにも飽き、ホームシックにかかってしまう。梁家仁が賭け試合を組んでいたカラクリを知ってしまったのを契機に、ひとりランタオ島へと帰る周星馳。成奎安に借金を返した梁家仁、羽振りの良いところを開発業者に見つかってしまった。成奎安とつるむ業者のボス・龍方は、先祖伝来の土地を巻き上げる算段を巡らしていた・・・。島に帰った周星馳は、"ローマの休日"ならぬ"ランタオの休日"をテレサと楽しんだ。ただし男女の役割が代わっているのだが。成奎安に脅され、周星馳を連れ戻しにくる梁家仁。洋鬼をやっつけるんだ!と外人嫌いの元華を炊きつけ、本物のスヌーカ・チャンピオン・ジミー・ホワイトとの最後の決選へと向かう。周星馳の背中にはブルース・リー正統後継者の証である"龍的傳人"の刺青が!(一度失敗して"龍的全人"になったのを×にして書き直した) だが、先祖の土地の権利が賭けられていることを知ってプレッシャーに潰されてしまう。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー権利を取り上げられてしまった元華親子は、島民から追い立てをくらい香港へと逃れる。波止場に見送りにきた周星馳とテレサはついにお互いの愛を確認して口付けを交わす。「駄目よ妊娠してしまうわっ!」「すまない、つい焦ってしまって・・・・責任はきっと取るから」「あっ!でも大丈夫よ、唾は飲み込まなかったから」「そうか!それでは菩薩様に感謝を捧げよう」バカップルのバカな会話に首を振る元華であった。香港で大道芸をして食い扶持を稼ぐ親子。たちまち警察に引っ張られるが、「私はブルース・リーの映画でスタントをしたこともあるんだぞっ!」「凄いな、それは何の映画?」と警官。「外人と闘うやつだ」「あ"龍争虎鬥"!」警官がファンで助かった。 業者が島の土地を更に買い漁っていることを知ったテレサは、その権利を賭けて再度闘うことを主張。ランタオ島を賭けた最後の大勝負がついに始まる。映画の筋立ては『賭聖』をスヌーカに変えただけのものだが、ブレイク直後だけに乗っている周星馳の姿が見られる。(プレイ中に賭聖の超能力ポーズ有り) 功夫ネタが随分と増えているのも発言権を増したからか。最後は周星馳、元華、テレサ、梁家仁が一列に並び、龍方一味にJKDスタイルでキックして、劇終。
(次回へ)