『審死官』 [2005年01月30日(日)]

Name:なるこう
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楽しく読まさせて頂きました。
例えば、全盛期のダウンタウンのネタがアメリカで通用するかと言われればそう簡単にはいかないわけで、
やはりこの作品も香港ローカルな部分を強く刺激した作品だったのですね。
個人的に「ゴッド・ギャンブラー/完結編」がそれよりヒットしたことはもっと納得行かないところありますけれど。これはユンファカムバックの影響がデカかったんでしょうね。

しかしジョニー作品なら「十萬火急」も含めて日本でも出して欲しいですね。

更新 [2005年01月30日(日)]

Name:fake
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 1/30日記更新。本日は、周星馳特集の第八弾。いよ
いよ『審死官』登場。今回、セリフを全部書き出して
自分なりに翻訳してこの映画を見直してみました。ち
ょっと更新に時間がかかったのはそのためです。

周星馳(8)『審死官』 [2005年01月30日(日)]

周星馳(8)『審死官』'92年製作、監督:杜h峰、主演:周星馳ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー『少林足球/少林サッカー』登場までの周星馳最大のヒット作。90年『賭聖/ゴッドギャンブラー外伝』で突如ブレイクした周星馳は、それまでの香港映画界の興行記録を更新。前人未到の4千万香港ドルという記録を打ち立てる。91年には『逃學威龍/ファイト・バック・トゥ・スクール』で記録更新の4千3百万香港ドル、そして『審死官』での4千9百万香港ドルという、途轍もない記録を歴史に刻んだ。(これは94年に5千2百万香港ドルという興收で周潤發の『賭神2/ゴッドギャンブラー完結篇』に破られるまで、もう抜けないのではないか?とまで考えられていた) 単に一本あたりの収入の問題だけではない。90年には『賭侠/ゴッドギャンブラー2』『無敵幸運星』の2本、91年には『整蠱専家』『賭侠2上海灘賭聖/ゴッドギャンブラー3』の2本、92年に至っては『家有[喜喜]事』『鹿鼎記/ロイヤルトランプ』『鹿鼎記2神龍教/ロイヤルトランプ2』『逃學威龍2/ファイト・バック・トゥ・スクール2』の4本が興收ベスト10にランクイン。92年は『審死官』を含めてベスト10中半分を独占するという異常人気であった。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーその『審死官』であるが、今に至るまで劇場公開もビデオ発売もされたことがない。更につけ加えるならば、今をときめく杜h峰(ジョニー・トゥ)作品でもありながら、である。 この『審死官』ほど外国人にとって敷居の高い作品もない。確かに良く出来ているし、実際に面白いのだが、他の作品に比べてこの映画だけが何故それほどまでに大ヒットをしたのかは正直いって解からない。 ヒットの要因だけなら推察できる。当時流行の古装片に初めて挑戦した作品であり、粤劇として良く知られた題材を選んだことが挙げられる。喜劇は本来生活や文化に密接して初めて面白いものであるから、良く出来た喜劇ほど外国人には理解し難いものである。それを香港ローカルに純化したところに『審死官』の面白さがある、という点だけは理解出来るのだ。 だがこれでは作品そのものを理解したことにはならないし、話し言葉としての広東語の面白さを縦横に駆使したこの作品では、たとえ日本語字幕がついたとしてもネイティブ以外には理解不能である。例えば、ずっと時代劇口調で喋っていた周星馳が突然現代語調で喋り始める面白さは、字幕でも吹き替えでも表現は出来ない。この映画の真の面白さは、我々には永遠に不明なのだ。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー粤劇「審死官」はもともと京劇「四進士」を翻案したものである。京劇も粤劇も地方演劇である点は同じであり、中国各地には他にも越劇、崑劇、川劇、呂劇など様々な地方演劇がある。これは中国語が各地方語によって声調に違いがあるからで、声調の変化によって歌の表現方法が異なってくるからなのだ。 京劇はその物語内容によって幾つかのジャンルに別けられるが、裁判ものである「四進士」は「捜孤求孤」や「法揚換子」となどと同じ"公案劇"というジャンルに属する。だが、親子・夫婦の情愛を描いたり、主人公が知恵と才覚で苦難を乗り切ったりという"人情劇"や"知謀劇"の側面も持つ複雑な作品なのである。 粤劇は乾隆年間(1736〜1795)に佛山を中心に興ったといわれている。元は桂林語で演じられていたというし、後の"紅船戯班"の発達を見るにおいて、広西省から珠江を辿って広東省へと流れ着いたのではないか? 19世紀末に広まったといわれている"紅船戯班"は、元彪の『敗家仔/ドラ息子カンフー』や劉家良の『洪熙官』で見ることが出来る、船で移動する劇団のことだ。反清復明の闘士が役者に身をやつして参加していたといわれ、弾圧を受けたりもしたのは映画だけの話ではない。大戦と文革を逃れて香港へと多くの役者が移住。ブルース・リーの父・李海泉もそのひとりだ。香港を経て海外の華僑文化圏へと広まったが、現在、後継者不足は深刻で存亡の危機に瀕している。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー『審死官』は48年にも映画化されている。粤劇の名優・馬師曾と紅泉女(周星馳版の梅艶芳と同じ役、当時は実際に夫婦であった)による主演で、粤劇「審死官」はもともと馬師曾の代表作であった。事実、馬師曾の死後「審死官」を演じるものはいなかったといわれ、十年の歳月を経て馬師曾の劇団にいたこともある梁醒波によって演じられるまで後継者のいない演目なのであった。 それほどの題材に挑戦するのは周星馳にとって実験ともいえる大冒険であったはずで、この映画の成功はこの辺りのことも押さえておかなければ理解できない。 この映画の成功が彼を真の意味での香港No.1スターにしたのは確かだが、あまりにも香港ローカルに特化してしまったため、広東語文化圏以外への進出が閉ざされてしまったのは皮肉である。 ストーリーは、状師の(弁護士みたいなもの、もちろん悪徳弁護士である)周星馳が、夫殺しの嫌疑をかけられている呉家麗を弁護して、その地方の役人たちの不正を暴くというもの。弁護士という口八丁の職業は正に周星馳にピッタリで、立て板に水のごとくまくし立て、相手を言いくるめて行く姿は痛快である。それだけに言葉の問題が大きく立ちはだかるのだが。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー自分より背も高く、武術の達人である妻・梅艶芳(アニタ・ムイ)に頭が上がらないが、その梅艶芳の方も、学が無いため字もロクに書けず、インテリの夫を心から尊敬している。 この"書く"という行為は劇中において度々笑の種になっているのだ。子宝に恵まれず(といってもその数1ダース以上死なせている)、風水によって子供のために絶筆することになった周星馳は、召使の黄一飛が字を書くのを見ていて下手糞で手が動いてしまう。「子供が欲しくないんですか?」と止められた周星馳、掃除用のモップを水に浸し地面に見事な字を書いてみせる。この時の周星馳の顔と動きは關徳興版・黄飛鴻の物真似で、黄飛鴻ものの定番"筆戰"の再現である。 呉家麗の身の上に同情した梅艶芳は、勝手に訴状を書き裁判所へと突貫をかける。字が書けないため、判らないところは"〇×"で済ませているのだ。訴状を読み上げる秘書官と判事のやりとりが笑わせる。あきれた判事は「あんたの身内には字の書ける人はいないのかね?」と問う。「えーっ五百里向こうになら居ますけど・・・夫は状師なんです、駄目ですか?」結局、平手打ち三十回で放免される梅艶芳。裁判所を出てきた梅艶芳に周星馳が一言「濟公みたいだ」。"濟公"は翌年『濟公/マッドモンク』として映画化、その"濟公"を導く観音様役でゲスト出演したのが梅艶芳。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー冒頭、金持ちの犬に噛まれた露天商の男が、犬を殴って逃がしてしまう。言いがかりをつける金持ちのところへ颯爽と登場した周星馳、最初「五百両は払うのは当然だ」として金持ちの肩を持つ。ところが召使の黄一飛がその金持ちに噛み付き、金持ちもまた黄一飛を殴ってしまう。走り去る黄一飛。「あなた私の召使を逃がしてしまいましたね?犬に五百両なら召使には千両は払って貰わないと」「あの犬はアメリカ産でこの辺には一匹しかいないぞ」「私の召使もフランス生まれで、この辺にはひとりしかいませんよ」結局金持ちは周星馳に言い包められてしまう。 続いて裁判の場面。前日に買収されている周星馳は、明らかな殺人事件をも無罪にしてしまう。阿片窟の息子と喧嘩して死なせてしまった両替商の息子を弁護「殴った時に出来た傷でこんなに腫れています」と周星馳。「でも私の息子は死にました」「ひとは誰でも死にます。彼は短命だったのです・・・」「そんな!短命だったなんてどうしてわかる!」「では何故?短命ではなかったといえるんです?」 この論旨のすり替えがこの映画の真骨頂で、それは最後の裁判でも応用される。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー呉家麗の夫を殺したのは義兄夫婦で、義姉には山西省の役人・梁家仁がついている。梅艶芳が法廷で侮辱されたのに発奮した周星馳は弁護に立ち上がるが、梁家仁に買収されている新任の呉孟達判事によって逆に投獄されてしまう。 買収に来た役人の手紙をこっそり書き写した周星馳、それを裁判の場で持ち出す。「私が写したものが判事に渡りました、本物はこれです」「それが証明できるのか?」「筆跡を鑑定して下さい」「しかし公文書の盗み見は重罪だ」「判事あなたにそれが出来ますか?」そこで梅艶芳の懐から銀塊が転がり出る。「これは?」「呉孟達判事の奥さんから貰ったものです、私は不動産をやっていますから家の代金で貰いました」「どこにそんな金が?」と呉孟達。「梁家仁に買収された時の金でしょ」「俺は使っていないぞ!」「私もよ!」語るに落ちるふたり。周星馳は畳み掛ける「私の言っていることは仮説かもしれません、法廷侮辱罪で罰を受ける覚悟はあります。しかしこの手紙を読みさえすれば全てが明らかになるのですよ。さあ!さあ!」全員が尻込みして手紙を受け取らない。周星馳の言うとおり読んで本物なら梁家仁らは罰せられるし、公文書を盗み見の罪も逃れられない。かといって読まないと本物かどうかもわからない。立場の悪くなった役人たちは、殺人罪で義兄夫婦を死刑にし、呉家麗の無実を晴らすことで妥協案を提示。自分たちの保身を図る彼らに散々嫌がらせをした周星馳は、当初の目的である呉家麗の無実を証明して、爽やかに法廷を去っていくのだ。(次回へ)
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