旧myroom(香港電影的日常 '01/2/17〜'06/1/29)より移転。

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『浪子一招』 [2005年04月30日(土)]

『浪子一招』'78(77年説有り)年製作、監督:黄楓、主演:朱江、茅瑛ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー主演は珍しく朱江だが、黄楓がゴールデンハーベスト時代に育てた茅瑛(アンジェラ・マオ)、黄家達(カーター・ワン)が、それぞれヒロインとボス敵として出演。(ふたりは『合気道/アンジェラ・マオの女活殺拳』で同時デヴュー) 他にもハーベスト黄楓作品『四大門派』で香港デヴューを飾った卞薩伐・王虎(正字は上/下、以下カサノヴァ・ウォン)、同じく黄楓作品『四大門派』や『密宗聖手』などに出演した陳星も出演。黄楓作品ではないがハーベスト作品『北地虎/北少林』でデヴューした卜千軍も登場し、さながら70年代ハーベスト功夫片同窓会の趣き。みな揃って黄楓の監督引退作品に花を添えた。 脚本家としても抜群のストーリーテリング能力を誇る黄楓だが、今回の脚本は武侠小説家・古龍が担当。裏切りと謀略が錯綜する複雑な物語に、ニヒルな主人公を配するのは古龍お得意の展開だ。 劇中BGMは陳勲奇だが、羅文の歌う主題歌"浪子一招"を作曲したのはブルース・リー映画の音楽で有名な顧嘉W(ジョセフ・クー)。なかなかスタッフも豪華な布陣である。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー皇帝・黄家達と日本の使節・楊威が会談。皇帝の部下・陳星から楊威に対し仏教の秘宝である"ブッダの聖骨"が送られた。秘宝を受け取った楊威は部屋に帰ってそれを髷の中に隠すが、何故か隙間から黄家達皇帝が様子を伺っていた。 帰国の途についた楊威を待ち受ける坊主姿の火星。もともとは少林寺の秘宝であったものを返して欲しいと詰め寄る。楊威を倒して秘宝を奪った火星の前に現れたのはもう一人の坊主・金剛。「お前は誰だ?何処のものだ?」とお互いに誰何しあうが、お互いに少林派だと言い張るコントのような展開を制したのは金剛。「楊威を倒すのは構わんが、少林派は日本刀など使わぬものだ。だいいち、殺生はいかんよ」正体のバレた火星と金剛が闘い、最早これまで!と悟った火星は、秘宝を飲み込み息絶えた。 皇帝の衛兵(陳龍、林克明)が駆けつけた為、一旦は身を隠したが、その隙に火星の死体を盗んで逃亡する謎の剣士・朱江。金剛は朱江の後を追った。 スパイからの報告を伝書鳩で受けた黄家達は、やはり朱江の後を保安隊長のカサノヴァ・ウォンと陳星に追わせた。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー棺桶を担いで旅を続ける朱江。何かと接触を試みる金剛だがはぐらかされるばかり。李盈盈の経営する宿に朱江が泊まったことから事件は動き出す。 楊威との連絡が途切れた仲間の日本人・卜千軍、陳星一行、金剛、それぞれの思惑が交錯しつつ、緊張を孕んだまま一同は李盈盈の宿へ。朱江の旅立ちを待って積荷の検閲を始めた陳星、棺桶の中身は楊威の死体だった。「坊主の死体は何処へ?」知らぬと答えたものの、朱江も内心は驚いた。カサノヴァからの報告で別の人間がやはり棺桶を担いできたことを知らされる。「それだ!」 楊威の死体を弔うべく帰国を急ぐ卜千軍。こちらも棺桶持参だったが、金剛は最初からこっちを追っていた。というのも昨夜のうちに火星と楊威の死体を入れ替えておいたからだ。「もし日本の方、棺桶を間違いましたよ」親切そうな振りで近づくが、金剛の言うことを信じられない卜千軍が開けてみると、棺桶にいたのは茅瑛。「坊主の死体など無いではないか!」怒る卜千軍に促されて覗いてみると、死体のはずの女の子が動き出した!ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーそこへ陳星一行も駆けつけてきた。身分を明かして事情を問いただす陳星。茅瑛は「私とお坊さんは駆け落ちしているのよ、坊主と女の子が並んでは歩けないでしょ」いけしゃあしゃあと嘘をつく茅瑛。 業を煮やしたカサノヴァが茅瑛に襲い掛かりる。アンジェラVSカサノヴァ!珍しい顔合わせは、カサノヴァの暗器から出た毒針にやられた茅瑛が逃げ出していったん終了。八つ当たりの矛先は金剛へ。物陰から様子を伺っていた朱江は負傷の茅瑛を助け姿を消した。 どうやら革命軍を率いているらしい朱江は、何としても秘宝の奪取を目論んでいるが、火星の死体を隠してしまった茅瑛は在り処を吐かない。「どうして必要なの?ちゃんと理由を話してくれたら協力するけど・・・」秘密の多い朱江に幾分か苛立ちながらも協力的姿勢を示す茅瑛だったが、「お前などの言うことは信じられない!」と取り合わない朱江。 ここまででも十分錯綜しているが、この映画が一番描き足りないのは肝心の朱江の動機だろう。セリフなどから革命軍であることは判るものの、何故頑なに茅瑛の協力を拒むのか、そして茅瑛もどうやら別の革命軍らしいのだが、彼女が何故秘宝を隠してしまうのかは説明されない。 謎が謎を呼ぶのだが、謎が多すぎてドツボにはまる古龍脚本の欠点がこの映画の完成度を下げている。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー宿に戻った陳星は村人を集め、火星の死体が見つからない時は皆殺しにすると宣言。革命軍との協議で死体を引き渡すことにした茅瑛だったが、三日の猶予をくれと言い残し朱江は姿を消す。 黄家達も到着し深夜スパイからこれまでの経過報告を受け取る。スパイは金剛だった!卜千軍もその事情を聞いてしまったが・・・。 総攻撃の準備が整い、朱江の帰りを待てなくなった茅瑛は死体を引き渡す。腹を捌いてみたが出てきたのは偽者の秘宝だった。本物は一体何処へ!?金剛を問い詰める黄家達、だが金剛も火星が飲み込んだところしか見ていない。そして驚くことに金剛は本物の少林僧だった!皇帝の少林攻撃を防ぐため協力していただけだったのだ。罠と知って怒る金剛だったが、黄家達の技に仕留められてしまう。 革命軍と段取りをつけて朱江が帰ってきた。茅瑛から死体の秘宝は偽者だったと聞かされ、更には彼女たちも仲間だったと知る。「罠だ!」気づいた時には既に遅し、黄家達の軍勢に囲まれていた。朱江たちを救ったのは日本人の卜千軍、実は彼も日本人ではなく少林僧だった!・・・・って、どうしたもんかなこりゃ。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー負傷した朱江を連れトンネルで脱出する茅瑛。朱江の傷も癒えた頃、隠れ家をカサノヴァに発見され茅瑛と共に対戦。カサノヴァの暗器に対抗して楊威の日本刀を振り回していると、柄の部分から秘宝が転がり出た。万が一を考え、髷に隠す振りをして柄に仕込んでいたのだった。さすがは日本人だ! 秘宝が発見され黄家達、陳星も加わって最終決戦へ。茅瑛VS黄家達の同期生対決は、秘宝を持った茅瑛が河に飛び込んで逃げおおせたところで終了。皇帝(英語版なので定かではないが、雍正帝か乾隆帝なのではないか?)を殺すわけにはいかないので、メインは朱江VS陳星だ。 革命軍は?茅瑛は?皇帝は?全ての疑問には全く答えないまま、陳星を倒した朱江が去っていくところで、劇終。 面白くない訳ではないのだが、非常に中途半端でカタルシスは低い。しかしながらアクション面は、カサノヴァVS茅瑛、金剛、卜千軍VS陳星など面白い顔合わせが実現しレア度は高いのだ。やっぱあくまでマニア向けだな、この映画は。
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