横滑りいたします(すみません) [2005年07月25日(月)]

Name:愛香
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こんにちは。前回のfakeさんのコメントに対するレスポンスをすべきところですが、一週間の映画鑑賞量が多く、また最近フェミニンなスタイルを目指しダイエットまで開始する始末でして誠に不義理で申し訳なく思っております。

さて、千恵蔵先生の「妖刀物語/花の吉原百人斬り」を鑑賞いたしました。これは名違いなく名作ですね。
乗りに乗っていた時代の東映ですからセットの豪華に加えて、内田吐夢の色彩感覚により独特の映像美が堪能できます。
顔の痣のため縁談に恵まれない絹商人の千恵蔵岡場所上がりの花魁水谷良重の救いのない関係が丁寧に描かれています。
もちろん、物語の展開は想像できるわけですけど、千恵蔵、水谷、その他のキャストの演技力と畳み掛けるような展開により、この作品世界に引き込まれていきます。クライマックス、松の花魁に出世し吉原を行進する水谷、彼女のために財産を使い果たし披露目を見つめる千恵蔵の対比は絶妙です。特に水谷の勝ち誇った表情が。そして刀を抜いた千恵蔵が切りかかっていく壮絶なラストに至っては鑑賞後も深すぎる余韻を与えてくれるのです。

「多羅尾判内/七つの顔の男だぜ」
同じ千恵蔵でもうって変わって軽い作り。古き良き昭和活劇といったところでしょうか。もう千恵蔵先生もノリノリなのか適当なのかリラックスして演じてたように見受けられました。
先に則文史&アキラのリメイクを見て、それも則文が自分のバージョンに作り変えたんだろうな・・・と思ってましたけど、このたびオリジナルを拝見し、則文は意外に真面目に多羅尾判内の造形をコピーしていたことが判明いたしました。違うのは昭和50年代であること、スプラッター描写があること、そして小林旭のキャラクターが立ち過ぎている・・・ですね。
ちなみに、昭和30年代の登場人物は言葉遣いが丁寧ですね。
また、林家木久ちゃんの千恵蔵の物真似は全然似てないことも判明いたしました。
そうそう、アキラの「鬼面村の惨劇」は「トラック野郎」の併映で見たのですが、オープニングクレジットの山海塾(みたいな)アングラなパフォーマンスしか印象に残りませんでした・・・

「徳川セックス禁止令」
fakeさんも幼少のころにご覧になられたので記憶が薄れているかもしれませんが、これも傑作でした。
東映ならではの豪華な時代セット、エロとコメディがテンポよく配されている則文の手腕は保障済みですが、白眉のシーンは切腹する腰元と介錯する恋人の成瀬正孝の描写であります。
喜怒哀楽の感情しか持ち得ない人間にとっては残酷、悪趣味の言葉で片付けてしまうのでしょうけど、BGMにオシャレ系ヨーロピアンなムード音楽を配することにより、シュールで複雑な何とも割り切れない気持ちにさせてくれ、こんなところに則文の作家性を垣間見ることができます。以前のスレッドにて羅維なんてのと対比させたことを深く反省いたします。
また、名和宏が誘惑されるシーンで一瞬赤のホリゾントの背景になりますが、このへんは谷垣健二氏あたり功夫片フェチが喜ぶ「赤バックの演武」のルーツに思えます。もっとも、この手法は則文がオリジナルではないのでしょうけど。

功夫片の「赤バック演武」に関連して・・・
「少林三十六房」のオープニングクレジットの演武で「背景の夕日とか山のセットがセコい」なんて意見を聞いたことがありますが(私もそうでした)、それは映画を見ない人の感想だと思えてきました。前回書きました「ポルノ時代劇/忘八武士道」のオープニングクレジットとクライマックスは、セットも最小限でスタジオ丸わかりなのですけど、これは明らかに舞台劇を意図したものであり、同様に「三十六房」もそれを意図したものでないかと考えを改めた次第なのです。もっとも「五郎八卦棍」の冒頭場面を見た際にもそんな印象を受けましたが。

重ねて申し訳ございません、実は「直撃!地獄拳」と「大逆転」を借りてしまったのです。石井輝男の珍妙なカルト作品として名高く各サイトでもレビューされているこのシリーズ、次回は地獄拳の魅力と、その香港映画への影響(いや、パクりなんですけど)でも書こうかなと考えております。

ちなみに西本さんの新東宝時代のフィルモグラフィーで「助監督・石井輝男」って見ただけで嬉しくなっしゃいました。
天知茂と三原葉子(汚れでない時代の)の新東宝作品が見たいと思う今日この頃です。
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