旧myroom(香港電影的日常 '01/2/17〜'06/1/29)より移転。

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更新 [2005年12月30日(金)]

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 12/30日記更新。本日は、05年最後を飾る鄭佩佩主
演のハーベスト作品『虎辯子』。

『虎辯子』 [2005年12月30日(金)]

『虎辯子』'74年製作、監督:丁善璽、主演:鄭佩佩ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーはっきり言っておくが、この映画はあまり面白いものではない。しかし、いくつかの点から紹介しておきたい作品でもあるのだ。ある意味で珍品といえようか。 OPのナレーションで、この映画は中国秘史であり、戦争中に諸外国から美術品を守った影に、一人の少女の知られざる活躍があった・・・と語られる。 隠された美術品を捜して、その地方の地理に詳しい古老を訪ね、政府の役人・易原、武徳山が訪れる。古老の案内でとある洞穴に踏み入った一行は、そこで落盤事故に遭遇。一行の生死は不明のまま、場面は峠の酒場を経営する少女・鄭佩佩の姿に切り替わる。 鄭佩佩は先の古老の娘で、ひとり酒場を切り盛りしているが、彼女の趣味は武術の修練だ。山だしの少女は鞭を振り回してひとりトレーニングに励んでいるが、"鄭佩佩と鞭"といえば『影子神鞭』を嫌でも彷彿とさせるが、この映画の鄭佩佩はそのノスタルジーを拒絶しているばかりか、肝心の場面では鞭はことごとく役に立たない。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー鄭佩佩の酒場に無頼の男たち(蔡弘、谷應、矮子王など)が現れ、少女と見て侮った彼らは傍若の振る舞いを始める。必死の応戦を試みる鄭佩佩だったが、彼らが父のキセルを所持しているのを見て作戦を変更。 酒を振舞い、酔いつぶれた彼らを縛り上げると、そのキセルは何処で手に入れたのか?と詰問。死体から剥ぎ取ったという彼らに案内されて、問題の洞窟を目指すことに。 ここまであらすじだけを追ってみると、ちょっとアリステア・マクリーンを思わせる冒険小説といった趣だ。確かに冒頭の雰囲気はそうだが、酒場の場面からマカロニ・ウエスタン・タッチとなり、鄭佩佩が鞭を使って爽快に暴れまわるといった演出を拒否(では何故に鞭使いという設定にしたのか?)し、あえて狭い屋内での投げ技と立ち関節主体のアクションに切り替わる。 蔡弘たちを酔い潰す場面はミュージカルで、中国古典音楽の旋律に乗せて、クラッシック・バレエを踊り狂う鄭佩佩の姿が延々と繰り返される。この前衛描写で普通の観客は完全に置き去りにされるだろうが、更にこの映画はここからコメディになっていくのだ!ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー縄で繋がれたままの蔡弘たちに案内され、洞窟までの珍道中は続く。何かと鄭佩佩を出し抜こうとする彼らと、先回りして逃亡を防ぐ鄭佩佩との間に奇妙な連帯感も生まれていくが、逃亡が失敗に終わった彼らは、先述のミュージカル場面の歌詞をリフレインして"オチ"をつける。 いい加減映画が何をやりたいのか解からなくなった頃、ようやく洞窟に到着。父の死体を発見した鄭佩佩は悲しみと怒りに狂い、やたらと深刻な絶叫を繰り返して悲しみを表現。この映画の鄭佩佩は演技が一貫しておらず、脚本と演出のせいであったとしても、左翼映画の主人公のような絶叫型演技で、見るものに陰鬱な気分を与えてくれる。 洞窟に到着した彼らは正体不明の敵に襲撃を受け、鄭佩佩と蔡弘らは共同戦線を張り洞窟に逃げ込む。姿なき狙撃者を交わしながら逃げ惑い、そこで数々の秘宝を発見。父の旅はそのための案内であったことを知る。しかし何のために殺されたのか? そこに武徳山と易原が現れ、秘宝は俺たちに渡せと詰め寄る。冒頭の落盤事故から生き延びた彼らは、目撃者である鄭佩佩の父を殺し、秘宝の独り占めを狙ったのだった!ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーま、それは構わないのだが、落盤事故から鄭佩佩の到着まで彼らはここで何をしていたのか?さっさと秘宝を持って逃げればよかろうし、どうやら設定上は見つけられなかったということらしいのだが、それならそれで鄭佩佩たちがあっさり見つけたのは何ともご都合主義である。 一挙に鄭佩佩たちも殺そうとする易原たち、洞窟を逃げ惑う鄭佩佩たちは、ひとりひとり命を落としていく。そこへ正体不明の狙撃者が姿を現した。普通、この展開ならそれは易原たちであったで済む。そこに現れたのは熊兄弟と呼ばれる二人組で、彼らの登場は伏線も何もなく全く唐突で、ストーリー上何の必然性を持たない。 恐るべし怪力を誇る熊兄弟と鄭佩佩&谷應の間で死闘が展開され、やはり投げ技と立ち関節が主体のアクションを見せる。フライング・ヘッド・シザース、モンキー・フリップ、ドロップ・キックといったプロレスの技が多用され、それらをノースタントでこなす鄭佩佩。 しかし熊兄弟に足の関節を外されてしまい、対決は谷應がメインという主役不在の展開に。それ以前にそもそもの悪である易原はもはや置き去りである。 足の関節を外された鄭佩佩は、自らの関節を無理やり戻し、足を引きずりながら再び立ち上がる。泥にまみれ、痛みにうめく徹底したリアリズム演出が、もはやこの映画の描きたいものが何であったかなど超越してしまっている。ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー異様な映画だ。個々の場面は良く撮れており、全体の統一感さえ保てていさえすれば、それなりの映画になったではあろう。職人監督・丁善璽とは思えぬ前衛描写の数々は、脚本のせいではなく意図的(不明だが)なもののようだ。 ハーベストはジミーをショウブラから引き抜いた後、裁判沙汰で苦い思いをしたため、既存のスターの引き抜きには慎重になった。ショウブラを寿退社してアメリカに移住していた鄭佩佩の復帰勧誘は、ハーベストにとって最重要課題であった。最初の説得には失敗するも、この時は第二案であるブルース・リー獲得に成功。ハーベストが躍進するきっかけを掴んだ。それでも鄒文懐は鄭佩佩獲得を諦めきれず、説得を重ねてついに契約に漕ぎ着ける。そして『鐵娃』と本作『虎辯子』の二作が作られるのだが、鄭佩佩はこれを最後にハーベストとの契約を更新しなかった。 この映画の出来が関係していたのかどうかは不明であるが、『虎辯子』は74年の興収では21万HKドルで75位。この年のヒット基準は最低でも50万HKドルくらいだろう。同年公開の1位は『鬼馬雙星/Mr.BOO!ギャンブル大将』の620万HKドルだった。
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