『五雷轟頂』 [2006年02月08日(水)]

『五雷轟頂』 '73年製作、監督:羅熾、主演:茅瑛

 監督の羅熾は神怪武侠片時代から活躍するベテラン(日本ではTV放映された『洪熙官 方世玉 陸阿采/少林ブラザース』が見れる)で、彼がハーベストでメガホンを執るのは珍しい。73年頃のハーベストといえば、既にブルース・リーによる大ブームを起こした後であるが、同社にはまだまだ決定的に不足しているものがあった。

 スターならそれなりに育っていたが、映画を撮る側の人材不足も深刻な問題として圧し掛かっていたのだ。旗揚げから73年までの間に、ハーベストが制作した映画は32本(含む外注)。その内、10本が羅維というヘビーローテーションで、黄楓、徐増宏らが続く。

 同時期、ライバルショウブラの製作本数たるやハーベストの3倍近くである130本であり、監督の人材不足は深刻だった。撮影シーンごとに現場を掛け持ちできるスターと違って、監督が何本も現場を掛け持ちすることは不可能だからだ。

 そこで呼ばれたのが、羅熾や王天林(『追撃』)らのベテラン監督たちで、台湾外注組や、ブルース・リー、ジミー王羽らスター監督たちと共に、初期ハーベストを支えた。

 茅瑛(アンジェラ・マオ)とっては、韓国でのテコンドー特訓を経た後の作品で、アクションのレベルは格段に上達している。茅瑛といえば、これまでハーベストがデヴューであると言われてきたのだが、68年に台湾において『血戰八大盗』という映画に出演しているという資料を入手。未だその真偽は確認されていないが、これが本当だとすると、これまでの茅瑛のバイオグラフィは全く違ったものになってくる。台湾で少女の頃から京劇を学んでいた訳だし、七小福たちのように映画に出演していても決しておかしくはないが・・・・・。

 <ストーリー>
 武林の名門・飛龍寨。かつて龍・貝・洪・陳の四師弟が、義兄弟の契りを結び、宮中からの宝物を記した宝の地図を身体に刺青して、子々孫々に相伝しながら守り通してきたところだ。

 その内、洪家の人間だけが飛龍寨を去り、幾年か過ぎた・・・・。

 その洪家を継ぐ白鷹が飛龍寨を訪れたことからこの物語は幕を開ける。

 現在、飛龍寨を守るのは林蛟、田俊、李昆に、飛鷹劈雷掌の練習に励む茅瑛の四人だ。突然還って来た白鷹に疑問の声を上げる田俊だったが、林蛟の判断で迎え入れることに決まった。

 飛龍寨を襲った賊(古龍、陳觀泰)を退治して信用を得た白鷹、先祖の故事に倣い、改めて義兄弟の契りを交わす。
 飛龍寨に田俊らが治める地元が黒虎党に襲われているとの報が入る。それぞれの領地を守るため飛龍寨を留守にした間に、仲間を引き入れ寨を乗っ取る白鷹。
 ギリギリまで信用するなと田俊に念を押されていた茅瑛は、いち早くその陰謀を読み取るが、逆に捕虜になってしまう。

 白鷹は黒虎党の副首領で、首領の陳菁を引き入れると、田俊裏切りの流言を放つ。飛龍寨を乗っ取られた林蛟らはそれぞれ活動を開始するが、田俊裏切りの報告を聞き、お互い疑心暗鬼に。茅瑛を救出した田俊だったが、仲間からも追われ、やがてジワジワと追い詰められていく・・・・。

 急場しのぎの低予算作だが、アクションの出来は同時代のハーベスト武侠片では及第点以上。武術指導を担当したのは出演もしている陳觀泰。当時ハーベストには韓英傑か、サモ洪金寶くらいしかいなかったことから、出演も兼ねて単独で武術指導家としてクレジット。ハーベストはこの部門でも人材不足であった訳だが、韓英傑ら京劇系列の武術指導とは違う殺陣を構築して、物語の幅の無さをカバーしている。
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