『Kill or Be Killed/Karte Kill/殺るか!殺られるか!!』 [2006年09月24日(日)]

『Kill or Be Killed/Karte Kill/殺るか!殺られるか!!』'77年製作、監督:Ivan Hall、主演:James Ryan

 製作年度は'80年説もあり、実際にデータベースの多くはそちらを採用しているが、この映画は'77年度作品。また、アメリカ映画のように言われているが、製作国は南アフリカ共和国で、南アの“羅維”と呼ばれている職人監督のアイヴァン・ホール、主演のジェームス・ライアンは共に南アの人間であり、ロケ地も、絡みの空手家も全員南ア勢なのだ。

 『Kill or Be Killed』が正式タイトルで、南アでの英語タイトルということになる。『Karte Kill』というのが'80年に全米公開された時のタイトルだが、現在は欧米でも『Kill or Be Killed』で統一されている。一部ビデオには『Karte Kill』で発売されているものもあるが。日本でも'80年代にHRSフナイからビデオ化されたことがあり、『殺るか!殺られるか!!』というのはその時のタイトルです。

 オープニングのタイトルバックは、白人カラテものには珍しい黒バック演武で、いちおうストーリーとも関連がある。男の裸体にタイトルバックの文字が投影され、シルエットの演武などが続くちょっとモーリス・ビンダー・チックなOPで、このことが続編の方向性を決定づけた(続編『Kill and Kill Again』は後述)。

 タイトルバックに登場する空手家の中に、南アが生んだ偉大な武道家、スタン・シュミットとノーマン・ロビンソンがいる。松濤館空手出身のスタン・シュミットは、空手家の中で彼の名前を知らない人はいないほどの有名人。日本にも度々来ていて、多くの大会などで演武を披露しています。柔道八段にして、空手家でもあるノーマン・ロビンソンは、南ア柔道代表として東京オリンピックにも出場した。ふたりとも南アフリカを代表する武道家であり、このことがこの映画を南アフリカ産であることを裏付けることになっている。

 タイトルバックでも示されているが、シュミットとロビンソンの参加により、全南アの武道家が映画に参戦。エド・カネマイヤー、ダグラス&ベバン・バゴット兄弟、イアン・ベル、ピーター・バーガー、マイケル・コタス、ダリル・カトラーなど総勢20人以上が、映画のトーナメント場面やアクション・シーンに登場しているのだ。
 また、全日本空手道連盟南アフリカ支部が映画に全面協力していることも、多くの武道家の参加を促したのだろう。

 映画の内容は『燃えよドラゴン』のようなものだ。特にトーナメント部分はかなり意識している。しかしこの映画は、あくまで『燃えよドラゴン』を叩き台にしているだけで、映画自体はオリジナルなものを作ろうという意欲に溢れている。出来に関して言えば、まあ、意欲はあるが、成果が伴わなかっただけのことなんだが・・・・。
 ナチの残党ノーマン・クーンブスは、アフリカの城塞で格闘技トーナメント開催を目論んでいた。長年の宿敵である日本人空手家“ミヤジサン(レイモンド・ホー・タン)”の道場と、最後の決着をつける時がきた。
 クーンブスは、ナチの亡霊にとり憑かれており、ロンメルが戦ったアフリカの大地で、ナチ敗戦のトラウマに悩まされている狂気の男だ。このややこしい設定がそもそもあまり上手くいっていないことが、映画を一段と寒いものにしているし、主人公であるジェームス・ライアンのキャラクター造形もはっきりしない。

 ライアンはもともとクーンブスのところにいた。決戦に備えてミヤジサン側も、クーンブス側も世界中の空手家をスカウト。OPの演武はそのスカウト風景という設定だった。
 砂漠のど真ん中にある要塞で、来る日も来る日も空手の稽古。いい加減飽き飽きしたライアンは、事あるごとに反抗的だ。何人かの人間がクーンブスの意思を受け入れられずに首になる。その中に、ライアンがかねてから眼をつけていた女性空手家シャーロッテ・ミッチェルがいた。
 彼女が出て行くなら俺も!あっさり見切りをつけるライアン。クーンブスの腹心で、ことあるごとにライアンをライバル視していたエド・カネマイヤーと対決。意外と強くない主人公だ(笑)。

 クーンブスの忠実な部下で“小さい人”のダニエル・ドゥプレシスは、イジメの対象になっているところをライアンに救われ、彼らを助けると心に誓う。砂漠の要塞から脱走したライアンとシャーロッテ。ライアンが呑気に鼻歌歌っている隙に、シャーロッテはカネマイヤーに攫われクーンブスの要塞に捉われる。
 その後も両陣営のスカウト合戦はいっそう力が入り、ライアンはミヤジサン側に寝返ってトーナメント会場へ。
 最後は宿敵ミヤジサンへの対抗意識を、ライアンへの私怨が勝ったクーンブスの手によって、トーナメントも、映画の展開もグダグダに。

 全編のアクション・シーンは、松濤館流をベースにしたカラテ・アクションで、これぞ正に“カラテ映画”の名に相応しいのではないか?

 松濤館流といっても今イチピンとこないかもしれないが、日本の伝統空手では古流に位置する。映画でも見られる猿臂による上下の打ち分け、手刀のまま大きく踏み込んでの捌きなどに、松濤館流の特色を見ることが出来る。

 南アフリカではヒットしたらしく、ライアンを主人公とした続編『Kill and Kill Again』がすぐさま製作された。この映画でのライアンの役名“スティーブ・チェイス”を取って、通常『Kill or Be Killed』と『Kill and Kill Again』の二本は“スティーブ・チェイス”シリーズと呼ばれている。
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