旧myroom(香港電影的日常 '01/2/17〜'06/1/29)より移転。

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『精武門續集/唐山大兄2』 [2006年10月18日(水)]

『精武門續集/唐山大兄2』'77年製作、監督:邵峰、主演:何宗道

 言わずと知れたブルース・リーの『精武門/ドラゴン怒りの鉄拳』の続編だ。“精武門”続編モノといえば、ジャッキーの『新精武門/レッド・ドラゴン』が有名だろう。
 ジャッキー版は、ハーベストと仲違いした監督の羅維が、独立して旗揚げした羅維プロで製作した続編。そもそも、ハーベストでのブルース・リーと羅維との関係が険悪だったことから始まったことだった。『唐山大兄/ドラゴン危機一発』撮影時から、ブルース・リーは羅維の力量を信用していなかった。そしてふたりの間が決定的となったのが『精武門』の時。撮影には参加しなかったが、撮影現場を訪れた多くの業界人が、羅維はほとんどまともに撮影していなかった・・・との証言を残しており、ブルースが激怒したのも止むを得なかったと思われる。

 ふたりは度々ケンカをし、マスコミは面白がってふたりの仲を書きたてた。ハーベストもそれを宣伝に利用したフシがあったらしいが、とにかく大ヒットした『精武門』の手柄を巡って、双方譲らず攻撃し合った。監督・羅維生涯最大のヒットをもたらした『精武門』だったが、ブルース・リーの力ばかりが喧伝されたのは気に食わない。そこで羅維プロの旗揚げに選んだ題材が『新精武門』だったのである。
 結果は、成龍という新しいスターを発掘(育成はできなかったが)したに過ぎず、興行的にも惨敗。ブルース・リーの死後3年を経て、はからずも自らの手で、己の力量を示す結果となった。

 続編としての『新精武門』は、前作と同じ“麗兒”役で苗可秀と、警察署長役で羅維が出演しているのが引きなだけで、ストーリー的には新たな物語だった。だが、この有名作の続編を製作するという企画を観た多くの製作者たちが放っておくはずもなく、そっくりさん俳優たちがこぞって出演するという事態を生んだのである。
 その中でも、この何宗道の『精武門續集/唐山大兄2』は傑作中の傑作で、何宗道出演作の中から選んでもベストに推す人は多い。
 監督の邵峰はキャセイでキャリアをスタートさせたベテラン。日本ではTV放映された『小子命大/ドラゴンカンフー龍虎八拳』の監督でもある。

 冒頭、霍元甲と精武門の成り立ちが説明され、『精武門』のスチールをバックに陳眞の活躍までが語られる。そのまま陳眞葬儀の場面となり、前作で精武門門弟役だった田豐、李昆らが、ブルース・リー(本人!)の遺影を持って現れる。
 棺が埋められようとする時、形見のヌンチャクを捧げようとしたら泣き叫ぶ門弟・岑濳波がこれを取り上げる。その時、“麗兒(苗可秀ではない、顔は見せないよう演出)”が棺にすがるようにして自殺した。

 建て直しを計る大日本虹口道場は、死んだ鈴木に代って、羅烈(日本人役)を呼び寄せた。羅烈の腹心には鹿村や南宮勲が控え、門弟にも高飛、李強、杜偉和、史亭根らを揃え、今回の敵は明らかにオリジナルより強そうなのがミソ。
 通訳の李慧樓(前作の魏平澳と同じような役)を従えた羅烈は、精武門制圧に乗り出した。精武門道場へと乗り込んだ羅烈たち、前作と同じ精武門道場のセットを再現し、いい感じに雰囲気を盛り上げるなど、続編としても芸が細かい。
 田豐は掴まり、逃げ散る門弟(岑濳波や龍方)たち。残党狩りが始まり、彼らを匿った薛漢や余松照はとばっちりを受けた。

 羅烈たちの言い分は、「鈴木の仇を討つつもりだったが、日中の友好のため矛を収めた。それなのに抵抗するとはけしからん!」これ以上騒ぎを大きくしたくなければ屈せよと、調印書に署名させられる田豐。多くの犠牲を出し、仕方なくサインする田豐だったが、同時に中国人の誇りも失ってしまう。
 時は流れ、道場を乗っ取られ、廃屋を住まいに生活する門弟たち。アル中となった田豐に、精武門再建は不可能だった。
 不気味な嵐が訪れ、彼らの前途にも更なる不安が増す頃、ひとりの男が上海に現れた・・・・。

 ここまでが導入部で、開始20分過ぎまで何宗道は登場しない。田豐たち前作キャラのストーリーと、陳眞亡き後を丹念に描くことで、只の便乗作ではない、この作品ならではの気概を示している。

 陳眞の墓にひとり訪れる岑濳波。そこへやってきた謎の男・何宗道に、ここへ訪れてはいけないと諭す。何故か?と訪ねる何宗道に、俺たち精武門の一員と間違われては気の毒だと次げる。「俺は陳眞の弟・陳山だ、兄の死因を探る為、上海にきたんだ」驚愕の岑濳波、じゃあ尚更逃げないとダメだ!その時、高飛、杜偉和ら虹口道場一味が現れ、岑濳波をいたぶり始めた。我慢の限界に達した何宗道が拳を振るい、今まで誰も勝てなかった日本人に、中国人でも勝てるということを見せ付ける。

 謎の男の情報に驚いた羅烈は、上海署の署長・曹健(前作で羅維が演じた役)を呼び出し、探るよう命じる。同時に李慧樓に指令を出し、市中に隠れ住む精武門師弟を炙り出す作戦を決行。
 田豐に知らせが飛んだが、プライドを捨ててしまい腰抜けとなった彼には事態が飲み込めなかった。岑濳波に連れられてやってきた何宗道は、現状を知って彼らの助けは借りれないことを知る。
 曹健も精武門に現れ、事件のあらましに何宗道が関わっていたことを知るが、「そもそも悪いのは日本人だろう、彼らを逮捕するなら出頭する」という何宗道に、かつてひとりで闘った陳眞の面影を見出す。

 何宗道の抵抗活動は続き、精武門狩りの度合いは激しさを増す。何宗道の手出しで兄を殺された葉海清は、「お前が余計なことをしているから・・・」と憎しみを吐露。事態の収拾に乗り出した武術界の長老連中(薛漢、余松照)らも、心情は理解出来るが、事をこれ以上荒立てたくないという事無かれ主義に陥っていた。
 羅烈の催促で捜査を続けている曹健だったが、言いなりになるばかりが中国人ではない!と言い置く。
 中国人武術家への無差別攻撃が開始され、田豐も現実に目覚め立ち直りをみせる。田豐に後を託し、ひとりで決着をつけるという何宗道だったが、長老たちの苦情と、曹健の薦めもあって、上海を去る決意を固める。
 列車で見送る曹健、「忘れるな、俺も中国人だ」と何宗道に語る。黙ってうなずく何宗道を乗せて列車が出発。だが、列車には何宗道を恨む葉海清の注進で、鹿村と南宮勲が刺客として乗り込んでいた。

 走る列車内で、それも他の観客がぎっしりと乗っている状況で繰り広げられるアクションがいい。深手を負った何宗道は列車から落ち、川に転落したのを見届けた鹿村は殺したと報告した。それを聞いた羅烈は、全中国武術界制圧のために抹殺指令を飛ばす。薛漢や余松照らも襲われ、自分たちには手を出さないという密約のあった葉海清は、裏切りの責任をとって薛漢を逃し息絶えた。
 深手の何宗道は岑濳波のもとへ舞い戻り、田豐や曹健に「兄と同じ末路を辿るな」と説得されるも、「俺が始めたことには、俺が決着をつける」と言い残す。

 襲撃の時期を窺い虹口道場を探る。薛漢らが匿われている場所に襲撃をかけると知りこれを救出。包囲網の敷かれた精武門を救い、鹿村&南宮勲を倒したものの、兄のヌンチャクを守った岑濳波だけは救えなかった。
 残すは羅烈のみ!虹口道場へと乗り込んだ何宗道に対し、武術家らしく正々堂々の決着をつけようとする羅烈。『龍虎鬥/吼えろ!ドラゴン 起て!ジャガー』以来の日本人演技に磨きがかかるが、羅烈の顔は中国人からは日本人顔だったのか?
 日本刀を捨て、あえて素手で勝負した羅烈と、一進一退の攻防が続く。一瞬の隙をつき、両手両足の筋を断ち切った何宗道は、あえて止めを刺さず「我々中国人は弱者ではない!」と伝え立ち去った。残された羅烈は切腹して果てるのだった。
 
 精武門は再建され、長老達も協力して中国人のため立ち上がった。だが、日本軍が支配する上海で、日本人を殺してしまった何宗道に隠れる場所などなかった。これ以上の追求が精武門に及ばぬ為、出頭していく何宗道。霍元甲と陳眞が祭られた祭壇には、誇らしげに形見のヌンチャクが掲げられていた・・・・。

 ところで、タイトルが『精武門續集/唐山大兄2』っていうのはヘンでしょ?これにつきましては、もうひとつの“精武門”続編モノ『截拳鷹爪功』にて!
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