旧myroom(香港電影的日常 '01/2/17〜'06/1/29)より移転。

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『截拳鷹爪功』 [2006年10月21日(土)]

『截拳鷹爪功』'79年製作、監督:杜魯波、主演:何宗道

 何宗道もうひとつの“精武門”続編モノ。ストーリー的には『精武門續集/唐山大兄2』と繋がりはなく、あくまでブルース・リーの『精武門/ドラゴン怒りの鉄拳』の続編ということになる。ジャッキーの『新精武門/レッド・ドラゴン』も含む、パラレルな続編ということになるが、この『截拳鷹爪功』がややこしいのは、同じ何宗道による主演ということと、英語タイトルに事情がある。

 前回の『精武門續集/唐山大兄2』もタイトルがヘンだとお気づきだろうが、これは英語題もおかしいのだ。英語題は『Chinese Connection2/Fist of Fury2』なのである。『截拳鷹爪功』の英題は本来、『Jeet Kune the Claws and the Supeme Kung Fu』であったのだが、内容が精武門系列であるため、英題も『Fist of Fury3/Chinese Connection3』と変更され、欧米のビデオタイトルなどはこれで統一されている。英語版を見た人などは、これが『精武門續集/唐山大兄2』の続編だと勘違いしている人もいるくらいだ。

 この混乱はそもそもブルース・リーの映画から来ている。

 我々日本人にとって、『唐山大兄/ドラゴン危機一発』は『The Big Boss』、『精武門/ドラゴン怒りの鉄拳』は『Fist of Fury』である。ところが、『唐山大兄』は『Chinese Connection』という別題も用意されていた。それが欧米へのセールス時に、間違って『精武門』の英題としてセールスされ、逆に『精武門』の英題である『Fist of Fury』が『唐山大兄』の英題とされてしまったのだ。ようするに欧米では『唐山大兄/Chinese Connection/Fist of Fury/The Big Boss』であり、『精武門/Fist of Fury/Chinese Connection』という訳。

 で、『精武門續集/唐山大兄2/Fist of Fury2/Chinese Connection2』というタイトルになったのは、ご丁寧にも勘違いしたままの欧米へ向けてのセールスを考えた、手の込んだタイトルなのである。だから『截拳鷹爪功/Fist of Fury3/Chinese Connection3』もこんなタイトルになっている次第。

 素晴らしかった『精武門續集/唐山大兄2』に比べて、この『截拳鷹爪功』は何ともトホホな出来だ。もっとも、パチもん関係の作品はこの程度の出来なら御の字で、前回が奇跡的なだけだったのだが。

 陳眞の弟・何宗道(今回の役名は“陳善”!)が列車に乗っている。上海で死んだ兄の遺骨と遺影(やっぱりブルース・リー本人の写真)を抱き、生まれ故郷に帰って行くのだ。
 物凄いド田舎に到着。こんな田舎でも日本人は猛威を振るっており、通訳の中国人・魏平澳も虎の威を借りて大威張り。すれ違い様に何宗道の殺気に何かを感じたか、日本人たちをけし掛けるが、何宗道の怒りの鉄拳が火を噴いた。
 雑貨屋を営む盲目の母・王莱と、末弟の韓國才は、何宗道の帰還を喜ぶが、死んだ陳眞のことを気に病む母の為、二度とケンカはしないと誓うのであった。

 何が目的でこんな田舎を制圧しようとしているのかは不明ながら、とりあえず悪事の限りを尽くす日本人武道家No.2の方野(手下にお馴染み山怪、米奇、前回の熱演も帳消しな岑濳波)は、No.1がこの地にくるまでに上海からきた男を捜せと指令を出す。「その男なら多分アレだな・・・」心当たりの有る魏平澳が作戦を練る。
 糞田舎にも関わらず存在する精武体育会。道場主の劉鶴年は久しぶりに帰郷した何宗道と旧交を温める。何宗道が上海に出ている間に入門した唐炎燦が、病弱な劉鶴年に代って師範代を務めているが、娘の蔡瓊輝が紹介すると妙に挑発的な態度をとった。

 「ボスがこっちにくるまでにはカタをつけんと・・・・」心配する方野に、どこでどうやって聞き込んだのかは全く持って不明ながら、「唐炎燦と何宗道は仲が悪いようです、ふたりをけしかけましょう」と提案する魏平澳。
 唐炎燦は蔡瓊輝に惚れていた。彼女が何宗道の顔を見てうれしそうにするのが気に食わなかったのだ。ほとんどストーカーのように蔡瓊輝の行動を監視する唐炎燦。さすがにウザいと感じる蔡瓊輝。
 想いが届かないと、自棄酒飲んで暴れ廻り、大道芸の父娘(ベテラン周小來と米雪)に当り散らす。止めに入った何宗道と闘うが、同門の子弟が何故こうも自分を憎むのか、そもそも蔡瓊輝のことすら眼中に入っていない何宗道には、事態が一向に飲み込めないのだった。

 こうなってくるとこの映画、別に“精武門”である必要は全く無かったと言っても良いのだが・・・・(苦笑)。

 行く当てのない米雪親子を家に泊める何宗道。周小來が病気となり滞在が伸びる。「そんなに強いのにどうしてコンテストに出ないの?」米雪の問いに答える何宗道は、「兄のようにはなりたくない・・・・母にも心配かけたくないし・・・」歯切れの悪い何宗道に遠慮して話を逸らす米雪。今度は何宗道が質問、「何故旅を?」。「父は・・・その・・・捜している人がいて・・・」米雪も歯切れが悪く、「余計なことだった・・・」と話を逸らす何宗道。今後に向けて何かありそうな感じだが、結局、米雪親子が誰を捜しているのかは最後まで判らなかったりする。

 病気が快復したのか、突然出て行くと言い出す周小來。「何で急に?」米雪は不服顔。蔡瓊輝は好きな(?)何宗道のため服を縫い、いそいそと届けに来た。更に嫉妬の炎を燃やす唐炎燦。またまた自棄酒を煽っているところに、本来の計略をやっと思い出した魏平澳が、「女なんてやってしまえばこっちのもんですよ!」とけしかける。ついでに隙をみて興奮剤を酒に混ぜた。
 その夜、抑え切れなくなった唐炎燦は蔡瓊輝の寝室に忍び込んだが、目を覚ました蔡瓊輝に抵抗され、師匠の劉鶴年からは破門を言い渡された。

 主人公の何宗道とは、かなり遠いところで進められているこの計略に、まんまと嵌る唐炎燦。とにかく何宗道が悪い!恨み骨随となり、魏平澳の誘いに乗って方野陣営に加盟。魏平澳の立てた計略は、顔を隠して連続強姦殺人を犯し、最終的には罪を何宗道に着せてしまおうというもの。市民の訴えで警察の取り調べも厳しくなる頃、蔡瓊輝の縫った服を盗み出し、劉鶴年を殺害。現場を見た蔡瓊輝は、服の模様から犯人は何宗道だと訴え出る。末期に劉鶴年は違うと言い残したのだが・・・・。

 重要参考人として拘置所に入れられる何宗道。しらじらしく劉鶴年の葬儀に現れ、悲嘆に暮れる蔡瓊輝に付け込む唐炎燦。「やりましたな〜」祝杯を挙げる方野一味。そして組織のNo.1である谷峰が登場。このショウブラ派の大物が参加していることが、このぐだぐだな映画唯一の光明である。
 何の説明もなく、突然村に帰って来た周小來と米雪父娘は、蔡瓊輝に何宗道の無実を訴える。そこへ現れた唐炎燦との間に闘いとなるが、父の最後の言葉もあり、訳が解からなくなった蔡瓊輝は祭壇に頭を打ちつけて自殺してしまう。唐炎燦もビックリだが、我々観客もビックリだ!

 罪が確定して刑務所へ送られることになった何宗道。悲観する母と弟。通りすがりの日本人と魏平澳に何故か八つ当たりする韓國才。ストーリーは省略することなく書いているから御理解頂けると思うが、韓國才はこれが日本人の計略だったことは知らない!のだ。とにかく、悪いことは全部日本人のせい!結果的に当ってなくは無いが、この時点では八つ当たりでしかなく、しかも返り討ちで母共々殺されてしまう。

 拘置所から何宗道を救い出した米雪と周小來。一緒に逃げましょうと持ちかけるが、母に挨拶してからだと言い張る何宗道と自宅へ。そこで見た物は、無残な母と弟の亡骸だった・・・・。
 「おのれ、日本人め!」当ってはいるのだが、拘置所にいて誰も事情は知らないはずで、間違えていたらどうするのか?という疑問はさておき、正義の拳を振るうべくとりあえず魏平澳を追う。
 方野の賭場には見当たらず、手下を蹴散らして居場所を聞くと、酒楼を目指す。山怪や米奇、岑濳波をブチ殺し、方野も殺して、逃げた魏平澳を更に追う。
 魏平澳は谷峰に事の次第を注進するも、「手前のケツは手前で拭け!」と一撃で倒される。

 さあ、谷峰はとりあえず何宗道であることを知った。が、彼が何故?どうやって?ここに来たのかは知らない。第一、谷峰はこの村へ来たばっかりで、彼がした悪事らしいことといえば、魏平澳を片付けたことだけである。これまでの方野たちの暗躍も、方野たちが勝手にやっていただけのこと。
 一方の何宗道だ。谷峰とはこの時が初対面、あくまで魏平澳が下手人だと、それも勝手に検討付けて追ってきただけで、唐炎燦との確執のことや、師匠の死の真相、その影で方野一味の果たした役割や、蔡瓊輝が死んだことすら知らない。更に困ったことに、この目の前にいる谷峰が誰で、何のためにここにいるのかは、全く不明であるという点だ(笑)。

 だが、奴を殺すにはもう理由はいらん!何故なら、奴は魏平澳を殺した悪い人物で、何よりその偉そうな態度と、悪そうな顔つきが気に喰わん!

 映画史上に残るモチベーション無き闘いが開始された。

 映画を観ている我々には、まったく伝わらない主人公の気持ちはさておき、何宗道VS谷峰の闘いは素晴らしい出来だ。惜しいな。
 谷峰やや苦戦、そこへ唐炎燦が登場。「おお良いところへ」と喜ぶ谷峰に向う唐炎燦。当たり前だが、事情が皆目検討つかない何宗道は、ただただ黙ってふたりの闘いを見守るばかり(正真正銘、マヌケ面で見ているだけ)。サイまで持ち出して健闘した唐炎燦も、谷峰の日本刀に倒れた。死の間際に全てを告白する唐炎燦。それは何宗道のためにも必要だとは思うが、全部説明するには長い経緯だぞ!

 だがこの長い告白で全てを知った。何宗道も、谷峰も。

 「ゆ、許さん!本当に許さん!」

 此処に来て俄かに燃え上がる何宗道。それはいいが我々観客は・・・・これで燃えろったって、ねぇ。

 日本刀を振り回す谷峰との第二ラウンドも素晴らしいアクションだ。やっぱり惜しいな、これ。吹き矢で相手の視力を奪った何宗道は、殺せ!と喚く谷峰に向かい「俺は中国人だ!殺すのは自分の身を守る時だけだ!」と尤もらしいことを言って止めは刺さない。
 今まで、大した理由も無く方野たちを皆殺しにしてきた男のセリフでは説得力に欠けるのだが、何に感銘を受けたものか、谷峰は自らの命を絶つ。

 こんな映画が“精武門”か・・・・・。でもアクションの出来は良いから、結構観れてしまうんだな、これが(笑)。
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