『BALLS OF FURY』 [2007年10月31日(水)]
『BALLS OF FURY』'07年製作、監督:ROBERT BEN GARANT、主演:DAN FOGLER
現在アメリカで公開中のコメディ映画の最新作だ。最近、コメディ映画はとんと日本で公開されることがなくなったので、コメディ好きの人は悲しい思いをしていることと思います。当blogではどんどん紹介していきますのでお楽しみに !
この映画、日本で公開されるとしたら、そのタイトルは間違いなく『燃えよピンポン』になるだろう。その説明は後回しにさせていただくとして・・・、まずはこの映画を作った連中の話から。
この映画の監督であるROBERT BEN GARANTは、旧東ドイツ人役で出演しているTHOMAS LENNONと共に共同で脚本も手がけているのですが、この二人、現在アメリカで人気のコメディ番組「RENO 911」の主要メンバーなのだ。
「RENO 911」は、現在日本では見ることの出来ない番組だと思うのですが、30分もののコメディ番組としてはアメリカで高い評価を得ている番組です。
FOX TVで制作されて、日本でも見たことがある人も多い「COPS」という警察ドキュメンタリーをご存じの人はいるでしょう。日本風にいえば「警視庁24時」みたいな密着ドキュメントですけど、アメリカの警察パトロールに密着して、警察の仕事と共に現在アメリカの市民生活と犯罪を浮き彫りにする秀抜な番組です。
「RENO 911」はその「COPS」のパロディ的番組として'03年よりスタート。アメリカの田舎町RENOの、パトロール警官の日常をドキュメント・タッチでカメラが追い回すのですが、個性豊かなズッコケ警官達は毎回のように、どうでもよさそうな事件に大騒ぎを繰り返す。
放送開始から現在までの主要メンバーは以下の8人。
THOMAS LENNON
ROBERT BEN GARANT
CEDRIC YARBROUGH
NIECY NASH
CARLOS ALAZRAQUI
WENDI McLENDON-COVEEY
KERRI KENNEY
MARY BIRDSONG
'07年現在、シーズン4までが放送されているため、出演しているレギュラー警官達の数はもっと増えて(1〜2シーズンで消えた人も)いるのですが、とりあえずは上の8人が「RENO 911」だと思ってください。
彼らはお互いに脚本や演出も担当しており、出演としてのレギュラーだけではなく、番組の頭脳でもありますから。
で、TVで人気の出た「RENO 911」は、今年映画化されて「RENO 911:MAIAMI」として公開されました。そこそこヒットはしたんですが、これがTVシリーズほど面白くない !
TVのように短いスケッチを連続させていく展開は同じなんですが、さすがに映画は長尺な分メインのストーリーがあります。
マイアミで開かれている、全米警官コンベンションに招かれていると勘違いしたレノ署一行、喜び勇んで駆けつけるも会場には入れない。入口で文句を言っているうちに会場はテロリストに占拠され、バイオテロによる攻撃にエリア封鎖されてしまう。全米の警官が集まっていたことから、出動出来るのは入口でモタモタしていたレノ署の面々のみ。
ここからは、マイアミを舞台にTVシリーズと同じダラ〜っとした警ら活動が開始される。
いくつかのキラー・ギャグはあるものの、全体的に間延びした感は強く、“こいつらもしかして長編は苦手?・・・”と思わせた。
長々と「RENO 911」について書いてきたが、今回紹介する『BALLS OF FURY』も「RENO 911」の雰囲気は濃厚に残しており、「RENO 911」を知らないと感じが掴めないから、少しでも感じを知ってもらおうと思った次第。
さて、『BALLS OF FURY』は邦題『燃えよピンポン』になるだろう(公開されるとして、だが)と書いた。ようするにこの映画、卓球版『燃えよドラゴン』なのだ。
時は'88年のソウル・オリンピック。主人公は天才卓球少年(DAN FOGLER役の子役)としてアメリカの期待を一身に背負っていた。決勝は旧東ドイツ代表のTHOMAS LENNONで、'80年代ジャーマン・メタルっぽい衣装で登場して笑わせる。
試合当日、卓球界制覇をもくろむ悪の秘密組織に父(ロバート・パトリック)が攫われ、調子を崩した少年は無残な姿を全米に晒す。
父も組織に殺され、落ちぶれた彼はピンポン・ジャグリングの芸でホリデーインをドサ回りする日々。
そこへ、FBIエージェントのジョージ・ロペス(自身の名前を冠したヒスパニック向けのショウを持つ大物コメディアン)から協力要請が届く。
「フェンと呼ばれる謎の人物がいる、彼は世界中から卓球王者をスカウトし、秘密のベールに包まれた島で卓球大会を開いている。そこでは大掛かりな犯罪行為も行われているのだが、証拠を掴むため君に卓球王として潜入して欲しいのだ・・・。」
一見、スポ根もの的始まりを見せながら、実は『燃えよドラゴン』だったという奇抜さは買える。だが、惜しいかな、この映画もどことなく間延びしていて全体の纏まりが悪い。映画制作はまだ2作目だが、「RENO 911」のメンバーはやはり長編は苦手なのか ?! 単発で飛び出すキラー・ギャグの破壊力は申し分ないだけに、もう少し見守りたいものだが。
FBIにスカウトはされたものの、DAN FOGLERなはブランクがあり、卓球マスター・ウォン師傅(ジェームス・ホン)に弟子入り。盲目ながら卓球名手の師傅にしごかれ、珍妙な特訓を繰り返すあたりはジャッキー映画のノリ。それもそのはずで、THOMAS LENNONは大のジャッキー・ファンであることを公言しているのだ。
道場の意地悪な兄弟子に、なんと!ジェイソン・スコット・リーが登場。ここで師傅の娘であるマギーQと功夫対決場面をサービス。この映画一番のウリはこの場面ですなぁ。
なんやかんやでフェンの要塞島に乗り込むことになったが、中央アメリカのどこかと示される要塞島は、まるでハンの島。相撲のアトラクションに迎えられた宴会途中に登場したフェンその人を演じるのはクリストファー・ウォーケン ! その部下のケーリー・ヒロユキ・タガワこそ、かつて父を誘拐して殺した秘密組織のメンバーだった。トーナメントには因縁のTHOMAS LENNONも出場し、役者が揃ったところで映画もクライマックスを迎える。
決して傑作と手放しで褒められる映画ではないものの、切り捨ててしまうには惜しい映画でもある。
昔はこういう映画って、地方では2本立ての添え物としてメインの大作にくっ付いて上映されたものです。昔ながらの映画館も激減したが、それ以上に大きいのがシネコンの台頭。シネコンは基本的に入れ替え、一本立て上映ですからね。シネコンのおかげで、地方でも同じ時期に大作が上映されるようになりました。昔は遅れて公開されたりするものでしたから。その反面、どこへ行っても同じ映画しか上映していないのもまた事実で、昔のように映画館で佳作や新しい才能を発見する喜びは、完全に奪われてしまったのです。
便利な世の中にはなりましたが、文化的には豊かさが失われてしまった。こういうB級の佳作を見るにつけ、つくづくそう思います。
現在アメリカで公開中のコメディ映画の最新作だ。最近、コメディ映画はとんと日本で公開されることがなくなったので、コメディ好きの人は悲しい思いをしていることと思います。当blogではどんどん紹介していきますのでお楽しみに !
この映画、日本で公開されるとしたら、そのタイトルは間違いなく『燃えよピンポン』になるだろう。その説明は後回しにさせていただくとして・・・、まずはこの映画を作った連中の話から。
この映画の監督であるROBERT BEN GARANTは、旧東ドイツ人役で出演しているTHOMAS LENNONと共に共同で脚本も手がけているのですが、この二人、現在アメリカで人気のコメディ番組「RENO 911」の主要メンバーなのだ。
「RENO 911」は、現在日本では見ることの出来ない番組だと思うのですが、30分もののコメディ番組としてはアメリカで高い評価を得ている番組です。
FOX TVで制作されて、日本でも見たことがある人も多い「COPS」という警察ドキュメンタリーをご存じの人はいるでしょう。日本風にいえば「警視庁24時」みたいな密着ドキュメントですけど、アメリカの警察パトロールに密着して、警察の仕事と共に現在アメリカの市民生活と犯罪を浮き彫りにする秀抜な番組です。
「RENO 911」はその「COPS」のパロディ的番組として'03年よりスタート。アメリカの田舎町RENOの、パトロール警官の日常をドキュメント・タッチでカメラが追い回すのですが、個性豊かなズッコケ警官達は毎回のように、どうでもよさそうな事件に大騒ぎを繰り返す。
放送開始から現在までの主要メンバーは以下の8人。
THOMAS LENNON
ROBERT BEN GARANT
CEDRIC YARBROUGH
NIECY NASH
CARLOS ALAZRAQUI
WENDI McLENDON-COVEEY
KERRI KENNEY
MARY BIRDSONG
'07年現在、シーズン4までが放送されているため、出演しているレギュラー警官達の数はもっと増えて(1〜2シーズンで消えた人も)いるのですが、とりあえずは上の8人が「RENO 911」だと思ってください。
彼らはお互いに脚本や演出も担当しており、出演としてのレギュラーだけではなく、番組の頭脳でもありますから。
で、TVで人気の出た「RENO 911」は、今年映画化されて「RENO 911:MAIAMI」として公開されました。そこそこヒットはしたんですが、これがTVシリーズほど面白くない !
TVのように短いスケッチを連続させていく展開は同じなんですが、さすがに映画は長尺な分メインのストーリーがあります。
マイアミで開かれている、全米警官コンベンションに招かれていると勘違いしたレノ署一行、喜び勇んで駆けつけるも会場には入れない。入口で文句を言っているうちに会場はテロリストに占拠され、バイオテロによる攻撃にエリア封鎖されてしまう。全米の警官が集まっていたことから、出動出来るのは入口でモタモタしていたレノ署の面々のみ。
ここからは、マイアミを舞台にTVシリーズと同じダラ〜っとした警ら活動が開始される。
いくつかのキラー・ギャグはあるものの、全体的に間延びした感は強く、“こいつらもしかして長編は苦手?・・・”と思わせた。
長々と「RENO 911」について書いてきたが、今回紹介する『BALLS OF FURY』も「RENO 911」の雰囲気は濃厚に残しており、「RENO 911」を知らないと感じが掴めないから、少しでも感じを知ってもらおうと思った次第。
さて、『BALLS OF FURY』は邦題『燃えよピンポン』になるだろう(公開されるとして、だが)と書いた。ようするにこの映画、卓球版『燃えよドラゴン』なのだ。
時は'88年のソウル・オリンピック。主人公は天才卓球少年(DAN FOGLER役の子役)としてアメリカの期待を一身に背負っていた。決勝は旧東ドイツ代表のTHOMAS LENNONで、'80年代ジャーマン・メタルっぽい衣装で登場して笑わせる。
試合当日、卓球界制覇をもくろむ悪の秘密組織に父(ロバート・パトリック)が攫われ、調子を崩した少年は無残な姿を全米に晒す。
父も組織に殺され、落ちぶれた彼はピンポン・ジャグリングの芸でホリデーインをドサ回りする日々。
そこへ、FBIエージェントのジョージ・ロペス(自身の名前を冠したヒスパニック向けのショウを持つ大物コメディアン)から協力要請が届く。
「フェンと呼ばれる謎の人物がいる、彼は世界中から卓球王者をスカウトし、秘密のベールに包まれた島で卓球大会を開いている。そこでは大掛かりな犯罪行為も行われているのだが、証拠を掴むため君に卓球王として潜入して欲しいのだ・・・。」
一見、スポ根もの的始まりを見せながら、実は『燃えよドラゴン』だったという奇抜さは買える。だが、惜しいかな、この映画もどことなく間延びしていて全体の纏まりが悪い。映画制作はまだ2作目だが、「RENO 911」のメンバーはやはり長編は苦手なのか ?! 単発で飛び出すキラー・ギャグの破壊力は申し分ないだけに、もう少し見守りたいものだが。
FBIにスカウトはされたものの、DAN FOGLERなはブランクがあり、卓球マスター・ウォン師傅(ジェームス・ホン)に弟子入り。盲目ながら卓球名手の師傅にしごかれ、珍妙な特訓を繰り返すあたりはジャッキー映画のノリ。それもそのはずで、THOMAS LENNONは大のジャッキー・ファンであることを公言しているのだ。
道場の意地悪な兄弟子に、なんと!ジェイソン・スコット・リーが登場。ここで師傅の娘であるマギーQと功夫対決場面をサービス。この映画一番のウリはこの場面ですなぁ。
なんやかんやでフェンの要塞島に乗り込むことになったが、中央アメリカのどこかと示される要塞島は、まるでハンの島。相撲のアトラクションに迎えられた宴会途中に登場したフェンその人を演じるのはクリストファー・ウォーケン ! その部下のケーリー・ヒロユキ・タガワこそ、かつて父を誘拐して殺した秘密組織のメンバーだった。トーナメントには因縁のTHOMAS LENNONも出場し、役者が揃ったところで映画もクライマックスを迎える。
決して傑作と手放しで褒められる映画ではないものの、切り捨ててしまうには惜しい映画でもある。
昔はこういう映画って、地方では2本立ての添え物としてメインの大作にくっ付いて上映されたものです。昔ながらの映画館も激減したが、それ以上に大きいのがシネコンの台頭。シネコンは基本的に入れ替え、一本立て上映ですからね。シネコンのおかげで、地方でも同じ時期に大作が上映されるようになりました。昔は遅れて公開されたりするものでしたから。その反面、どこへ行っても同じ映画しか上映していないのもまた事実で、昔のように映画館で佳作や新しい才能を発見する喜びは、完全に奪われてしまったのです。
便利な世の中にはなりましたが、文化的には豊かさが失われてしまった。こういうB級の佳作を見るにつけ、つくづくそう思います。








