旧myroom(香港電影的日常 '01/2/17〜'06/1/29)より移転。

 香港映画を中心に語っていますが、基本的には何でもアリです。
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2007年度版ベスト&ワースト [2008年01月09日(水)]

2007年度版ベスト&ワースト

 もったいぶった訳ではないのですが、やっと2007年度版ベスト&ワーストです。何分、手順をきちんと踏まないと自分自身が納得できないもので・・・。口上はコチラ。'07年の総タイトル・リストはコチラ。

 まずはワースト10から。

1位『ハンニバル・ライジング』

 何年か前にもこのシリーズをワーストに挙げたっけなぁ・・・。その時よりもまだ酷い出来です。出来も酷いですが、やってはいけないことをやってしまいましたよ。
 そもそも、具体的には“彼”の過去に何があったのか?!がはっきりしないからこそ、ハンニバル・レクターという男は映画界におけるヒールのアイコンとして君臨出来たのですよ。
 その神秘性を剥ぎ取られてしまっては、シリーズの全てがおじゃんになってしまう。作るべきではなかったですね。

2位『パッチギ2/Love&Peace』

 何が一番あきれたかって、あわよくばヒットしたらシリーズ化をってのがミエミエの作りな点。あれだけ大騒ぎした子供の病気も、きちんと話の上で決着をつけずにチャンチャン!

 舐めとんのか!

3位『300』

 この映画が、アメリカのイラク派兵のメタファーで、それを賛美するプロパガンダとして作られていることを指摘するプロも見当たらなかったな・・・絶賛している人はいたけど。
 まあ、プロパガンダなのは良しとしよう。支持する人は支持すればいいのだから。

 問題なのは、彼らの肌の色だ。ペルシア戦争当時、ペルシアとギリシア(スパルタ)に、ほとんど差はないはずで、どちらかというとまだあんまり混ざっていないペルシア側の方がアーリア系白人種に近かったはず。
 これを捻じ曲げて、白人が蛮族と戦う映画に仕上げているからプロパガンダなんですが、いくらなんでもこれはなぁ・・・・。 

4位『エラゴン』

 中学生のノートの落書きを映画化すんじゃねぇーよ!

5位『マリー・アントワネット』

 外国でひとりぼっちで、つまんなーい!これって『ロスト・イン・トランスレーション』と一緒じゃん。ということは、この映画のアントワネットは、監督のソフィア・コッポラ自身の投影ということ。

 キルステン・ダンストがアメリカ人にしか見えなくても、現代風の作りでも、流行歌をBGMに使っても構わないけど、マリー・アントワネットみたいな歴史的有名人を描く以上、フランス革命が与えた影響と、彼女の最後だけは描かないと。

 それが描けないのは、この映画が基本的にソフィア・コッポラ自身の物語だから。自分の首チョンパは見たくないってか?!だったらやるな!

6位『サイボーグでも大丈夫』

 これってまずくないか?統合失調症の患者の描き方がこれで許されるなんて。韓国内で許されてるのは構わなくても(それはアチラの事情だから)、我が国で上映するのはまずいでしょ。
 普段、TV番組なんかにせっせとクレームをつけて、「ウルトラセブン」12話や、「怪奇大作戦」24話なんかを封印作品にした団体は、こういう映画にはクレームをつけんの?

7位『椿三十郎』

 ほとんどオリジナル通りなのに、どうしてこうも面白くないものが出来上がるかなぁ・・・?リメイク云々の是非については、もう言いたくないです。少なくとも時代劇には仕上げて欲しかった。

8位『鉄板英雄伝説』

 これはレベルが低いでしょ。ビデオ・スルーで日本でも出たけど、こんなの出すくらいならもっと面白い映画はいっぱいあるはずだけどな。

9位『カタコンベ』

 いやもう純粋につまらなかったです。最初からネタが割れてしまって、まさかあの腰砕けオチ(過去『エイプリル・フール』やフィンチャーの『ゲーム』で使われた)をやるんじゃないだろーな?と序盤から心配していたら・・・やっぱり。

10位『デス・プルーフinグラインドハウス』

 不幸にして、こちらでは単品公開版の方が先になってしまい、USA版を後から見ることになってしまったのですが、USA版の編集ならアリの映画だと思います。

 続いてベスト10

1位『ゾディアック』

 脚本、演出、編集、演技etc、何もかも良く出来ている完璧な映画でしょ。全ての映画がこうあって欲しいけどなぁ。

2位『アヒルと鴨のコインロッカー』

 「ディラン?」この2回使われるたった一言が、一周した時点で全く違った意味に聞こえる映画のマジック!

3位『松ケ根乱射事件』
4位『天然コケッコー』

 同じ監督の、それもネガとポジのような映画が並びました。どちらの作品も田舎の閉鎖性がテーマとなっているのですが、方やシニカルなブラック・ユーモア、方や甘酸っぱいラブコメと描き分けていてお見事。皆さんも二作品続けてどーぞ!

5位『リトル・チルドレン』

 満員の映画館で観たんだけれど、誰一人クスリとも笑わなかったなー。コメディですぜ、コレは。昨年以上に不作なアメリカ映画の中で、1位の『ゾディアック』とコレが、かろうじてアメリカの威信を持ちこたえた感じ。その位良く出来ています。

6位『ラストキング・オブ・スコットランド』

 一見“スクォマン”ものかと思いきや、暗黒大陸アフリカ(その象徴たるアミン)の恐怖に飲み込まれて行くバカな白人の坊や。最近ちょいとしたブームだったアフリカものでも、圧倒的迫力で描く恐怖のエンターテイメント。本当に怖いのは、アミンの時代から30年以上がたった今も、一部に君臨する独裁政権を抱える今のアフリカ。21世紀中にも解決するまいな。

7位『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』

 3、4位と同じく田舎の閉鎖性がテーマ。今年の邦画はこういうの多かったが、今の日本を描くなら格好の題材でもあるのは確か。
 しかし、地方の田舎に住んだことない人は、この閉鎖性のリアリズムがピンとこないんでしょうね。ここが映画の肝なんだけど。

8位『サンシャイン2057』

 何年かしたらカルト映画になってそう・・・。こういうのこそ好き嫌いの最たるものでしょうが、細かいSF的描写の羅列に妙な懐かしさを感じました。

9位『ブラッド・ダイヤモンド』

 こっちは完全に“スクォマン”もの。難しいアフリカの情勢を、わかり易い形で再構成して見せるエンタメ系作品だが、意外にグッとくる描写が多く、燃える映画に仕上がっています。

10位『楽日』

 潰れゆく昔ながらの映画館の、最後の上映を描いた作品。セリフもほとんど無く、非常に客観的に淡々と、観客席や映写室を映し続けているだけなんだが、かつてこれほど雄弁な無言があっただろうか!
 劇場至上主義者にとっては、昔懐かしい映画館が閉鎖されていく姿には、体を切られるような痛みがあります。泣けました、マジで!

 <総括>

 1位こそ譲ったけど、全体的にここ数年調子の良い邦画の圧勝だったと思う。

 ただこの場合の邦画という意味は、『日本沈没』とか『どろろ』とか『海猿』とか『蒼き狼』とか『恋空』みたいな映画は含まない。こういう映画も作るノウハウは必要なので、やる意義はあるとは思いますが・・・。

 良質の作品は単館系の映画が多いため、地方によっては全く公開されていない作品も多々あることだと思います。

 単館系で公開されるような作品だから、小じんまりとした映画が多いのですが、今の日本と日本人(便宜上こう呼ぶ)を等身大で描けば、大体が小じんまりとせざるを得ないのが事実。

 日本映画のペイできるキャパは、ハリウッド映画とは比べモノにならないくらい小さく、ここでも身の丈にあった作りをすればどうしても小品になってしまう。ですから、脚本段階で捻った、昔だったら小劇団で演じられていたようなテーマの作品を、ATGのような作りで再現する方向になってしまうんですね。

 しかし、邦画の生きる道はコレしかないんじゃないでしょうか?

 かつて、暗黒時代と呼ばれた'80〜'90年代の邦画界は、この部分が全然駄目で、日本も日本人も全く描けていなかったものであります。それに比べれば、今のクリエイター達はがんばっていると思うな。
 後は時代劇だけはちゃんと作ることだよな。海外に映画を売る時の武器は、チャンバラ以外ないんだから。香港映画のマネや、『マトリックス』モドキはもういい。

 アメリカ映画は・・・・酷いな(苦笑)。

 ランク・インはしなかったけど『ホステル』シリーズとか『Halloween(未公開)』などホラー映画と、圧倒的に未公開のコメディにはオリジナリティのあるものが多かったけどなー。

 いい加減もうリメイクや続編に頼るのは見直さないと、さすがの私でももう無理して(地方では片道1時間30分以上かけて映画館通いですぜ)まで観ることないかと思ってしまいそう。

 '07年もドキュメントは好調で、マイケル・ムーアの『シッコ』や『不都合な真実』、『エンロン』『TOKKO特攻』など、劇映画の限界と比例しているかのようです。

 えー・・・まあ、色々書いていますが、口上のところにもあります通り、ベスト10なんてお遊びでございます。書いてある内容は違いますよ、順位を付けるという行為がです。  

 皆様の昨年はどんなでしたか?劇場で観てなくても構いませんので、同じような“ベスト&ワースト”ありましたら教えて下さい。
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