旧myroom(香港電影的日常 '01/2/17〜'06/1/29)より移転。

 香港映画を中心に語っていますが、基本的には何でもアリです。
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 ・・・・あと、リンクもフリーではないんです。すんませんなぁ。

『FORCE:FIVE』 [2006年05月19日(金)]

『FORCE:FIVE』'81年製作、監督:ROBERT CLOUSE、主演:JOE LEWIS

 『JAGUAR LIVES!/ジャガーNo.1』で鮮烈なデヴューを飾ったジョー・ルイスの二作目だ。今回は『龍争虎鬥/燃えよドラゴン』を製作したフレッド・ワイントロープのプロダクションで製作され、監督も同じロバート・クローズである。
 このコンビは前年にジャッキーのアメリカ進出第一弾となる『THE BIG BRAWL/バトルクリーク・ブロー』を手掛けたばかりで、アメリカの新星・ルイスを売り出すために組まれたプロジェクトが『FORCE:FIVE』だった。

 この映画のウリは、アメリカ・マーシャルアーツ界(含むMA映画)のスター達を一同に会するというのが最大のコンセプトで、製作発表の段階ではチャック・ノリスや、『SHE/S・H・E クレオパトラ・ジャガー』のコーネリア・シャープなども名前も挙がっていた。

 完成版には彼らの姿はないが、ジョー・ルイス、リチャード・ノートンと並んで、ベニー・ユキーデの顔が見えるのがうれしい。

 この映画の製作当時、日本の格闘技ファンの間でベニー・ユキーデの知名度と人気は抜群であった。当時の格闘技&映画ファンが、このニュースにいかに狂喜したか、今のファンには想像もつくまい。
 今ほど格闘技が世間では一般的でなかったにせよ、男ばっかりで殺伐としていたキックの会場に、ユキーデは多くの女性ファンを呼んだことで知られている。今でいえば魔娑斗のような存在だったのだ。

 当然ファンはこの作品の公開を心待ちにした。

 実際、当時の公開ラインナップには何度か候補に挙がっていたものだ。海外の映画雑誌や、「Black Belt」誌に見るこの映画のスチール(特にユキーデが両足ジャンプで敵を倒しているやつ)は格好良く、ファンの期待は最大限に膨らんだのである。

 が、いつしかこの作品は公開ラインナップから外れた。その理由は知る由もない。やがてビデオ時代が到来し、未公開作品の多くが封印を解かれた。チャック・ノリスがブームとなり、ジェームス・ライアン、ショー・コスギも登場。果てはチェリー・キャッファローからチェスティ・モーガンに至るまでがソフト化されていく中で、この映画の登場を心待ちにするファンの声をあざ笑うかのごとく、『FORCE:FIVE』という映画の存在は無視され、忘れ去られ続けたのである。

 一時期アメリカで出ていたビデオ・ソフトも、品薄の上に速攻で廃盤。DVD時代の今も発売されておらず、今現在も多くのファンが見たことがないという、不幸な作品なのだ。

 <ストーリー>
 富豪の娘(アマンダ・ワイズ)がカルト教団に入信し、彼女の洗脳を解いて連れ戻す任務がジョー・ルイスにもたらされる。ルイスは任務の遂行に必要な五人の仲間を集め“FORCE:FIVE”を結成。孤島にあるカルト教団本部に潜入、教祖のBONG SOO HANG(テコンドー・マスター、『ケンタッキー・フライド・ムービー』における『燃えドラ』パロディで“ハン”を演じた)を倒して、娘を取り戻すのだ。

 冒頭、カルト教団壊滅に送られたヒットマンとしてメル・ノヴァクが登場。クローズ版『死亡遊戯』でもお馴染みのスナイパー演技を披露する。

 手っ取り早く言えば、この映画は『燃えよドラゴン』である。ワイントロープ&クローズは、よほど『燃えドラ』の成功が忘れられなかったものか、前作『バトルクリーク』から、次作『Gymkata/カラテNINJAジムカタ』まで、彼らは『燃えよドラゴン』のセルフ・リメイクを作り続けた。

 BONG SOO HANGは孤島にカルト教団の楽園を作っているが、これがまるで“ハンの島”。手下(パット・ジョンソン、フィル・チョン、ナイジェル・ビンズ、竜咲隼人?他)は何故か空手着姿で、腹心のボブ・スコットは楊斯の役割だ。

 ジョー・ルイスがスーツの紳士から依頼を受ける場面も『燃えドラ』そっくりで、朝練の途中で弟子と訓練するのだ。“FORCE:FIVE”結成の場面は『七人の侍』から。短いエピソードでそれぞれのキャラクターを紹介、ちょっとしたアクションも披露する。

 ユキーデは市場の店員で、指令を受け取ると仕事を放り出す。何故かヤクザの娘が恋人という設定らしく、いちゃもんを付けにきたヤクザと軽いファイトを見せる。この映画のユキーデの動きは素晴らしい!まだ現役の頃で、後年の『快餐車/スパルタンX』のようには太ってはおらず、“赤い怪鳥”と呼ばれたリング上の華麗な動きを魅せるのだ。

 続いてバイカーのソニー・バーンズ(『バトルクリーク』でジャッキーと対戦した頭突きのアーメッド・ジョンソンを演じた)、ハスラーのリチャード・ノートン、ルイスの恋人(情婦?)パム・ハンティントンが登場し“FORCE:FIVE”が勢ぞろい。こうして見ると、ユキーデ、バーンズ、ノートンと、“FORCE:FIVE”のうち三人はジャッキーと対戦経験があるではないか。こうなるとジョー・ルイスとの対戦が無かったのが悔やまれるな。

 作戦の成功に不可欠なヘリコプター・パイロットを刑務所から救い出す為“FORCE:FIVE”は初陣。潜入した刑務所で囚人を解放し“ビッグ・バトル”を展開するのだが、ようするにここでも『燃えドラ』がやりたかっただけ。

 教団に興味があるという議員の視察をセットアップし島に潜入。島の様子を探る為、黒装束で徘徊するルイス。翌日、島の護衛達が職務怠慢で処刑されるところまで『燃えドラ』と同じ。
 洗脳されて言うことを聞かないバカ娘は、仲良くしていた信者(潜入リポートにきたNYの記者)が惨殺されるに及んでルイスに泣きつく。

 “FORCE:FIVE”の正体もバレ大乱戦が始まる中、“煙の間”に逃げ込んだBONG SOO HANGとルイスが対決しこれを倒す。一発で倒すルイスの省エネ・ファイトに比べ、実戦的なノートンの動きや、スタント&アクロバットも担当するユキーデのファイトが印象に残る。

 決して傑作ではないし、実質ちゃちな『燃えよドラゴン』なのだが、それでも出演者たちの動きをカット割りなしで見せる演出に、古き良き功夫映画時代の香りが感じられるのだ。

『TOM-YUM-GOONG/トム・ヤム・クン!』 [2006年05月10日(水)]

『TOM-YUM-GOONG/トム・ヤム・クン!』'05年製作、監督:PRACHYA PINKAEW、主演:TONY JA

 “人間というものはどんな刺激も二回目には慣れてしまうもので、つねに前回の刺激を1mmでも上回らない限り、それはもう刺激とは言えないのだ”

 これは前作『ONG BAK/マッハ!!!!!!』公開時に書いた日記から引用したものである。

 結果、その通りであったと言わざるを得ない。

 厳しい言い方かもしれないが、同じような動きから繰り出される技が、いくら高度であったとしても、一度見てしまったものはその衝撃は半減以下になる。ましてや、主演のトニー・ジャーのスタイルは大技の連続に頼った一発主義で、細かい攻防は非常に少ない。それが彼のスタイルであり個性なのだから、それそのものは変える必要はないが、見せ方だけは変えないと殺陣は単調になってしまう。
 製作者側もそれは解かっていたと見える。今回の映画はハード・ヒッティングによるインパクトそのものには頼った作りにはしていないからだ。

 それにはスタントマンの技術向上も寄与しているのだが、それは前作の世界的な成功がもたらした副産物である。ようするに、予算が増えて優秀なスタントマンを大勢雇えたから、ヒッティングの寸前に微妙にインパクトをずらすことが可能になったのだ。よって、前作にあったようなヒッティングによる衝撃だけを見せる殺陣は減った。その代りに登場したのが関節技の殺陣や、ワンカット長回しによる連続対戦ということだろう。

 もちろん、これとて完全に成功はしている訳ではない。関節技の殺陣も、要所で使えば効果的だが、多用しては展開が読めてしまうし、ワンカット長回しによる連続対戦も、撮影こそ大変だったろうことが偲ばれるが、“移動〜敵登場〜一撃”の繰り返しでは飽きてしまう。

 大技中心の一撃スタイルはトニー・ジャーのスタイルだ。それはいい。それは変える必要はない。彼の動きは、現在では世界最高レベルにある。それも間違いではない。

 だが彼の弱点は、受けに回った時の引き出しの少なさにある。だから彼がやられている場面では、何もせずにただ殴られているだけの印象を与えてしまうのだ。今回、異種格闘技戦というテーマを構築しながら、あまり殺陣そのものに変化があったように感じられない結果を残したのは、受け手のトニー・ジャーに相手の技の変化に合わせていくだけの、防御のバリエーションが少なかったからではないか?

 ジャッキーの『師弟出馬/ヤングマスター』を思い出して欲しい。

 蹴りばかりか、手技、関節技、投げ技を駆使する黄仁植の攻撃を、それぞれの技が最も効果的に見える方法で受けきったからこそ、その後のジャッキーの反撃にも説得力が出たのだ。主役を生かすのは悪役だが、悪役を生かすのは主役である。

 映画そのものについても話しておこう。

 正直言って前作と全く同じである。前作の“仏像”が“象”に変わっただけで、取り戻しに故郷を出奔したトニー・ジャーが、見知らぬ土地で受ける苦難や、協力者との出会いなど展開も前作をなぞる。好意的に解釈するなら、潤沢な予算が出来たことから、前作をバージョンアップさせたリメイクを作ったと考えられる。

 しかし、仏像奪還だけに一直線だった前作と違い、前作の相棒・PHETTHAI WONGKHAMLAOの冤罪話や、敵組織の跡目争いの話が錯綜し、象を取り戻そうとするトニー・ジャーの主筋が、アクションを進めるだけのサブ・エピソードに転落する腸捻転を起こしてしまっているのだ。
 バラバラな映画に整合性を持たせるため、象に対する過剰なまでの愛情を示し、そのくせ他のエピソードを凌駕するだけのモチベーションを持たされていないトニー・ジャーは、動物愛護の傍らで、人間の大量虐殺を繰り返す。

 はっきり言って、失敗作の烙印は逃れられまい。

 トニー・ジャーに必要なのは、今とはまったく違う映画環境(特に武術指導面)に身を置く事ではないだろうか。そこでの経験は必ずやこの素晴らしいアクション・スターを、より大きくするはずである。
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