第25回 [NGN ブームなき放送・通信融合サービス - 米国の次世代トリプル・プレーを占う] [2008年02月06日(水)]
[参考資料]
小池良次 米国発、ITトレンド : -第43回- NGN ブームなき放送・通信融合サービス 米国の次世代トリプル・プレーを占う
小池良次@wisdom
[概要]
米国で電話・TV・インターネットのサービスを一緒に提供するトリプルプレイが始まって、既に、4年が経過している。日本の通信と放送の融合は、放送側の既得権維持の動きと、NTTが光配線を独占しており、NTT自身が独占性の故に、トリプルプレイへの本格進出へ動くのを阻まれて、一向にトリプルプレイの提供は進んで来ない。
一方米国は、競争促進策に促され、制約のないトリプルプレイの抱き合わせ効果で、ユーザに割安感を与え、プロバイダの積極的な拡販策と相まって、広く普及してきており、競争の激化に伴い、割安感に代わる差別化が求められ、提供サービスの幅を広げるトリプルプレイの第2世代に進もうとしている。
以下では、この辺の状況を報じる小池良次氏のWisdomの最近の記事を紹介する。
小池良次 米国発、ITトレンド : -第43回- NGN ブームなき放送・通信融合サービス 米国の次世代トリプル・プレーを占う
米国でトリプル・プレー・ブームが始まって、はや4年の歳月がたった。同サービスは、電話・テレビ・ネットをいっしょに提供する“抱き合わせ効果”で、ユーザの割安感を与える一方、プロバイダも解約率の改善につながるため販売に力を入れてきた。こうしてトリプル・プレーが広く普及するにつれ、競争も厳しくなっている。
そのため、割安感に代わる新たな差別化が求められ、電話やテレビ、ネットを機能面で統合する“サービスの高度・統合化”が模索され始めた。これはトリプル・プレーが第2世代へと進む動きと考えられ、NGNが目指す“通信と放送の融合”が始まったともいえるだろう。今回は、米国で進む次世代トリプル・プレーを追ってゆきたい。
米国のトリプルプレーを推進する有力4社
Comcast
総加入者3882万人、年間売り上げ 2兆8500億円(2006年)のCATV最大手→トリプルプレー競争で先行
TimeWarner Cable
CATV第2位業者
AT&T
電話会社最大手
Verizon
第2位電話会社
Comcast
電話会社のDSLと競争しながら、ケーブルモデムの高速大容量を武器に加入者を獲得。2007/9末でデータサービスには、1288万8千の加入者がおり、AT&Tに継ぐ第2位のブロードバンドプロバイダとなっている。Comcast Digital Voiceという固定IP電話は、377万4千加入(2007Q3)で、固定電話業界の4位を2008年には占めると予想されている。
電話事業の強化のため、5000名の技術者(トリプルプレーセットアップ技術者は総計9000名で設置工事担当者の65%)の追加雇用と販売代理店を6000店に拡張している。
トリプルプレー加入者は、2007年末で、全加入者の16%(約621万加入)に達すると予想。ビデオの加入者の成長率は3%と低調で、ケーブルモデムやIP電話のサービスは10%、トリプルプレー加入者は40%(3年連続)を超える伸びを示している。
(注) 米国は国土が広く、DSLは局からの距離が遠くて、数百kbpsが主体。これに対し、ケーブルは500kbpsから1Mbps程度出せるサービスが主体
TimeWarner
ビデオ加入者2116万人、成長率3から4%
ケーブルモデム加入者 768万4千加入 (2007/3Q)で、売上げ15%増を達成。
IP電話加入者 261万人で、売上げ40から50%増を達成。
上記のように、CATVは、成熟し成長力が落ちたビデオ/広告事業にかわって、データ・サービスや音声サービスといった通信分野に進出することで成長を維持しようとしている。その主たる戦略がトリプル・プレーと言える。とはいえ、CATV事業者がビデオ・サービスの開発を怠っているわけはない。現在、米国のCATV網ではビデオ・サーバやヘッド・エンド・ルータなどの整備が終了し、
ビデオ・オン・デマンド・サービスが当たり前となっている。
今後は、YouTubeやHuluなどウェブ系ビデオと普通のCATV番組をシームレスにつなぐネット・コンテンツ・インテグレーションを狙っているほか、長期的にはOCAPという双方向サービス規格の導入によって“双方向広告”や“双方向ゲーム”などを狙っている。
(注) 最近、AT&Tは、U-verseにIP電話を加えると言う発表を行った。
CATVに対抗し、AT&Tとベライゾン・コミュニケーションズもトリプル・プレーの導入を推進。
AT&T
2006年1月からIPTV“U-verse(ユーバース)”を開始 12万6千加入 (2007/9末)同サービスは光ファイバー網を家の近くまで伸ばす「fiber-to-the-node」と呼ばれる方式で、ノードから家庭まではVDSL2を使って信号を送る。
また、U-verseとはべつに“ホームゾーン(Homezone)”というトリプル・プレー・サービスも展開している。これは衛星放送(Dish Networks)とDSL、電話を組み合わせたもので、加入者は198万6千(07Q3末)となっている。
HomezoneとU-verseをあわせるとAT&Tのビデオ・サービスは約211万の契約者を持っていることになる。
ただ、AT&Tのサービスは、正確には“擬似トリプル・プレー”と言える。U-verseは基本的に放送とDSLサービスの抱き合わせで、電話サービスは入っていない。また、Homezoneは放送(衛星回線)とデータ/電話がそれぞれ違う回線を使うためだ。もちろん、U-verseにネット電話を加えることは、なんら技術的に問題はない。電話サービスを含めないのは、AT&Tの固定電話の加入者を減らしたくないという経営上に判断による。






