第29回 iPhone2.0 [2008年03月25日(火)]
[概要]
Appleは、3月6日にiPhone用のSDKを発表すると共に、iPhone2.0の出荷を6月に開始すると発表した。
以下では、これに関連した2件の記事の概要を紹介する。
[iPhone2.0 - Apple’s iPhone Developer Program]
Gerry Purdy - Inside Mobile and Wireless Frost & Sullivan 2008/3
Software 2.0 Beat for iPhone アプリケーション開発用SDK 出荷は2008年6月
・iPhone/iPod touch向けのアプリケーションを開発/試験するためのSDKを有償*で配布(これには、Mac上で動くiPhoneエミュレータが付属)
※無償あるいは有償で一般に出されるプログラム開発者向けは$99/年、企業が内部用にプログラム開発する時は$299/年
・VCのKPCB(Kleiner, Perkins, Caufield & Byers)は、iPhoneおよびiPod touch向けに画期的な製品あるいはアイディアを開発するために、100億円のファンドを立ち上げた
・開発されたアプリケーションは、全てAppleに提示され、承認される必要がある(プライバシーを犯すもの/ポルノ関連などは、承認されない)
・Appleによって承認されたアプリケーションはApple Storeに置かれる
・Microsoftは、iPhoneがMS Exchange Serverと直接交信(email/PIM synchronization)できるように、”ActiveSync”をAppleにライセンス供与
・Ciscoは、企業サーバへのセキュアアクセスを行うための”Cisco VPN”をライセンス供与
・Apple Storeでの販売時、Appleは30%のコミッションを徴収
以下は、Gerry Purdyの得た情報、あるいは、見解である;
・企業向けメールのMSに告ぐ第2位のシェアを持つLotusは、iPhone上でLotus Domino/Notes用のクライアントを開発する
・RIMは、MSがActiveSyncをライセンスしたように、BlackBerry ConnectライセンスをAppleに与えるべきであろう。これによりiPhoneをBlackBerry Enterprise Server(BES)につなぐことができよう
また、これでRIMはBESを売ることで多額の収入を得ることが出来るし、既に、BlackBerryを導入している企業から見れば、iPhoneをクライアントに追加するのは容易となろう
・BlackBerryは単にメールで使われるだけでなく、他のバックエンドシステムへも繋がることが出来るので、上記により、iPhoneは、Lotus Notesや三番目にシェアのあるNovell Groupwiseにも繋がる
・Appleの発表は、Googleにとっても大きい価値がある。即ち、Googleの各種サービスはAndroidには含まれていないが、Google maps/Google searchは数多くのアプリケーションに含まれている
・この発表により、Google:Android、Apple:iPhone、Symbian:Symbian OS、Microsoft: Windows Mobileの4者による素晴らしい戦いが市場で展開されることになる
・iPhone向けのアプリケーションも大半はiPod touchでも動作するであろう
今回の発表は、相当練られたものであり、完全にオープンではないが、iPhoneユーザにとって望ましいアプリケーションの登場を妨げるものではない。
今回の発表の副産物として、階層化され、容易に変更可能なメニューシステムが必要とされることになろう。これにより、追加でダウンロードされるアプリケーションをどこに入れるかという課題も解決される
この新しいiPhoneアプリケーション開発プロセスは、Appleの”生態系”に組み込まれ、Appleの直接コントロールの下に置かれることになる。これは”塀で囲まれた庭”であるが、誰もがその中で楽しく散策し、遊べるものとなるであろう。
[「iPhone 2.0」で充実する企業ユーザー向け機能]
Daniel Drew Turner@eWeek(ITmedia) 2008/3/7
Appleは3月6日、iPhoneでのMicrosoft ExchangeのWebメールクライアントのサポートと、主に企業ユーザーから求められていた新機能を提供する計画を明らかにした。
スティーブ・ジョブズCEO他幹部はApple本社で、iPhone SDK(ソフトウェア開発キット)を6月までに公開し、企業向けのアプリケーションの開発をサポートする計画について説明した。
これにより、サードパーティーの開発者は、Web2.0形式のものではなく、第一級のネイティブなアプリケーションを作成できるとAppleは語った。また、企業ユーザーが最も強く求めていた機能を、iPhoneおよびiPod touchでどのようにサポートするかも明らかにした。
Appleの上級副社長であるフィル・シラー氏は、企業ユーザーがiPhoneに求める機能のトップ10として、
1. プッシュメール
2.プッシュカレンダー
3.プッシュコンタクト
4.グローバルなアドレス帳
5.Cisco IPsec VPNのサポート
6.認証・ID管理
7.無線LANセキュリティ規格「WPA 2/802.1x」への対応
8.強制的なセキュリティポリシー
9.多数のiPhoneの一括設定
10.遠隔初期化
を挙げた。
シラー氏によると、6月リリース予定のiPhoneとiPod touchの次期アップデートであるバージョン2.0で、これらすべての機能がiPhoneネイティブになるという。
さらにシラー氏は、Microsoft ActiveSyncプロトコルのライセンスを受けて、iPhoneがMicrosoft Exchageを「ネイティブに」サポートすると語った。
同氏はExchangeとの「昔ながらの連携方法」は複雑で信頼性が低かったと語った。従来の方法では、iPhoneでNOC(ネットワークオペレーションセンター)に接続し、次にメッセージサーバに接続し、
Exchangeサーバに接続するという手順が必要だった。しかし、今後は、Exchangeのすべての機能がiPhoneのメール、カレンダー、アドレス帳アプリに統合される。iPhoneは既に、複数のメールアカウントを管理できる。Exchangeのメールアカウントはそうしたアカウントの1つとして加わるだけだ。
AppleのiPhoneソフトウェア担当副社長を務めるスコット・フォーストール氏はiPhone SDKを紹介し、初めてiPhone OSの構造を説明した。
Mac OS X同様、基盤にはCore OS、Core Services、Mediaレイヤーがある。但し、その上のMac OS XのCocoaユーザーインタフェースレイヤーの代わりに、iPhone用に開発したCocoa Touchというマルチタッチ対応のユーザーインタフェースAPIを使っている。
フォーストール氏によると、Appleの既存のXcode、Interface Builder、Instrumentsと新しいiPhone Simulator(Mac上で「ライブな」iPhoneを動かせるソフト)を使えば、
開発者はiPhoneおよびiPod touch向けアプリケーションを迅速に作成し、テストし、チューニングすることができるという。
Electronic Arts(EA)、Salesforce.com、AOL、Epocrates、セガなどの“1人か2人の開発者が2週間で”作ったアプリケーションのデモを行った。
そこでは、EAのゲーム「Spore」や、AOLのインスタントメッセージング「AIM」、Salesforce.comの販売ツールなどが紹介された。
ジョブズ氏は、これらすべてのアプリケーションが「App Store」アプリケーションもしくはiTunes経由でiPhoneおよびiPod touchに直接ダウンロードできるようになると述べた。
同氏によると、開発者はアプリケーションの販売価格を独自に設定でき、Appleが諸経費として売り上げの30%を徴収し、開発者はクレジットカードなどの手数料なしで残りの70%を得るという。また、開発者が無料で配布したいアプリケーションは、追加料金なしに無料で配布できる。
iPhone 2.0アップデートは6月にリリースの予定。iPhoneは無料で、iPod touchは“わずかな費用”を支払ってダウンロードできるようになる。
[コメント]
予測されていたApple得意の”ちょいだし”シナリオによるiPhoneのバージョンアップが始まった。特に、企業ユーザ向けの基本的な機能追加がなされたことが大きな変化と言える。
SDKが出荷されることで、2008年の後半からは、個人ユーザ向けにも豊富な機能追加がなされることは期待されるが、全ては、Appleの承認の下でなされるという方式であるので、その制約が何をもたらすかには注意が必要となろう。いずれにせよ、モバイルの主力がノートブックPCからPDAに変わる時代が来たことには間違いないであろう。







