第30回「iPod touch」の未来形 [2008年04月07日(月)]

[概要]

Arik Hesseldahl(BusinessWeek.com記者)の記事がNBonline(3月25日)に紹介されていたので、その内容をまとめて以下に記す。

「iPod touch」の未来形を想像してみた
インテルのプロセッサ「アトム」登場で一気に進化する予感


米アップルは、「iPhone」でパソコン「Macintosh」の基本ソフト「OS X」を、PCのみならず携帯端末にも対応させたことで、“コンピューター”と“家電機器”を隔てる垣根を低くした。
「iPhone」の影に隠れがちな姉妹機「iPod touch」は、表向き、「iPhone」から電話機能を省いただけに思えるが、携帯電話網を使った通話やインターネット接続はできないものの、
・無線LAN(構内情報通信網)の標準規格である「Wi-Fi」を使ってオンライン接続が可能

・音楽や映像の再生のほか、メール、動画サイト「YouTube(ユーチューブ)」、株価情報、天気予報などを利用できる

・ 米グーグルの地図サービス「Google Maps(グーグル・マップ)」を使って、目的地までの経路を確認することもできる

など、“コンピューター”と“家電機器”を隔てる垣根を低くした象徴とも言える。そんな「iPod touch」にスポットライトを当てる発言がアップル幹部から相次いでいる。
・アップル社COO(最高執行責任者)のティム・クック氏は、米ゴールドマン・サックス(GS)主催の2月27日のシンポジウムで、「iPod touch」は携帯型Wi-Fi機器の「プラットフォーム(基盤)」だと公言。

・他の経営陣からも、iPodシリーズのフラッグシップ(旗艦)製品は、「iPod nano」でも「iPod shuffle」でもなく、「iPod touch」になったとの発言が得られた。

電子書籍が読めるようになる?

このように株が上がった「iPod touch」は今後、様々な展開が考えられる。例えば電子書籍はどうだろう。
「iPhone」や「iPod touch」の画面でWebやmailの文章を読めるのなら、本や雑誌を読むのも当然ありのはずだ。我こそはと思う出版社や発行元が、アップルのオンラインストア「iTunes Store」に電子出版物を提供してくれれば話は済む。こうなると「iTunes Store」は、あらゆる種類のデジタルコンテンツを一同に取り揃えた販売拠点となる。レコード店、ビデオ店、書店、ニューススタンドが合体したようなものだ。

米ニューヨーク・タイムズ紙のジョン・マルコフ氏らは、アップルの次の一手として、米アマゾン・ドット・コムの「Kindle(キンドル)」のような携帯型の電子書籍端末の登場を予想している。現在アマゾンは音楽販売も手がけている。複製防止機能のないMP3形式の音楽ファイルをダウンロード販売しており、「iTunes Store」と直接競合する存在だ。

一方のアップルは、音楽、テレビ番組、映画、オーディオブックなど、めぼしいジャンルの娯楽メディアのほとんどを「iTunes Store」で扱っている。加えて、「iPhone」や「iPod touch」用のアプリケーションの販売も近々開始する。次は電子書籍に向かうというのは理にかなっている。だが、出版物を読ませるとなると、「iPod touch」や「iPhone」の画面の大きさがネックとなる。

キンドルの画面は6インチ。「iPod touch」の約2倍だ。キンドルと「iPod touch」の両方を使った経験から言うと、文章を5分以上読むなら、画面は大きい方がいい。また、アップルが仮に電子書籍の計画を本当に進めているとしても、電子書籍端末を単体で出すのでは芸がなく、「iPod touch」の大画面バージョンを出し、その時には、電子書籍を読む機能のみならず、様々な機能を搭載するはずだ。

携帯型の小型コンピューターへの進化を期待

「iPod touch」に搭載された基本ソフト「OS X」は非常に強力なので、電子書籍機能を搭載したこの携帯端末は、単なる娯楽プラットフォームの枠を超えて、実用性も兼ね備えることはできまいか。
例えば、「Macintosh」には「どこでもMy Mac」という機能がある。外出先のノート型Macから自宅のMacのファイルを操作する場合などに使える機能だ。これと同じことを、携帯端末からWi-Fi経由で実現させてはどうだろう。自宅のパソコンに置き忘れてきたプレゼン資料を取り出したり、友人との会話で話題に出した曲をその場で聴かせたりできる。メモリーも大容量にしてはどうだろう。例えば64ギガバイトのフラッシュメモリーを搭載する。そうすれば、音楽と動画のライブラリーだけではなく、いっそのこと重要な文書を全部まとめて持ち歩くという手もある。それに、文書が表示できるだけではもったいない。その場で編集できたらどうだろう。言わば、小型コンピュータを持ち運ぶのと同じだ。ーボードは画面上に表示すればいい。タッチ式液晶画面で、QWERTY配列(パソコンと同じ標準的配列)の仮想キーボードから入力する。
但し、現在の「iPhone」や「iPod touch」で表示されるキーボードよりは大きくして、2本指打法で打ちやすくする。さらに、「iPhone」には既に搭載されている「Bluetooth」の無線接続機能を「iPod touch」にも搭載する。そうすれば、標準の無線キーボードを使うという選択肢もできる。

インテルから新型プロセッサ「Atom(アトム)」が登場

インターネット電話機能の搭載も当然期待される。米イーベイ(EBAY)傘下のスカイプ・テクノロジーズが提供する「Skype」や、米シップフォンが提供する「Gizmo Project(ギズモプロジェクト)」などの電話サービスだ。通話用の無線ヘッドセット(イヤホンとマイクが一体化した装置)を使う上でも、「Bluetooth」は都合がいい。「Skype」の通話機能は、ソニーのWi-Fi対応携帯端末「Mylo(マイロ)」には既に搭載されているし、米シスコシステムズや米ネットギアのWi-Fi対応電話機にも組み込まれている。ギズモ・プロジェクトの通話機能は、フィンランドのノキアの携帯型インターネット端末には以前から搭載されている。こうした機能を詰め込んだ機器は、いわば無線対応の超小型Macだ。処理性能はノート型の本物のMacにかなわないが、“小粒でもピリリと辛い”マシンになる。そんじょそこらの携帯情報端末をはるかに凌駕するはずだ。米インテルは以前から、ノートパソコンとスマートフォン(携帯情報端末の機能を持つ多機能な携帯電話機)の中間に位置する新しいジャンルの機器について構想を示してきた。同社は先日、最新の低消費電力プロセッサ「Atom(アトム)」を発表。その新ジャンルの製品の登場に弾みがつくことを期待している。

「iPod touch」の次世代の機器について、どんな予想や憶測が飛び出すか、この先しばらくは大いに見ものだ。

以上

[コメント]

「iPhone=携帯電話+iPod+インターネット端末」と言われてきた。「iPod touch」は、「iPhone」から携帯電話機能を取り去ったものであるが、Wi-Fi通信機能は備えている。この機能を利用して、「Skype」相当のVoIPをサポートすれば、機能面では「iPhone」とほぼ同等の状態に復元されることになる。今後、IMT2000の一環として正式に認められたWiMAXのサポートが世界的に進んできて、カバー範囲が広がれば、このWiMAX上でIPアドレスを持つインターネット端末としての「iPod touch」の登場も考えられる。そこでは、キャリアレベルの高品位とHSDPAを上回る高速性を備えた通信機能が実現される訳であり、その上で、「Skype」のVoIPが動けば、「iPhone」と「iPod touch」のいずれかをユーザが選択するかは判らない。従って、「iPhone」と「iPod touch」が一つの端末に収斂する時代も来る可能性があるのではないであろうか。

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