第32回 SMB市場向けSaaSのあり方 [2008年04月28日(月)]
[概要]
日本の中堅・中小企業のIT化は、諸外国に比べ相当遅れているとの認識が高まっている。
この状況を改善すべく、SaaS(Software as a Service)の普及推進を図る動きが活発化している。
以下では、この背景についての考察を下記の参考資料をベースに行うこととしたい。
参考資料 :SaaSで一歩抜け出す中小企業:SMB市場向けSaaSに死角は在るか?ITmedia エンタープライズ掲載
IT市場規模は、07年で14兆1446億円、08年は前年比2.0%拡大で約14兆4275億円、以後年平均2.0%成長で12年には15兆6168億円に達すると予測される。
07年より計測を開始した「SaaS的」市場規模は、SaaS型ソフトウェアの利用金額規模とSaaSに伴うセットアップ、カスタマイズ、保守などのサービス金額規模を含め、ソフトウェア市場、サービス市場の0.5%(417億円)を代替する。
こうしたSaaS市場の伸び率については、大手パッケージベンダーの本格参入も見られるが、試行錯誤のビジネスモデル変革によってSaaS型ソフトウェアが普及するには最低でも5年は要すると見られ、SaaS市場は緩やかに成長するものと予測される。
07年で同市場の約0.5%(約417億円)が、12年で同市場の約8.0%(約7746億円)がSaaS市場に置き換わると予測される。緩やかな成長とは言いながらも、5年間で約19倍の伸びが予測され、IT業界におけるビジネスモデル変革のムーブメントとなることは間違いないだろう。

(注)既存のパッケージング型CRMを中心としたフロント系/コラボレーション系ソリューションのソフトウェア市場、サービス市場のうちSaaS型への代替市場を推計した。07年の場合、ソフトウェア市場の2.5%、サービス市場の7.5%として算出。
中堅・中小企業の今後の取り組み方
現在、企業におけるIT環境は、かつての「集中から分散へ」という流れから、再び「集中へ」という揺り戻し現象が起きつつあるが、今ソフトウェアの利用環境にも変化が起ころうとしている。それは「ソフトウェア自前主義」からの脱却だ。
自社のコンピュータに専用のソフトウェア利用環境を整え、適正に稼働するよう運用管理するという一連の流れで生じる「負荷」を第三者に委託し、経営資源をコアビジネスに集中させようという考えだ。そのテクノロジーとしてSaaSが担う役割が大きいと見なされている。
従来自前のソフトウェアを「所有」することでユーザー企業はライセンス費、システムインテグレーション(SI)費、バージンアップ費などの高額なコストとともに、自社SEが運用・保守業務を負担してきた。
ソフトウェアを「所有」することによるさまざまな弊害、問題に対して、第三者が管理するソフトウェアサービスを「利用」するSaaSという概念が生まれることになった。
世界的に見て、日本以外はアプリケーションパッケージを利用し、自前のソフトウェア開発を避けることで、ICT費用の削減に努めてきた。SaaSの利用とは、パッケージ利用をした上で、更に、それを動かすシステムまで自前で持たずに他者の提供するシステムをネットワークを介して利用するという2段階飛びの変化を経験することになる。
SaaSでは、バージョンアップやセキュリティ対応に伴う運用・保守業務の一切をベンダーが請け負うため、そのためのSEが特別必要ではなくなる。
SaaSと中堅・中小企業
中堅・中小企業(SMB)では、自前のソフトを作るのでなく、パッケージソフトを利用するとしても、ベンダーに対しライセンス費用、SI費用、バージョンアップ費用などを支払い、自社のシステムエンジニアが運用・保守業務を行うという非常に負荷の多い状況を受け入れざるを得ない。このため、日本の中小企業のIT化は大幅に遅れており、デジタルデバイドと呼ばれる非IT経営を行う中小・零細企業が大勢を占めている。
海外では、PC系のパッケージが普及し、これに習練した人材を採用して、ビジネスプロセスをパッケージに合わせて構築するが故に、新興企業を中心にパッケージ導入が進んでいる。日本は、このような人材の流動性がないため、個別企業が試行錯誤で取り組むので導入が進まず、非IT経営を行わざるを得なくなっているとも言える。
米国では、更に一般の人材のIT能力が高いため、「amazon.com」のSaaSサービスを利用する数十万のSOHOビジネスも存在しており、彼我の差は大きい。
この場合に一番注意しなければならないのは、BPRである。即ち、業務プロセスをSaaSに合わせて変更することであり、SaaSベンダが機能変更に応じてくれるからと言って、従来プロセスを守って、SaaS機能のカスタマイズに進まないことである。当然のことながら、業務にとって致命的である場合は、SaaS機能を変更することも止むを得ない選択肢ではある。
中堅・中小企業向けSaaSビジネスモデルの構築
中小規模のソフトウェアパッケージベンダにとっては、SaaS環境を自前で提供するのは、ハードウェアやネットワークインフラの負担、認知度向上に掛かるコストを考えると、現実的ではない。これら中小規模のISVやSIerは、大手ベンダーやキャリアが提供するSaaS支援サービスを合わせて活用することを考えていくことが必要である。
[コメント]
顧客サービスの向上、事業効率の向上、従業員福祉の向上などいずれをとっても、ICT導入は避けて通れないのが現状である。少子高齢化を迎えて、日本がグローバル化した経済社会の中で生き残っていくためには、グローバル企業として規模を追求するか、中堅・中小企業として俊敏さを生かして周囲環境の変化に迅速に対応していくかのいずれかの道の選択を迫られるであろう。このとき、中堅・中小企業にとっては、ICTに習熟した人材の確保が出来ないが故に、事業の望ましい発展ができないという状況を回避するためには、SaaSを利用してBPRを行い、高度のICT化された企業として、事業行動を効率化、迅速化することが求められよう。
日本の中堅・中小企業のIT化は、諸外国に比べ相当遅れているとの認識が高まっている。
この状況を改善すべく、SaaS(Software as a Service)の普及推進を図る動きが活発化している。
以下では、この背景についての考察を下記の参考資料をベースに行うこととしたい。
参考資料 :SaaSで一歩抜け出す中小企業:SMB市場向けSaaSに死角は在るか?ITmedia エンタープライズ掲載
IT市場規模は、07年で14兆1446億円、08年は前年比2.0%拡大で約14兆4275億円、以後年平均2.0%成長で12年には15兆6168億円に達すると予測される。
07年より計測を開始した「SaaS的」市場規模は、SaaS型ソフトウェアの利用金額規模とSaaSに伴うセットアップ、カスタマイズ、保守などのサービス金額規模を含め、ソフトウェア市場、サービス市場の0.5%(417億円)を代替する。
こうしたSaaS市場の伸び率については、大手パッケージベンダーの本格参入も見られるが、試行錯誤のビジネスモデル変革によってSaaS型ソフトウェアが普及するには最低でも5年は要すると見られ、SaaS市場は緩やかに成長するものと予測される。
07年で同市場の約0.5%(約417億円)が、12年で同市場の約8.0%(約7746億円)がSaaS市場に置き換わると予測される。緩やかな成長とは言いながらも、5年間で約19倍の伸びが予測され、IT業界におけるビジネスモデル変革のムーブメントとなることは間違いないだろう。

(注)既存のパッケージング型CRMを中心としたフロント系/コラボレーション系ソリューションのソフトウェア市場、サービス市場のうちSaaS型への代替市場を推計した。07年の場合、ソフトウェア市場の2.5%、サービス市場の7.5%として算出。
中堅・中小企業の今後の取り組み方
現在、企業におけるIT環境は、かつての「集中から分散へ」という流れから、再び「集中へ」という揺り戻し現象が起きつつあるが、今ソフトウェアの利用環境にも変化が起ころうとしている。それは「ソフトウェア自前主義」からの脱却だ。
自社のコンピュータに専用のソフトウェア利用環境を整え、適正に稼働するよう運用管理するという一連の流れで生じる「負荷」を第三者に委託し、経営資源をコアビジネスに集中させようという考えだ。そのテクノロジーとしてSaaSが担う役割が大きいと見なされている。
従来自前のソフトウェアを「所有」することでユーザー企業はライセンス費、システムインテグレーション(SI)費、バージンアップ費などの高額なコストとともに、自社SEが運用・保守業務を負担してきた。
ソフトウェアを「所有」することによるさまざまな弊害、問題に対して、第三者が管理するソフトウェアサービスを「利用」するSaaSという概念が生まれることになった。
世界的に見て、日本以外はアプリケーションパッケージを利用し、自前のソフトウェア開発を避けることで、ICT費用の削減に努めてきた。SaaSの利用とは、パッケージ利用をした上で、更に、それを動かすシステムまで自前で持たずに他者の提供するシステムをネットワークを介して利用するという2段階飛びの変化を経験することになる。
SaaSでは、バージョンアップやセキュリティ対応に伴う運用・保守業務の一切をベンダーが請け負うため、そのためのSEが特別必要ではなくなる。
SaaSと中堅・中小企業
中堅・中小企業(SMB)では、自前のソフトを作るのでなく、パッケージソフトを利用するとしても、ベンダーに対しライセンス費用、SI費用、バージョンアップ費用などを支払い、自社のシステムエンジニアが運用・保守業務を行うという非常に負荷の多い状況を受け入れざるを得ない。このため、日本の中小企業のIT化は大幅に遅れており、デジタルデバイドと呼ばれる非IT経営を行う中小・零細企業が大勢を占めている。
海外では、PC系のパッケージが普及し、これに習練した人材を採用して、ビジネスプロセスをパッケージに合わせて構築するが故に、新興企業を中心にパッケージ導入が進んでいる。日本は、このような人材の流動性がないため、個別企業が試行錯誤で取り組むので導入が進まず、非IT経営を行わざるを得なくなっているとも言える。
米国では、更に一般の人材のIT能力が高いため、「amazon.com」のSaaSサービスを利用する数十万のSOHOビジネスも存在しており、彼我の差は大きい。
この場合に一番注意しなければならないのは、BPRである。即ち、業務プロセスをSaaSに合わせて変更することであり、SaaSベンダが機能変更に応じてくれるからと言って、従来プロセスを守って、SaaS機能のカスタマイズに進まないことである。当然のことながら、業務にとって致命的である場合は、SaaS機能を変更することも止むを得ない選択肢ではある。
中堅・中小企業向けSaaSビジネスモデルの構築
中小規模のソフトウェアパッケージベンダにとっては、SaaS環境を自前で提供するのは、ハードウェアやネットワークインフラの負担、認知度向上に掛かるコストを考えると、現実的ではない。これら中小規模のISVやSIerは、大手ベンダーやキャリアが提供するSaaS支援サービスを合わせて活用することを考えていくことが必要である。
[コメント]
顧客サービスの向上、事業効率の向上、従業員福祉の向上などいずれをとっても、ICT導入は避けて通れないのが現状である。少子高齢化を迎えて、日本がグローバル化した経済社会の中で生き残っていくためには、グローバル企業として規模を追求するか、中堅・中小企業として俊敏さを生かして周囲環境の変化に迅速に対応していくかのいずれかの道の選択を迫られるであろう。このとき、中堅・中小企業にとっては、ICTに習熟した人材の確保が出来ないが故に、事業の望ましい発展ができないという状況を回避するためには、SaaSを利用してBPRを行い、高度のICT化された企業として、事業行動を効率化、迅速化することが求められよう。







