第34回 [米国通信市場動向](WiMAX) [2008年05月21日(水)]

[概要]

米国のWiMAX網構築は、昨年末のSprint-Clearwireの共同構築計画の解消を契機に、永らくその行く末が不透明となっていたが、Sprint-NextelのCEOを交代を契機に、新たな取り組みの始まりが期待されていた。
5月7日、両社は、そのWiMAX部隊を統合し、新Clearwireを、「Intel」、「Google」、「Comcast」、「Time-Warner Cable」、「Bright House」5社の出資を得て発足させるとの発表を行った。「AT&T」、「Verizon」の2大キャリアがLTEによる3.9Gの導入を発表したが、これに2年先立って4Gの導入を行うことが、今回の発表のキーポイントとなっている。
以下では、この発表内容と、それに対する米国内での評価について、簡単にまとめて報告したい。

・参考資料
Sprint
Sprint and Clearwire to Combine WiMAX Businesses, creating a new mobile broadband company

Ars Technica
It's official: Sprint, ClearWire merging WiMAX operations

YAHOO!NEWS
Sprint, Clearwire Join for WiMax Venture

YAHOO!NEWS
Sprint-Clearwire WiMax Effort Gets $3.2 Bil, Big Partners

USA TODAY
Big investors join Clearwire's WiMax plan

ITmedia
SprintとClearwire、大規模WiMAX網構築に向け合弁会社設立


<Sprint/Clearwireの発表内容概要>

Sprint NextelとClearwireは5月7日、初の全米規模のモバイルWiMAXネットワークの構築とサービス提供を目的とする合弁会社(新「Clearwire」)設立で合意した。新会社には、Sprint・Clearwireの他、「Intel」「Google」「Comcast」「Time Warner Cable」「Bright House」の5社が総額32億ドルの出資を行う。各社の出資のシュアは以下の通り。
・Sprintは新会社の株式の約51%を所有。
・Clearwireの既存の株主は約27%を所有。
・「Intel」ら5社がグループとして約22%を所有。

業務提携の内容は以下の通りである。
Intel」は、Centrino2プロセッサ搭載のノートPCやモバイル対応デバイスへのWiMAXチップ搭載を推進するとともに、Notebook、PC brandと共に新会社のサービスのマーケティング活動を行う。

Google」は、モバイルWiMAXデバイス対応のインターネットサービス、広告サービス、アプリケーションの開発で協力し、Clearwireは、「Google」のAndroidをサポートする。
Google」は更にSprintとの間で、Search Engine、Gmail、Google MapsYouTubeなどの提供についての提携を行う。

Comcast」「Time Warner Cable」「Bright House」は、ClrearwireのモバイルWiMAXサービスおよびSprintの3Gサービス(CDMA EV-DO)提供者となる契約を締結した。
(「Comcast」は全米1位の24.7百万のCATVユーザを、「Time Warner Cable」は2位の14.7百万のCATVユーザを、「Bright House」は6位の2.4百万人のCATVユーザを保有している)

新会社には、SprintでWiMAX事業を担当していた「XOHM WiMAX Business Unit」が社員ごと移籍され、Clearwire社と統合される。これにより、本格的な全米規模のブロードバンド無線ネットワークが企業向け、および、コンシュマー向けに、2010年末までに全米の1億2000万人〜1億4000万人の人口をカバーする規模で提供される。Clearwireの会長には旧Clearwireの会長であったCraig McCawが、CEOにはClearwire CEOのBenjamin G. Wolffが、社長にはSprint CTO兼Xohm Business Unit LeaderのBarry Westが就任する。新Clearwireの本社は米ワシントン州カークランドに置かれる。

<Pros and Cons>

Intel」は10億ドル、「Google」は5億ドル、「Comcast」は10億5百万ドル、「Time Warner Cable」は6億5百万ドル、「Bright House」は、1億ドルで合計32.1億ドルの投資。Sprintは、Nextelの買収を350億ドルで行ったが、この部門の現在価値は50億ドルと1/7に落ちている。
これにより、Sprint自身は、24億ドルの現金があるものの、負債は240億ドルに上っている。Clearwireも同様に、現金を上回る負債がある状況である。但し、(両社は現金を出さずに)他社からの投資で新事業をスタートすることになるが、一旦車輪が回りだせば、たとえ、破産になっても、他社に移管され、事業は継続されるであろう。

WiMAXが成功するか否かについても、かなりの議論が行われているが、今回のdealは、有力なパートナーが付いたことをみると、成功するであろうという見解が多い。

[コメント]

LTEが世界的な標準携帯電話として可能性を高めてきたが、WiMAXは日本、米国、さらには北米、中南米と広まる可能性を見せている。WiMAXはIMT-2000として3GPPの承認する携帯電話の一つとして幅広く普及する可能性を見せており、Fixed WirelessとしてのIEEE802.16-2004によるデータ/音声のサービスはGlobalな展開を見せている。今後は、IEEE802.16eに準拠するMobile Wirelessの普及が日本、米国などで始まる状況にある。
今のところ、W-CDMAのHSDPA並みの性能が当面の目標であると思われるが、さらに、LTEに対抗する性能にまで十分改善されていくものと期待される。その意味で、今回のSprint/ClearwireのWiMAX合弁会社の設立は大いに期待される。

LTE/WiMAXいずれにせよ、音声はIPv6ベースのVoIPになるので、モバイルデバイスがPCに取って代わって普及するのはこの時代になるものと予想され、iPhone/iPod touch/Androidなどが大いに普及する時代が数年後に迫ってきたと考えられる。
この時代には、VoIPもRoamingがbuiltinされることから、Personal Phoneとして個人が全く同じデバイスで何時でも、何処でも電話とインターネットアクセスを享受できるようになろう。

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