第36回 iPodが直面する市場変化 -岐路に立つアップル-(その1) [2008年06月05日(木)]

[概要]

iPodが発売されて6年以上がたつが、市場が飽和して販売台数の成長率は鈍化している。iPodを次の10年まで持たせるためにはアップルは何をするべきなのか」

という内容の記事が1ヶ月ほど前に、CNET Japanの特集記事に掲載された。
来週、6/9に「Apple」が「iPhone」の次機種を発表するとされており、「iPhone」から予定されている3G携帯電話機能を取り去ると「iPod touch」になる関係にある「iPod」の本命機と言われる「iPod touch」にとっても極めて影響の大きい発表であると考えられるので、以下にその記事の内容を紹介したい。

・参考記事
CNET News.com
A bridge to the future of the iPod

CNET Japan
iPodが直面する市場変化 -岐路に立つアップル-」

<A bridge to the future of the iPod>
「iPod」が発売されてから6年以上がたち、「Apple」はいまだに音楽プレーヤー市場のトップに君臨している。しかし、次に何が来るのだろうか。

「Apple」は、おそらくは同社の危機を救ってくれた製品の進化の岐路に立っている。「iPod」によって「Apple」の利益や投資が促進されていなかったら、われわれはおそらく過去1年間、「Apple」の急伸するMacビジネスや、業界のあり方を根本から変えてしまった「iPhone」について語ることはなかっただろう。

数年にわたって2けたの成長を続けた後で、「iPod」の成長はついに鈍化した。市場はおそらく飽和してしまったのだろう。読者は、音楽を携帯したいと思っていながらMP3プレーヤーをまだ買っていない人を誰か知っているだろうか。しかし、同時に、「iPod」はちょっとした革命を経験しているのである。「iPod」は単なる音楽プレーヤーから、本格的なコンピュータに変身しようとしている。

「Apple」は、「iPod touch」と「iPhone」を将来の「iPod」ビジネスの中心として考えていることを示す明確なシグナルを送っている。全世界の「iPod」と「iPhone」のマーケティング担当のバイスプレジデントであるGreg Joswiak氏は、「Apple」が2月に高性能の「iPod touch」を発表したときに、「Apple」はWi-Fi対応の「iPod touch」を「新しい種類のデバイス」と考えていると述べた。

しかし、これは全世界が「iPod touch」のような高度なデバイスにステップアップする準備が整っていることを意味するものではない。多くの人々は移動中に音楽を聞き、ビデオを見たいと思っているだけであり、そのために大きな出費をしたいとは思っていない。「Apple」は、「iPod」の上位製品ラインを進化させるために確実なステップを踏んでいるが、ドル箱である「iPod」を次の10年まで持たせるには何をするべきなのか。

クラウドに目を向けよう。「IaaS(iPod as a service)」はありがたいことに決してキャッチフレーズとして流行することはないだろうが、「Apple」は通常の「iPod」にサービスをバンドルし、なるべく高速のワイヤレス機能を追加し、ムーアの法則によって実現するのが可能なうちになるべく早く「Mac OS X」を新世代の「iPod」に搭載することによって、現在と将来との間のギャップを埋めることができるかもしれない。

<現実的に考える>
2007年のどこかの時点で「iPod」の成長は鈍化し始めた。前年比の販売台数の成長率は2006年のホリデーシーズンの50%から2007年のホリデーシーズンにはわずか5%まで落ち込んだ。しかし、売上高の成長は依然として安定しており、2006年のホリデーシーズンの18%と比べて2007年のホリデーシーズンも17%だった。



これは、消費者が旧モデルの「iPod」から新機種に買い換えていることを示唆しており、この傾向はわれわれの最近の「iPod」に関する調査でも裏付けられている。「iPod classic」(ビデオを再生できるiPodのすべての世代を指す)は31%の回答者にとって日常の音楽プレーヤーになっている。全回答者の52%は1台または2台の「iPod」を所有しており、34%は最初のモデルを2003年または2004年に購入している。

<日常的に使っているiPod>
しかし、その同じ回答者の60%は次に購入する「iPod」は「iPod touch」になるだろう述べている。そして、68%は音楽プレーヤー/携帯電話の組み合わせを選択肢として与えられたら、最も欲しいのは「iPhone」だと述べた。この種の上位機種への買い換え(8Gバイトの「iPod touch」なら299ドル、32Gバイトモデルなら499ドルから)によって、「Apple」はベーシックな「iPod」モデルの成長の鈍化を「iPod touch」による強力な売上高と利益によって相殺することができ、その間に、「iPhone」という全く新しいキャッシュの源泉を追加することができる。

iPod touch」と「iPhone」は単なる音楽やビデオのプレーヤー以上のものである。インターネットに接続でき、電子メールを送信でき、間もなく「Apple」によって正式に承認される数多くのゲームやアプリケーションを実行できるようになる。

チップがますます小型化し、高性能化し、低価格化するにつれて、「Apple」が、さらなる機能を持つ「iPod shuffle」や「iPod nano」といった「iPod」の他のバージョンを増強することができるのは当然である。確かに、各デバイスに搭載するストレージの容量を増加し続けることができるし、われわれの調査に回答してくれたMP3プレーヤーの購入者の最も強い要望がストレージ容量の増加だった。また、Wi-Fi機能が将来の「iPod」に対して2番目に求められている機能だった。



どこかの時点で、MP3プレーヤー市場は少なくとも3つのビジネスに分かれるように思われる。非常に具体的な好みに合わせた小型のスタンドアロンの音楽およびビデオプレーヤーを量産するローエンドのコモディティビジネス、ハイエンドのポータブルコンピューティングビジネス、そして、その時点で199ドルを中心とした上下50ドルの範囲内で、なるべく多くのコンピューティング機能を「iPod touch」に搭載する3番目のカテゴリである。

この3つの頭を持つモンスターは近い将来に登場すると思われる。その時点で、たとえローエンド市場でも、「Apple」を犠牲にして意味のある利得を得られる競合他社は登場するようには思えない。これは、人々がいまだにデザイン、ブランドの認知、より多くのストレージに対するニーズに基づいてMP3プレーヤーを購入していることを示唆している。

しかし、その傾向が変わったとしても、「Apple」はおそらく利益率の低いコモディティビジネスに多くの労力を投入したいと思わないだろう。「iPod」のブランドは携帯音楽プレーヤーの世界では簡単に最強になれるが、市場のローエンドが無数の分野に分かれるに従って(USBメモリのことを考えて欲しい)、「Apple」はウィェットを量産する方法を知っている他の家電メーカーに対して実質的な優位を保つことは全くできなくなるだろう。

また、基本的な携帯電話は、益々単純な音楽再生機能を備えるようになっているとNPDGroupのアナリストであるRoss Rubin氏は述べている。そしてどこかの時点で、より多くの機能を追加するメーカーの能力は、平均的な個人の音楽ライブラリの成長を上回ることになるだろうとRubin氏は指摘する。

iPhone」と「iPod touch」は、「Apple」が持ちたいと思っているような種類の利益率の高い革新的な製品である。多くのメーカーがひしめき合っている市場では、自社を差別化する何らかの方法を見つける必要があり、「Apple」は、従来から使いやすい優れたデザインを持つハイエンド製品の製造に注力してきた。

iPodが直面する市場変化 -岐路に立つアップル-(その2)へ続く

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