第38回 Cloud Computing(その1) [2008年06月24日(火)]
[Cloud Computing]
2006/8/9
SanJoseで開かれたSearch Engine Strategies ConferenceでGoogleのEric Schmidt CEOが初めてCloud Computingに言及。
「20年前には、Client/Serverというビジネスモデルが作られたが、今は、新たなビジネスモデルが登場しつつある。これは、「Cloud Computing」と呼ぶものだが、PC/Mac/BlackBerry/Mobile Phoneなどの上で、正しいBrowserを備えていれば、この「Cloud」には、どこからでもアクセス出来る。Google/Yahoo/eBay/Amazonなど数多くの会社が、この(Cloud computing)の恩恵を蒙っている。」
Gartner Thomas Bitman,VP,IT infrastructure & operationsによる定義
「膨大なまでに拡大できる、ITによって可能になる能力が、インターネット技術を使って外部の顧客にサービスとして提供されるというコンピューティング・スタイル」
(A style of computing where massively scalable IT-enabled capabilities are delivered as a service to external customers using Internet technologies)
Cloud Computingの新規性は、以下の4種の観点がある
1.結果がすべてで過程を問わないという「取得モデル」
2.資産を所有せずに利用した分の対価を支払う「ビジネス・モデル」
3.どこからどんな機器からでもアクセスできる「アクセス・モデル」
4.動的にコンピュータ資源を共有する「技術モデル」
以上の定義を当てはめると、SaaS/PaaS/Grid Computing/Virtual Desktopは、場合によってはCloud Computingのカテゴリーに入る。
以下では、このCloud Computingについて最近の幾つかの記事内容の概要をお伝えしたい。
参考記事
Google Podium transcript
ITpro/「Cloud Computingは自然の流れ」
Wisdom/空前のスケールをめざす姿を見せ始めたGoogleのCloud Computing戦略
<空前のスケールをめざす姿を見せ始めたGoogleのCloud Computing戦略>
小池良次 米国発 ITトレンド 第47回 2008年6月23日
Cloudは次世代サービスの象徴
Cloud Computingにかぎらず、SaaS(Software-as-a-Service)、PaaS(Platform-as-a-Service)、マッシュアップス(Mash-ups )、ユーティリティ(Utility Computing)、オンデマンド(On-Demand Computing)、グリッド(Grid Computing)など、米コンピュータ業界はここ数年、様々な提案を繰り返してきた。まず、そうした一連のモデルを整理整頓して、Cloud Computingの意味を明確にしてみたい。
現在のコンピュータ利用、特にデータセンターに目を向けると、ふたつの大きな潮流がある。一つは、ハードウェア(サーバ、ストレージ、LANなど)の拡張性や柔軟性を従来では考えられない程高める「仮想化(Virtualization)技術」の流れだ。これまで企業のシステム管理者は、アプリケーションが増えたり、ネットワーク・アクセスが増える毎に、サーバの増設や回線容量の拡大に奔走してきた。
しかし、こうしたITハード資源の構築管理は時間と手間がかかる一方、実際の処理要求を超える過剰設備に悩まされてきた。こうした問題を解決し、必要なコンピューティング・パワーを適時提供する考え方がユーティリティやオンデマンド、グリッドなどのコンピューティング・モデルだ。
その背景には、巨大なサーバやストレージ、ネットワークを適切なサイズに切り分け、バーチャル・サーバとして利用する仮想化技術の発達がある。
仮想サーバを使えば、必要なOSやCPUパワー、ストレージ、ネットワーク機能などを適時利用できるようになってきた。
一方、データセンタ事業者は、これまで顧客別に構築してきたITシステムを、仮想システムに集約してコストダウンと運用の柔軟性を追求している。
これがデータセンター業界における「Managed Hosting Service」から「On-Demand Service」への流れを生み出している。
一方、ソフトウェア分野ではウェブ・アプリケーションが台頭し、WAN(広域網、インターネットや専用線)を介して基幹アプリケーションを利用する動きが広がっている。
従来のアプリケーションは、高速で信頼性の高いLAN(構内ネットワーク)をベースに設計されていたため、クライアント・サーバ間通信に特別な配慮は必要なかった。
しかし、コスト削減の観点からITハード資源が各事業所からデータセンタに集約され、ユーザが遠く離れたアプリケーション・サーバを利用するに従い、「アプリケーションの広域化」が定着してきた。
また、広域化によりアプリケーションをサービスとして購入することも可能となってきた。こうした流れを象徴するのが、SaaS、PaaS、マッシュアップスといったアプリケーション環境における提案だった。
次世代サービスでは、この仮想化技術と広域アプリケーションという二つの流れがより一体化する。この未来像を的確にイメージさせる言葉が、Cloud Computingにほかならない。
Cloud Computingでは、ネットワーク(雲)から必要な情報や機能だけがやってきて、雲の向こうにあるサーバやストレージ、ネットワークやアプリケーションなどを意識することなく、コンピュータを利用できる。
SaaSからPaaS、そしてCloud Computing
Cloud ComputingはSaaSやPaaSのイネブラー(enabler)という狭い意味もある。
イネブラーとは「利用するための基盤」といった意味で、その響きはSaaSやPaaSを動かすための“ハード的なプラットフォームを連想させる。
これはAmazon社のEC2やGoogle社のGoogle App Engineなどと、SaaSやPaaSとの関係から導き出されるCloud Computingの定義だ。

SaaSはマルチ・テナント・アプリケーションを特徴とする。
salesforce.comの場合、CRM(顧客管理)などのシステムを複数のユーザー(マルチ・テナント)で共有するため、中小企業でも安く高度なサービスを利用できる。
しかし、表示画面などのカスタマイズはできるが、アプリケーションを 自社に最適化しようとして既存アプリケーションと統合する場合、大きな苦労をともなう。

SaaS、PaaS、Cloud Computingの階層構造を図示すると上の図のようになる。
緑色の部分が、salesforce社に代表されるSaaS。
青色の部分は、Cloud Computingにあたる。
PaaSは緑に灰色部分を加えた部分となる。
SaaSは、アプリケーション共有(Multi-tenant DB)からアプリケーションの粗結合により、企業それぞれに適したカスタマイズ、独自構成ができる方向に進んでいる。
アプリケーションを共有するマルチ・テナントではなく、ユーザそれぞれが好きなアプリケーションを開発・統合できる環境(Platform)を提供しようとするのがPaaS(Platform-as-a-Service)の考え方だ。salesforce.com社もPaaSへと移行を進めている。
このようにPaaSは、様々なウェブ・アプリケーションを構築するための統合プラットフォームだが、その環境はアプリケーション部分にとどまり、自分の好きなOSや開発ツール、必要なコンピューティング・パワーまではカバーしない。
この部分を埋めるのがAmazon EC2(Elastic Compute Cloud)やGoogle App Engineと
いったCloud Computing(狭義)となる。つまり、Cloud ComputingはSaaSやPaaSに対して
ハードや開発基盤を提供する(enabler)という関係にある。
第38回 Cloud Computing(その2)へ続く
2006/8/9
SanJoseで開かれたSearch Engine Strategies ConferenceでGoogleのEric Schmidt CEOが初めてCloud Computingに言及。
「20年前には、Client/Serverというビジネスモデルが作られたが、今は、新たなビジネスモデルが登場しつつある。これは、「Cloud Computing」と呼ぶものだが、PC/Mac/BlackBerry/Mobile Phoneなどの上で、正しいBrowserを備えていれば、この「Cloud」には、どこからでもアクセス出来る。Google/Yahoo/eBay/Amazonなど数多くの会社が、この(Cloud computing)の恩恵を蒙っている。」
Gartner Thomas Bitman,VP,IT infrastructure & operationsによる定義
「膨大なまでに拡大できる、ITによって可能になる能力が、インターネット技術を使って外部の顧客にサービスとして提供されるというコンピューティング・スタイル」
(A style of computing where massively scalable IT-enabled capabilities are delivered as a service to external customers using Internet technologies)
Cloud Computingの新規性は、以下の4種の観点がある
1.結果がすべてで過程を問わないという「取得モデル」
2.資産を所有せずに利用した分の対価を支払う「ビジネス・モデル」
3.どこからどんな機器からでもアクセスできる「アクセス・モデル」
4.動的にコンピュータ資源を共有する「技術モデル」
以上の定義を当てはめると、SaaS/PaaS/Grid Computing/Virtual Desktopは、場合によってはCloud Computingのカテゴリーに入る。
以下では、このCloud Computingについて最近の幾つかの記事内容の概要をお伝えしたい。
参考記事
Google Podium transcript
ITpro/「Cloud Computingは自然の流れ」
Wisdom/空前のスケールをめざす姿を見せ始めたGoogleのCloud Computing戦略
<空前のスケールをめざす姿を見せ始めたGoogleのCloud Computing戦略>
小池良次 米国発 ITトレンド 第47回 2008年6月23日
Cloudは次世代サービスの象徴
Cloud Computingにかぎらず、SaaS(Software-as-a-Service)、PaaS(Platform-as-a-Service)、マッシュアップス(Mash-ups )、ユーティリティ(Utility Computing)、オンデマンド(On-Demand Computing)、グリッド(Grid Computing)など、米コンピュータ業界はここ数年、様々な提案を繰り返してきた。まず、そうした一連のモデルを整理整頓して、Cloud Computingの意味を明確にしてみたい。
現在のコンピュータ利用、特にデータセンターに目を向けると、ふたつの大きな潮流がある。一つは、ハードウェア(サーバ、ストレージ、LANなど)の拡張性や柔軟性を従来では考えられない程高める「仮想化(Virtualization)技術」の流れだ。これまで企業のシステム管理者は、アプリケーションが増えたり、ネットワーク・アクセスが増える毎に、サーバの増設や回線容量の拡大に奔走してきた。
しかし、こうしたITハード資源の構築管理は時間と手間がかかる一方、実際の処理要求を超える過剰設備に悩まされてきた。こうした問題を解決し、必要なコンピューティング・パワーを適時提供する考え方がユーティリティやオンデマンド、グリッドなどのコンピューティング・モデルだ。
その背景には、巨大なサーバやストレージ、ネットワークを適切なサイズに切り分け、バーチャル・サーバとして利用する仮想化技術の発達がある。
仮想サーバを使えば、必要なOSやCPUパワー、ストレージ、ネットワーク機能などを適時利用できるようになってきた。
一方、データセンタ事業者は、これまで顧客別に構築してきたITシステムを、仮想システムに集約してコストダウンと運用の柔軟性を追求している。
これがデータセンター業界における「Managed Hosting Service」から「On-Demand Service」への流れを生み出している。
一方、ソフトウェア分野ではウェブ・アプリケーションが台頭し、WAN(広域網、インターネットや専用線)を介して基幹アプリケーションを利用する動きが広がっている。
従来のアプリケーションは、高速で信頼性の高いLAN(構内ネットワーク)をベースに設計されていたため、クライアント・サーバ間通信に特別な配慮は必要なかった。
しかし、コスト削減の観点からITハード資源が各事業所からデータセンタに集約され、ユーザが遠く離れたアプリケーション・サーバを利用するに従い、「アプリケーションの広域化」が定着してきた。
また、広域化によりアプリケーションをサービスとして購入することも可能となってきた。こうした流れを象徴するのが、SaaS、PaaS、マッシュアップスといったアプリケーション環境における提案だった。
次世代サービスでは、この仮想化技術と広域アプリケーションという二つの流れがより一体化する。この未来像を的確にイメージさせる言葉が、Cloud Computingにほかならない。
Cloud Computingでは、ネットワーク(雲)から必要な情報や機能だけがやってきて、雲の向こうにあるサーバやストレージ、ネットワークやアプリケーションなどを意識することなく、コンピュータを利用できる。
SaaSからPaaS、そしてCloud Computing
Cloud ComputingはSaaSやPaaSのイネブラー(enabler)という狭い意味もある。
イネブラーとは「利用するための基盤」といった意味で、その響きはSaaSやPaaSを動かすための“ハード的なプラットフォームを連想させる。
これはAmazon社のEC2やGoogle社のGoogle App Engineなどと、SaaSやPaaSとの関係から導き出されるCloud Computingの定義だ。

SaaSはマルチ・テナント・アプリケーションを特徴とする。
salesforce.comの場合、CRM(顧客管理)などのシステムを複数のユーザー(マルチ・テナント)で共有するため、中小企業でも安く高度なサービスを利用できる。
しかし、表示画面などのカスタマイズはできるが、アプリケーションを 自社に最適化しようとして既存アプリケーションと統合する場合、大きな苦労をともなう。

SaaS、PaaS、Cloud Computingの階層構造を図示すると上の図のようになる。
緑色の部分が、salesforce社に代表されるSaaS。
青色の部分は、Cloud Computingにあたる。
PaaSは緑に灰色部分を加えた部分となる。
SaaSは、アプリケーション共有(Multi-tenant DB)からアプリケーションの粗結合により、企業それぞれに適したカスタマイズ、独自構成ができる方向に進んでいる。
アプリケーションを共有するマルチ・テナントではなく、ユーザそれぞれが好きなアプリケーションを開発・統合できる環境(Platform)を提供しようとするのがPaaS(Platform-as-a-Service)の考え方だ。salesforce.com社もPaaSへと移行を進めている。
このようにPaaSは、様々なウェブ・アプリケーションを構築するための統合プラットフォームだが、その環境はアプリケーション部分にとどまり、自分の好きなOSや開発ツール、必要なコンピューティング・パワーまではカバーしない。
この部分を埋めるのがAmazon EC2(Elastic Compute Cloud)やGoogle App Engineと
いったCloud Computing(狭義)となる。つまり、Cloud ComputingはSaaSやPaaSに対して
ハードや開発基盤を提供する(enabler)という関係にある。
第38回 Cloud Computing(その2)へ続く







