「父親たちの星条旗」 [2006年10月27日(金)]
試写会で見てきました。
「父親たちの星条旗」です。

映画のジャンルに、
記録映画とドキュメンタリーと、
フェクションとノンフェクションがあるならば、
この「父親たちの星条旗」は、
限りなく記録映画を見ている気持ちになる、
ドキュメンタリーに見えるノンフェクション映画。
1枚の写真に携わる歴史の一端を、
リアルに感じる事が出来ると思います。
私が小学生の頃、“硫黄島の戦い”を扱った
TVドキュメンタリーを見た覚えがあります。
(その時代に)硫黄島に残る遺骨の映像が、
子供心にショッキングだった記憶あります。
その“硫黄島の戦い”のあまりにリアルな映像。
監督クリントイーストウッド、
あるいは撮影監督のこだわりを随所に感じました。
戦場の映像の色の使い方が素晴らしいです。
私達は太平洋戦争の映像は、
(一部を除いて)みな白黒映画で見る機会があると思います。
本物の戦争映像のインパクトは凄いのですが、
この映画はその本物の戦闘映像に見えてしまいます。
戦場のシーンはもちろん白黒ではないのですが、
完全なカラー映像でもないのです。
なまじ綺麗なカラー映像だと、
私達には逆にリアルな戦場には写らないかもしれません。
戦場のシーン以外でも、
映画全編にわたっていいフィルターがかかっていると思います。
そのことで、私には「これ記録映画?」と思うくらいの、
恐いくらいのリアル感がただよっていると思います。
またリアルに見えるもう一つには、
カメラワークもあると思いました。
現代の映像は、クレーンやワイヤーやレールで
カメラをスムースに縦横無尽に動かしまくり、
ステディカムによりブレのないスムースに動く画面に酔いしれ、
絶対に見ることの出来ないアングルやパンに、
「すごい映像やな〜!」と(私は)感動するもんなんです。
(私はそんな映像大好きなヤツです)
ところがこの映画の戦場の映像は、
カメラマンが兵士の視線で一緒に動き、
息遣いと共にブレまくり、
(コンピューター処理によるブレは多少あるかも?)
兵士と共にその方向を見る!
まるで見ているこちらも、
その場にいるような緊張感。
この撮影の仕方は、時代に逆行するようでありながら、
この映画に関しては実にリアルな画像を作り出していて、
私なんか感心を通り越してもはや脱帽しどうしでした。
こんなにリアルに戦場を感じた映画は初めてです。
物語自体、アメリカにとってはタブー的な要素を、
ここまでちゃんと脚本で描いたことには、
大変な意義があると思います。
“百聞は一見にしかず”のことわざ通り、
写真という目に見える情報を、
最大限に利用したアメリカの歴史の真実。
私達はその意味を本当に考えなければならないと思います。
政治的に英雄に祭り上げられた“彼ら”の苦悩。
そのことにより、確実に歴史が変わったという事実。
そして歴史は何をアメリカにもたらせたのかという事。
エンディングロールに流れる、
さまざまな当時の本物の写真を見たときに、
太平洋戦争のたくさんある事実の一つの、
文字通り目撃者となった気がしました。
“アメリカから見た硫黄島”、
見てよかったと思います。
そして第2部、
“日本から見た硫黄島”も、
是非見てみたいと思いました。
(「硫黄島からの手紙」の感想はこちら)
余談ですが、
私の祖父は、私が高校生の時に亡くなりました。
祖父は太平洋戦争中、満州へ兵隊に行っていました。
終戦して日本に帰ってきても、
兵隊の時の話は家族にはいっさいしなかったそうです。
妻である私の祖母にも、
息子である私の父にも。
「きっと、兵隊さんの時には、
何もいい思い出がなかったんやろうな。」
今年亡くなった私の父が、
祖父に対してそう話をしてくれたのを思い出しました。
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