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PT-09 『 死屍毒郎の退屈と孤独 』 [2008年08月24日(日)]


 その時。

「ちょっと待たんかーい」

 カイゼル髭をたくわえた小太りの男が割って入った。

「あの程度で貴族を倒したと思っていたとは片腹痛いよおちびくん、お調子に乗った庶民はこれだから困るんだ」

 その身の程知らずに面し、死郎は頭を抱えるかわりに溜め息を一つ零す。

「いや、大人しく寝てた方がいいと思いますけど。怪我が増えるだけですよ」

「いいから掛かってきたまえ、きみのような寝小便垂れなど貴族パワーで返り討ちだよ」

「いや本当に」

 そう言いながら左足を一歩踏み出した死郎が、今度は腿上げの要領で持ち上げた右足から爪先を蹴り上げそれを髭の肉厚な鳩尾辺りに埋める、そのまま押し込み車輌と板挟みにする格好へと運ぶ。

「貴族だか卑俗だか知りませんけども貴方、余り賢いとは言えませんね」

 そして右足を軸にして身体を捻りながら跳ね、左足に孤を描かせてその爪先を髭の顔面に叩き込んだ。

「る、るねっさーんす」

 落ちるワイパーよろしくに、髭は再び、敷き詰められた砂利の上にその身体を横たえた。



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