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バットマン デスマスク/夏目義徳 [2008年10月28日(火)]

確かな構成で以て起伏を持たせてはあって。

且つ、そつなくしっかりとまとめてもあって。

決して駄目なんて事はなくむしろ上出来とも思うんだけれども。

しかし無難に過ぎる物語、対して興奮を覚える事が出来ず印象にも薄い、夏目義徳漫画を求めて読んでしまうと面白いとは言い難い、と。

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それこそ敵役が当て馬、脇役も意思のない盤上の駒、主人公のように内面を掘り下げてはもらえない彼らの動向がまるで、物語の都合に支配されているようにしか見えず、興味が湧いてこない。

その予定調和はやっぱ、既に完成されて在るキャラクターを、世界観を、壊さず尊重した上で描かざるを得なかった事の弊害なのかしらねぇ、と。

その予め設定された限定条件に対する無念が表れたような最後の1ページにこそにんまりとしたけれども。

しかしやはし、総じての出来に対しては残念に思うしかなかったのでした、と。


新刊購入価格  997円(内消費税額47円)

眼鏡越しの君と/夏目義徳 [2008年09月27日(土)]

禍福は糾える縄の如し、というのとはちょっと違うんだろうけれども。

或いは自棄糞の愛と言いましょうか発展的に働く諦観と言いましょうか、ともかくそういった、気楽で前向きな感情を。

すこしふしぎテイストで以てエンタメ仕立てに云う、ライトな感覚の伴う好編、という感じでしょうか。

いやさ。

要するに。

感覚的なものを描いた、それも巧みに印象的に見事に描き出して以て綺麗にまとめた一品で御座いますからして。

うん、面白い。

という一言に、感想は集約されてしまうのだけれども。

ものを斜から見るという諧謔ってのはやっぱ、正面から捉えた際の認識も確固としているからこその余裕であって、本作にはその長所が好く表れていて以てその程好い力の抜け具合がとても心地好いよなぁ、と。

即ち。

うん、面白い。

という以外に感想がないよなぁ、と。

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そう思った次第で御座います、と。

電気グルーヴの続・メロン牧場 花嫁は死神 上巻/電気グルーヴ [2008年05月27日(火)]

ぼくは、赤ちゃんが嫌いです。

何故かというと、自らをちゃん付けで呼ばせるなどと図々しいにも程があるからです。

しかも、自らをちゃん付けで呼ばせる確たる道理を己の言葉で説明が出来ぬくせにそれをするのですから、呆れてしまいます。

言語道断です。

赤ちゃんてのはあれですか、そんなに偉いんですか。

無理な道理を是非もなく承伏させてしまうほどに大層な御仁なんですか。

そのノーパン鑑定団的エスノセントリズムは、自意識の過剰さは、一体なにを根拠にして湧いてくるものなんですか。

確かに、客観性の不在は時に自らに勢力を与える起爆剤にもなり得ます。

しかし程度次第では、回避が不可能な自滅を招く諸刃の剣であるもまた確かなのです。

浅はかな付和雷同を忌避すべくに自覚を心がけ、下品な色目を嫌いつつの自律を念頭に置き、そうした上で無明昏昧に陥らぬ為の自衛として、情勢を見極める目を養う事は、決して無駄ではないと思います。

以上、自らをちゃん付けで呼ばせている件、再考されてみては如何でしょうか。

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新刊購入価格  1,470円(内消費税額70円)

電気グルーヴの続・メロン牧場 花嫁は死神 下巻/電気グルーヴ [2008年05月24日(土)]

ぼくは、ネコが大好きです。

何故ならネコは可愛いからです。

それに、ネコは可愛いだけでなく、言葉が通じないので何を考えているか分からず、ぼくが考えている事も絶対にネコには分からないと思うので、最高です。

何故、それが最高なのかと言うと、分かり合えない相手には最初から期待をせずに済むからです。

期待をせずに済むという事は、期待を裏切られる事が絶対にないという事です。

期待を裏切られる事が絶対にないという事は、期待を裏切られて悲しまずに済むという事です。

期待を裏切られて悲しまずに済むという事は、誰かに責任を転嫁してしまわずに済むという事です。

誰かに責任を転嫁してしまわずに済むという事は、全ての責任を自分で負えるという事です。

ぼくは、自分の気持ちが相手に伝わったり、相手の気持ちが分かってしまったりする事はとても厄介な事だと思います。

そういう期待をしてしまう事がとても悲しい事だと思います。

だからぼくは、誰の期待にもその期待する形の通りに応える事は絶対にしません。

何故ならぼくは、ネコが大好きだからです。

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新刊購入価格  1,470円(内消費税額70円)

Togari 2/夏目義徳 [2008年02月09日(土)]

例によって収録内容はサンデーコミックスと同じ。

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つー事で、またこれ特筆事項が御座いませんもので。

背表紙をぺろりと捲ったページに記されている注意書きなんかを転載してみますね、と。

Hey! You're Reading in the Wrong Direction!

This is the end of this graphic novel!

To properly enjoy this VIZ graphic novel, please turn it around and begin reading from right to left.

Unlike English, Japanese is read right to left, so Japanese comics are read in reverse order from the way English comics are typically read.

This book has been printed in the original Japanese format in order to preserve the orientation of the original artwork. Have fun with it!


なんつーか、既存の同種の文化に準拠せず漫画が漫画として認識され受け入れられている、という事実を実感しますね、と。


新品購入価格  $7.99

Togari 4/夏目義徳 [2008年01月19日(土)]

フキダシの中の台詞が横書きになっていて。

手書き文字も英語に描き直されている。

という当たり前の変更があるだけで。

最大の違いは、本のサイズが一回り大きいB6判になっているくらいのモンで。

それ以外は、収録話から著者近影まで、サンデーコミックスと内容は同じだわ。

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つー事で、何も書きようがないんで、各話の副題がどのように英訳されているのかを以下に記してみたいと思います、と。

第1話 ナマエ/A Name

第2話 クロイカゲ/Dark Shadows

第3話 トキノナガレ/Time Flies

第4話 デキルコト/All I Can Do

第5話 ゲッコウ/Moonlight

第6話 キミノチカラ/Your Power

第7話 ココニイル/A Place to Be

第8話 モドラナイ/No Going Back

第9話 ハジマリ/It Begins

えー、ものの見事にまんまで御座いますね、と。


新品購入価格  $7.99

ゴートマンの大真実/天野聡彦 [2007年09月06日(木)]

都市伝説から生まれた怪物=モンスター!

それは、人の口から口へと噂が伝わって、あるいはまた世間話が広まって誕生したものだといわれている。

だが、はたしてそのすべてが想像や幻覚の産物なのだろうか。


という、本書「戦慄!! 呪いの都市伝説モンスター」はそんな序文を掲げて編纂されている訳ですが。

いやいや「モンスター」とは一般的にはピーニスを指す言葉ですよ、阿久悠がそう書いたんだから間違いないですよ。

つーかそれ以前に、「都市伝説から生まれた怪物」、という概念を単語化して定義する必要性が一体どこにあるのかと。

詰まり、その捏造は本書がコンセプトからして既に出鱈目である事の証左であり或いは制作の初期段階から遣り逃げを視野に入れたうるさいですか、うるさいですねどうもすみませんでした。

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御茶漬海苔の、単にデータを羅列しただけの酷い遣っ付け仕事振り、その惨状も在る意味白眉ではあるんですが。

おそらくどの作品も、題材だけが決定されたもので後の内容はそれぞれの作者さんに任されて作られたものではないかと思われまして。

「黒博物館 スプリンガルド」で藤田和日郎も題材にしたバネ足ジャックを扱った作品などは、ぶっちゃけ別の題材でも成立する内容、更に言えば独創性なんかは皆無なんだけれども、題材に関するデータをしっかりと盛り込みつつ物語を成してあって、それの結末をきちんと添えてあって、堅実さに於いては一番に印象が強い。

他の作品も、それぞれ題材を翻案してあって新説を作り出していて作者の気概を窺えて、それなりの読み応えのあったんですが。

抜群も抜群、頭一つ抜きん出ているどころか頭部が外れて別の次元に逝っちゃってるんじゃねぇかぐらいに思わせてくれたのが。

天野聡彦という作家の「ゴートマンの大真実」という作品。

ゴートマンとはその名の通り、羊頭人身の未確認生物だそうで、物語としてはそれの誕生秘話に迫るという内容になっておりまして。

オチがちょいと弱いのが惜しまれるんですが、冒頭で一切の説明もなく叩き付けた独特な世界観の中で物語を始終せしめた自負が実に圧倒的、素晴らしい。

いやさ素晴らしいなんて言葉じゃ言い切れない、ワンダフルですよエクセレントですよとにかくもう最高にファンタスティックですよ。

という事で、陳腐で申し訳ありませんが僕なりの最高の賛辞を贈らせてください。

このっ、大馬鹿野郎め。

妖怪戦記 下/たがみよしひさ [2007年04月29日(日)]

漫画文庫って嫌いなんですよ、僕。

だってサイズが小さ過ぎて、絵のそもの迫力なりの魅力を楽しめないんだもの。

言ったらテレビ放映用に切り詰められた映画のようなもので、それが場合によっては元の作品の魅力を伝えるに適わない状態に、詰まり映画ではない別のなにかになってしまうのと同様に、文庫サイズに縮められてしまった漫画もまた漫画ではない別のものだとさえ、思ってるのね。

さて、本作。

連載誌休刊の煽りを食って、以前に刊行されていた単行本では未完に終わっておりまして。

事故で目覚めた"力"で

妖怪を退治してきた地童悟郎に異変が!?

"力"を消失した原因はいったい

単行本未収録の幻の最終回を

完全収録した完結編!!


というのが今回の文庫版の売りで御座いまして、その魅力には抗しきれず半ば渋々、購入した次第である訳ですが。

主要登場人物が、2名、追加されまして。

4名のキャラクターの人間模様が、そしてまた各個の人物像が、語られ始めましてこれが本作に新たな一面を加えておりまして。

たがみよしひさ作品の魅力であるところの彼が持つ世界観、それが彩る、事件、これと並んで物語にとっての二本柱を生しておりまして。

簡潔に言えば面白さが加速している訳ですよ、読み進める毎に興味が深まっていく訳ですよ。

そうして迎える、幻の最終回。

いやさ、たがみ作品に相応しい言い方をすれば、まるぼしの最終回。

人間がその都合を優先して侵すべかざる領域に踏み込む、それを或いは見届ける為か、いよいよ顕現する、もの。

それを指して主人公の一人、代々に伝えられし理論を以て鬼部調伏師たる、巫女神唯円が、神、と呼ぶ。

そこまでの物語の中でも散々、妖怪、という呼称は人間の都合による定義、神だ悪霊だ化物だなどと人ならざりしものを振り分けるは人側の認識次第だ、と語られる。

そういう論理に律された物語の中に、いよいよ、或いはその外側から顕現した、もの。

それを指して巫女神唯円が、神、と呼ぶ以外になかったのだとしたら。

物語は更に突っ込んだ段階へと進んでいっただろうに、しかし。

完結しちゃいねー、ちぃともさっぱり何一つとしてまるで完結しちゃいねー。

期待を煽るだけ煽り倒して伏線を張るだけ張り倒してしかし全くを以てこれ完結なんざしちゃいねー。

いやさ。

きっと今回の文庫化こそが続編への伏線なのだよそうだそうに違いないそうに決まった、だってそうでなければこの傑作が浮かばれねぇじゃねぇかよこんちくしょう。

という事で。

今から続編が楽しみです、期待してます。

妖怪戦記 上/たがみよしひさ [2007年04月05日(木)]

交通事故の影響で

妖怪を見る力を得てしまった地童悟郎は

11代に渡って鬼部降伏師を務めてきた

巫女神家の唯円と出会う事で

妖怪との戦いに巻き込まれていく

ハメになってしまった――――


たがみよしひさの魅力とは。

徹底した現実主義にその観点を置いている点、これに尽きるかと。

だから語り口が非常に悲観的で厭世的で冷酷に見えるほどに優しくて強かで、そして軽薄。

本作に登場する妖怪は、基本的には人の情念に憑く。

故に必然的に物語の骨子は人間ドラマ、それも、どうしようもない哀しみから生まれてどうしようもない哀しみのままに終わるものが殆ど。

主人公は必殺技を持たないしその名を叫ばない、伏すものが絶対の悪ではない場合も多いから、カタルシスはないかもしれない。

それでも本作が魅力的なのは。

主人公が、どうしようもない哀しみをどうにかしようとして現実の中で足掻き続けるが故だ。

その姿は夢などは語らないが、理想を捨ててはいない事を、雄弁に語って足るものだ。

これがたがみよしひさの、真骨頂だ。

新選組黙示録 (1)/宮崎克 乾良彦 [2007年01月23日(火)]

どこまで文脈を遡っていけばそれの全体像を多角的に見るに適うのかしら。

と、どうしても考えてしまって。

面倒臭くなってしまって、二の足を踏んでしまって。

んで結局。

歴史、という、おそらくは最も根源的で猥雑で理路の怪しく支離に富み、しかしそれでいて一貫性を以て読み解く者に興奮を約束するのであろう、物語を。

楽しむ為の基礎力を蓄える事すらもしてこなかったんだけども。

詰まり。

それの登場人物にも用語にも、史実とされている、エピソードの基本的な展開にも、馴染みのない状態なんだけれども。

まぁ早い話、原作のある漫画を原作を知らぬままに読む、というのと何ら変わらないわよね、構える必要はないわよね、という態度で。

本作を楽しんでみようかしら、と。

詳細

所信がところに愚直なまでにただ一途に邁進する近藤勇。

悪鬼羅刹となりて阿修羅道を往くが覚悟の土方歳三。

その二つの背中を無邪気に追い求める沖田総司。

主人公3人のこのバランスが実に興味深い。

それらを擁する母体、詰まり新選組が、男に惚れた男が寄り集まったむさ苦しい男所帯、てのがまた怪しくてよろしいじゃあ御座いませんか。

且つそれが、時の政権に仕える対テロ組織である、という設定も分かり易くてよろしい。

土方が近藤を評して。

「あいつの実直すぎる性格じゃ目利きができないのさ 刀も そして人も」

町民を威す武士に対しあしらうように沖田が。

「刀はただ人を斬るための道具 それ以上でもそれ以下でもありませんよ」

これらが今後の物語に如何なる展開を呼ぶのか、どのように影響していくのか、期待せずには居れない見事な開巻を見させていただきました、と。

いやさ。

実を言うと雑誌連載時に読んでいたんですけども。

第一話。

橋上にて討幕派の志士を斬り捨てた土方が。

川の水面を割って朧立つ、おそらくはそれまでに己が斬り捨ててきた者らの群れを幻視する場面があって。

これがまた素晴らしく怪奇的な雰囲気に溢れておりまして、怨念を感じさせまして。

それこそ、著者の前作、「鬼道天外かなめ」の記憶もまだ鮮明に残っておりましたから。

新選組に題材をとりつつもその史実に独自の色付けを為し物の怪の跋扈するような幻想的な方向へと展開する、のかと、期待をしたんですけども。

とまれ。

それほどのインパクトを感じさせる迫力に満ちておりました、と。
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